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「クエルナバカの碧い空」 -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
第6章 「免許証」から
−−警察の交通課で、窓口に行って、その証明書を出すと、じきに呼ばれて、 視力の検査とを写真撮影をし、請求書をもらったら支払い窓口へ行って一年分 46ペソ(これは年々値上がりしている)を払い、領収書を持って、最初の窓 口に出すだけ。複雑なことも、不愉快なこともない。第一、日本人で目立つか ら、周りの人が手取り足取りで導いてくれて、ボケッとしていても、一時間も しないうちに、写真付きの免許証が手元にきていることになる。−−
以上抜粋でした。
メキシコに来る丁度一年前に、自動車学校で6ヵ月もかけて初めて運転を覚 え、大金を払って初めて免許証を手に入れ、間もなく初めて車のドアを壊し、 それきり日本では運転をしていない。日本ほど車に関して理不尽な国はないと 確信していました。車がなくても生活に不自由はないけれど、免許証を持って いないと不自由です。レンタル・ビデオのお店で、代わりにパスポートを出し たら、イヤな顔をされたことがあります。パスポートの方が正式な身分証明書 だと思うのですが・・・。
クエルナバカで、免許無しに車の運転をしている人をたくさん知っています。 もちろん違法ですが、現実に、4年近くクエルナバカで運転してきて、警官に 免許証提示を求められたことがないから、問題ないのでしょう。また、本に書 いたように、自動車学校はあっても、一週間、実地に運転を習うだけで、講習 もなく、試験もないし、一緒に車に乗って教えてくれる人がいるなら、学校に も行く必要がありません。それでも、皆さん上手に運転しているのですから、 6ヵ月も通いつめ大金を支払って得た、あの免許証はなんだったのでしょうか ・・・。
毎年、ビザの期限が切れる11月3日に運転免許も切れます。昨年の免許取 得は悲惨でした。まず、交通局へ行って、免許取得用のビザ証明用紙を貰い、 パスポート・オフィスへ行って、その用紙にビザの有効期限をタイプして、サ インをしてもらいます。翌日にできると言われ、翌日にもう一度行くとまだで きていません。これは、メキシコ式ですから、怒ってはいけません。サインを する人は一人ですから、その人がお休みだったり忙しかったりするとなかなか 出来上がりませんが、プレッシャーをかけるため、毎日行くとやっと三日目く らいにできあがります。
その署名入りの書類を持って改めて交通局に行き、提出して窓口の前で呼ば れるのを待っていると、目の検査をし、やがて書類が整い、下の階で支払いす るように指示され、支払いを済ませて戻ると、写真撮影に呼ばれ、そうして免 許証が出来上がってきます。
ところが、昨年のケチは、ここからが大変だったことです。出来上がった免 許証を見ると期限が1997年11月3日になっているのです。免許証が出来 上がったのが10月31日のことでしたから、たった3日間有効の免許証と言 うわけです。交通局に訂正してくれるように頼むと、証明用紙にタイプされた 期限が1997年11月3日になっていて、それに応じて作成した免許証だか ら修正できないというのです。すぐにパスポート・オフィスへ戻り、また最初 からやりなおしです。もちろん、この場合は怒っていいのです。
パスポート・オフィスでタイプを打ってくれた人は、言葉では謝ってくれま せんでしたが(メキシコ人はあまり謝るのが好きではありません)、それでも 一緒にサインをしてくれる人の所に行って、証明書の出来上がりまで、付き合 ってくれました。
そして再び交通局へ行って、再び支払いをし、目の検査、写真撮影をした上 で正しい免許証を入手するにいたったのです。 教訓:人任せにせず、要点は 自分で確認のこと。
今年もそれを繰り返すものと、まず交通局へ用紙を取りに行きました。とこ ろが、今年はパスポート・オフィスへ行く必要はありませんでした。古い免許 証に、必要書類(申請用紙、ビザのコピー、住所を確認するもの、例えば電話 代の請求書など)を添付し、チェックのうえ受領されると、三日後に免許証を 受け取りに来るように言われて、その日はそれでおしまい。三日後に行くと、 まず書類にサインをして、支払いを済ませ、写真撮影をして待つこと15分で 出来上がり。ちなみに、私はフラッシュに目をつぶった写真入りの免許証を手 に入れました。勿論、交通局を出る前に、有効期限の確認をしたのは当然です。
驚いたのは、試験がない上に、去年までは必要だった目の検査もなかったこ と(単に忘れただけかも・・・)。そして免許証代が、私が本を書いた2年前 から46ペソで、このインフレの世の中にもかかわらず、値上げがなかったこ とです。
メキシコのこの方式を、「免許を買う」と言ってバカにする向きもあります が、ここでは滅多に交通事故を見ないし、この方式のどこが悪いのかわかりま せん。ここでも、普段は身分証明に使われているだけなのですから・・・。