「クエルナバカの碧い空」
-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
第3章 「クエルナバカ」から
−−どのホテルにも美しい庭がある。南国の花や木の実の間を飛びかう小鳥、蜜 を吸ってホバリングする蜂鳥、すぐ近くまできて土を啄ばむ孔雀などを、ボケー ッと見ながら、昼間から、ちびちびとマルガリータなんか飲むのは、いかがだろ うか。−−                             以上抜粋でした。 もう数年前から、我が家の軒先に、蜂どりの為に、蜜をいれたビンを吊り下げて います。これは、本当の蜂蜜ではなくて、スーパーのペット用品売場で売ってい る、蜂どり用の粉末ネクターを買ってきて、水で溶いて、吸い口のついた専用の ビンにいれ、ヒモでぶら下げておくのです。
我が家の軒先での光景           色鮮やかな蜂どり   

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クエルナバカは、常春とはいっても、何となくの季節ごとに、入れ代わり立ち代
わり色々な渡り鳥が来ます。#4のトッピクスでご紹介したガール・スカウトの
人たちは、OUR CABANA内の庭で、啄木鳥(キツツキ)や、真っ赤な鳥
を見たそうです。その他、春そのもの、プリマベラと言う名前の鳥や、つばめ、
私達が笛吹き鳥と読んでいる頭の赤い鳥などなど、春にはたくさんのにぎやかな
鳥が来ます。

その中で、一番楽しみなのが蜂どり(COLIBRI)です。蜂どりは、年末年
始の寒い季節にはいません。どこへ行っているのか、花はいろいろ咲いているの
に、姿を消してしまいます。それが、2月の終わり頃から、1羽、2羽と、ハイ
ビスカスの蜜を吸っている姿が見られるようになります。

数が圧倒的に多くなるのは、4月か5月からです。しかしながら、今年は、つい
最近現われた最初の一羽が、蜜の入れるビンを下げるヒモの周りをウロウロ、バ
タバタと、探して回っているのを見たのです。つまり、去年、自分たちの餌があ
った場所を覚えていて、帰って来たのです。

これには、ホロリとさせられました。嬉しいではありませんか。本物の花がいく
つも咲いていても、効率的に食事ができる蜜を、楽しみにしていてくれていたの
です。まだ、ほんの数羽しか見ていませんが、例年よりも早く、蜜を下げること
にしました。

蜂どりの蜜のビンが本当に役に立つのは、6月からの雨季です。雨の間、しぼん
だ花の代わりに、蜂どりが私達の作った蜜を吸いに来ますが、それは、もう整理
券を発行したほうがいいのではないかと思うくらい、列をなして来ます。一羽が
吸うと、別のが邪魔をしに来たり、我が家の玄関前を蜂どりが飛びかって、にぎ
やかになります。

双眼鏡で、ハイビスカスの枝に止まっている蜂どりを見ると、細い筒のような嘴
から、糸のような舌が出入りしているのが見えます。舌なめずりでもしているの
でしょうか。

蜂どりは、鳥の中でも最も小型で、きかん気が強くて、喧嘩っぱやい鳥だそうで
す。飛ぶ速さも、とんでもなく早く、それこそ矢のように上下、左右に自由自在
に飛び交います。熱帯地方を中心に、世界に320種類、メキシコだけでも50
種類が住むといいますから、もしかすると、あまり珍しい鳥ではないのかも知れ
ません。食物は、主に、赤い色の花の蜜で、小さな虫や蜘なども食べるそうです。

蜂どりのほとんどは、美しく輝くコバルト・ブルーまたは、エメラルド色の羽色
をしていて、本当のハチくらいの小さなものもいるらしいのですが、ほとんどは
体長10センチ前後です。ここに来る蜂どりは、あまり派手な色をしておらず、
たぶん、正確には、アマジリア・オアハケーニャという名前の、メキシコにだけ
いる種類のようです。

一回に100ccの蜜を作りますが、早い時には2、3日で無くなるほど、大食
漢です。一生懸命に蜜を吸う健気な姿は、感動ものです。今年も、列をなして食
べに来てくれる日が待ち遠しいです。

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バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税

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