「クエルナバカの碧い空」
-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
第19章 「猫穴」から
−−そうでなくとも、猫のニエベがウチに来てからは、旅行することがめっきり 無くなってしまった。みんな、旅行に行くよりも、ニエベと一緒にいたほうが、 心が休まるのだ。−−                             以上抜粋でした。 #4のトピックスに引き続き、セマーナ・サンタの旅行のお話です。 そんな訳で、去年は、セマーナ・サンタを我が家で過ごし、かえって若者たちの ドンチャン騒ぎで眠れない夜もあって、散々でした。今年は、アナスタシアとい う妹ができて、ニエベも淋しくはないのではないかと考え、思い切って一家総出 の旅にでたのでありました。 ただ、アナスタシアは、ニエベの半分くらいの体で、ニエベの3倍くらいの量を 食べるという超食いしん坊なので、エサをたくさんおいて行かなければなりませ ん。そこで、留守中にもムチャーチャに週に2回来てもらって、自動エサあげ器 (といっても、エサがたくさん入るただのエサ箱なのですが)に、エサを補給し てくれるように頼み、庭師のドン・ホエールにも、お隣のレティおばさんにも、 くれぐれもヨロシクとお願いして、後ろ髪を引かれ引かれて旅にでたのでした。 しかし、行った先のグランド・キャニオンも、ラス・ベガスも、もちろんデズニ ーランドやシーワールドも、どこも満員の人込みでした。忘れていたのですが、 この時期、アメリカもイースターの休暇中だったのですね。さすが、ラス・ベガ スでの宿泊はモーテルという訳にはゆかず、ホテルに泊まったのですが、立ち並 ぶ巨大ホテルが、どこもほぼ満員という大盛況だったのには、驚かされました。 また、帰国の途中にグアダラハラの近くにあるザポトラネッホという田舎町で、 宿を探した時には、最初の3軒のホテルが満パイで断られ、4軒目でやっと部屋 を見付けることができました。聞いてみるとこの町には4軒しかホテルがないそ うで、非常に焦ってしまいました。翌朝、ホテルの人に聞いてみると、この町は 洋服のメーカーが集まっていて、メキシコ各地からまとめ買いの人々がたくさん 来るそうです。 旅行の第一の目的地は、グランド・キャニオンでした。この壮大な景色を、かく も簡単に見られるとは、その人間の力の方が驚きです。
このスケールの大きさは久ぶさの感動でした

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グランド・キャニオンは、人里離れた砂漠の中の一本道を延々と走って、辿り着
いた地の果ての崖を見下ろしたら、そこに峡谷が広がっているとばかり想像して
いました。もちろん、そのスケールの大きさには驚かされましたし、風の強い日
だったので、自然の厳しさも身に沁みましたが、何よりも、まわりに並ぶ宿泊施
設やレストラン、土産物屋、満パイの駐車場、ひっきりなしに到着する観光バス、
ぞろぞろ降りてくる日本人などの団体客という光景に、大自然を手の平の上に乗
せて商売をしている人間の方がよっぽど驚異の存在だと感心したのでありました。

風の強い日だったので、ヘリコプターによる遊覧飛行を夫が言い出さなかったの
は、幸いでした。

ラス・ベガスもそうです。前にラス・ベガスを作った人の映画(題名も俳優も覚
えていませんが)を見たことがありますが、その人が一軒目のカジノ・ホテルを
建てたときには、ラス・ベガスというのは、それこそ砂漠のど真ん中にあったハ
ズです。それが、行けども行けども巨大ホテルが並んでいるだけでなく、まだま
だ建設中のホテルが沢山あるのです。しかも、すぐ近くまで民家や商店街、大学
まであるのですから、ラス・ベガスを作った人が、現在の町並みを見たら、カジ
ノを作ったのに、町全体が出来てしまっていて、びっくりするでしょう。
夜景見物もいいものでーす(お金が要らないから…)

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ホテル内や、ショッピング・モールでは、沢山のアトラクションが無料で見られ
ます。私達はいくつもホテルを見て回り、無料のアトラクションをハシゴし、夜
はネオン街を彷徨いました。何せ、私と一緒に旅行すると、やたら歩き回るので、
大抵の人は、二度と一緒に歩きたくないと言います。今回の犠牲者は子供たちで
した。カジノは、子供は立ち入り禁止ですが、子供用の遊戯施設があって、昼間
歩いてばかりで遊べなかった子供たちは、親に内緒で、夜中に起きて行ったそう
です。大人用のカジノは一晩中開いているのに、子供用のはさすがにもう閉まっ
ていたそうで、残念でした。
                        
何せ、どのホテルも巨大で、自分たちが泊まっているホテルの中だけでも、部屋
に辿り着くまでに、遠いうえに何度も迷い、時間がいくらあっても足りません。
そんなこんなで、ふと気が付くと、親子共々一度も賭博をしてないのに、去り行
く時間が来ていたという、何とも情けないラス・ベガスの一日でした。

デスニーランドはご想像の通りです。地に足のつかない場所の苦手な私は、ジェ
ット・コースターに乗れませんから、子供たちとは別行動で、穏やかな場所を選
んで過ごしました。
夕焼けのシンデレラ城、夜更けまで遊んだぞー

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面白かったのはハリウッドです。こういう名所は、駅弁と同じ、実物を見ると大
抵がっかりするものです。私達は、ハリウッド大通りをゆっくりと探し乍ら車を
走らせたのに、かの有名なチャイニーズ・シアターを二度も見逃してしまいまし
た。無理はありません。こんな所に手形や足形を押すために、世界的に有名な俳
優がわざわざ来るのかしらと疑問に思うほど、外見は小さくて、古びたシアター
でした。それでも、私はジャック・ニコルソンとハリソン・フォードの手形を見
付けたし、夫はマリリン・モンローと一緒に写真を撮ったしで、満足でした。
マリリン・モンローとツーショット、チョット照れますねー

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チャイニーズ・シアター前出発の、ビバリーヒルズの豪邸を見るバス・ツアーに
参加しました。クエルナバカの豪邸を見慣れている私にも、城のような大邸宅と
俳優の名前に目が眩みそうです。でも、現在も本人が住んでいるという家は少な
いようです。山の上の「HOLLYWOOD」の文字も思ったより小さく見えて、
近年ささやかれているハリウッドの衰退を実感しました。
山の上にHOLLYWOODマークが在りますが見えますか?

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ロス・アンジェルス最後の一日は、リトル・トーキョーへやってきました。ロス
には何度も来たことがあるけれど、ここは初めてです。夜に美味しいラーメン、
朝にうどんを食べられたことが収穫でした。ホテル・ダイコクという下宿屋さん
のような宿(ミヤコ・ホテルの真前)に泊まりました。そこでお会いした若い女
性トヨカワ・クミコさんは、メキシコにも来るとおっしゃっていましたので、ク
エルナバカにご招待しました。連絡が無いけれど、今頃どこの旅の空の下でしょ
うか?
リトル東京入り口のやぐらの前で、さあこれからサンディエゴへ出発だ

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サン・ディエゴの海岸は、風が強くて、ロマンチックに散策するという天候でな
かったのは、残念でした。そして、サン・ディエゴのシー・ワールドを最後に、
いわゆる観光旅行は終わりました。内緒ですが、本音を言うと、今回の旅の最大
の喜びは、アメリカにいる間ずっと久しぶりにバスタブ付きのお風呂に入れたこ
とです。結果的にケチケチ旅行になったのも、若い頃の旅行を思い出させて、面
白かったです。
シー・ワールドの巨大シャチ(シャムー)に大歓声

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帰ってきて一番先にしたのが、ニエベを捜したこと。その日は、家族4人分と猫
の為の刺身を注文し、アナスタシアも交えた刺身パーティを開きました。そして、
無事帰還めでたく再会を、美味しい刺身で祝ったのでした

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バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア

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