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#4 トピックス − テキーラ!!

前回のメキシコの飲み物に関しては、多くの方からご意見をいただきました。メ
キシコ在住のマサミさんやサトシさんからは、アグア・デ・サボールと呼ばれる
果実を使った、メキシコ風の飲み物があるとご指摘いただきました。

自分がノン・アルコールに弱いので、すっかり失念していました。しかし、これ
も掘り下げると、種類も多く非常に興味深いので、きちんと調査した上、近い将
来このトピックスで報告します。自然派の方や甘党の方、ご期待ください。

さて、今回は、お待たせのテキーラです。

テキーラはそのものズバリ、メキシコの飲み物です。ご存じのようにメキシコに
は多種のサボテンが自生しています。アガベと呼ばれる種類だけでも136種あ
り、その一種アガベ・アスール(青アガベ)だけがテキーラの製造に使われます。

しかも、アガベ・アスールでも、ハリスコ州全土、ミチョアカン州やグァナファ
ト州、ナヤリト州、タマウリパス州の一部で育つアガベ・アスールで造られたも
のだけが、テキーラという名称を持つことを許可されています。つまり、メキシ
コの中央部の、一年を通じて20度前後の気温を保ち、海抜約1500メートル、
年間3分の一は曇り空という気候条件に合った土地のみで造られる、極くメキシ
コな飲み物なのです。

ハリスコ州にテキーラという名前の小さな町があり、多くのテキーラ工場がある
ことは良く知られています(町の中心ソカロから工場見学のツアーもでていてい
ます)。スペイン人がメキシコを征服する何世紀も前から、この飲み物を製造し
て来たのです。テキーラとは、ナウアトル語で「仕事の場所」を意味し、「仕事」
とは、無論、アガベを伐採することに他なりません。

スペイン侵略以前は、この土地原産のアガベを醗酵させて造っていたのを、後に、
スペインの技術である蒸留課程を組み合わせて造るようになりました。メキシコ人
同様、テキーラも混血技法の飲み物となったのです。1785年から10年間、スペイ
ン王により、メキシコでのアルコールの製造が禁止されたことがありますが、嬉し
いことに、解禁となってからは、以前に増して製造が盛んになったのでありました。

7年から10年かけてアガベが成長し、肉厚の葉の中に、「ピーニャPINA(パイ
ナップル−パイナップルに似ている)」が育ちます。別名、「心臓CORAZON」とも
呼ばれるテキーラの材料ピーニャを、ヒマドールと呼ばれる男が刈り取ります。
この1個のピーニャでテキーラ4本が摂れる(98年12月、テキーラ村にて)

(クリックで拡大)
ヒマドールの仕事は熟練した技術と力を要します。肉厚の葉に覆われたピーニャ
が十分に成熟しているかどうかを外見から判断し、長い柄のついたコアと呼ばれ
る道具などを用いて、昔ながらの方法で掘り起こして切り、手際良く分厚い葉を
落としてから車へ運びます。大変なのは、一個30キロから50キロにも達する
ピーニャを、頭の上に乗せてアガベ畑のなかを歩き、車が待つ山道まで運ばなけ
ればならない事です。ピーニャ一個から約4本のテキーラができるそうです。

このピーニャを車で工場へ運び、ふたつ割り、もしくは四つ割にして、窯のなか
で澱粉質が糖分に変わるまで加熱します。加熱されたピーニャは、湿った木材の
破片のようですが、噛むと、繊維質の多いサツマイモのような味がします。

加熱済みのピーニャを圧搾機にかけて絞り、絞り汁を特別のオケにいれて醗酵さ
せます。100%アガベのテキーラでない場合は、ここで砂糖黍の絞り汁などと
一緒に発酵させます。その後、蒸留器にかけ、高温で最低2度蒸留を繰り返し、
不純物を取り除いたら、高純度の飲み物が出来上がるのです。工場で、出来たて
を試飲しましたが、飲むというより、舐めるだけで頭の頂点に達するような濃い
のみものでした。これを薄めて商品として出荷します。

これがテキーラです。非営利団体「テキーラ品質管理審議会」は、このように造
られた飲み物のうち、アルコール分38%から55%(強度76から110度)
の物だけをテキーラと呼んで登録しています。メキシコで市販されているテキー
ラのラベルには、「100%アガベ」と書かれています。この表示のないものは、
前述のように、砂糖黍などが混ざっており、審議会の規定として、テキーラと呼
ぶには、アガベが60%以上使われていなければならないとしています。

さて、テキラには3種類あります。

1)BLANCO (水のように透明なテキーラ): 2度目の蒸留の直後に得られるテ
キーラ。味がより純粋で、通が好む。

2)REPOSADO(樽でねかせたテキーラ):  BLANCO を少なくとも2ヵ月間、樫の
木の樽にねかせたもの。少し茶色で、まろやかになる。もっとも消費量が多い。

3)ANEJO(年代物テキーラ): 少なくとも1年以上木樽にねかせて成熟させる。
REPOSADOより色が濃く、木の香が心地よい。初心者にオススメの飲みやすさ。

テキーラではないけれど、同じような焼酎飲料にプルケとメスカルがあります。

1)PULQUE : プルケは、アガベ・アスールとは異なる種類の、マゲイというサ
ボテンの抽出液を発酵させて造ります。これは、スペイン侵略以前からの飲み物
で、長寿の象徴として儀式の時の飲み物だったそうです。

2)MEZCAL: メスカルは、アガベ・アスールではない他のアガベから造られます。
テキーラが2回以上の蒸留で純度が高いのに対し、一度の蒸留で完成される、も
っと濃くて、強烈な飲み物です。蒸溜前にピーニャを地下の窯で焼いたりする習
慣があるので、いわゆるスモーキーな薫製ぽい匂いがし、通にはこの匂いがたま
らないのだそうです。いわゆる地酒というか、他の飲み物のペット・ボトルに入
ったメスカルをふるまわれることがあります。喉が焼けるような危ない味でした。

このメスカルのビンに芋虫が入って売られていることがあります。これはこの植
物を食べて育つ虫で、アガベのエッセンスが出るだろうということで、びんに一
緒にいれているものです。もちろん、テキーラには入っていません。

テキーラは、ストレートで飲むときは、CABALLITO カバジートと呼ばれる小さな
グラスを使います。このカバジート、もとは、タベルナ(今は居酒屋のこと)と
呼ばれた工場で、できたてのテキーラを試飲するときに、現在は試験官のような
入れ物を使うのですが、昔は牛の角を使っていたので、角の形を真似て造られま
した。もちろん、牛の角と違って、テーブルの上で引っくり返らないように底は
平らです。

さて、長くなりましたが、有名なテキーラ・ベースのカクテルをご紹介します。
マルガリータです。このカクテルが知られるようになってから、米国でテキーラ
の消費量が倍増したという、誠に美味の飲み物です。

まず、カクテル・グラスの縁にレモン(ここではライム−緑色の小さいものを使
います)汁をこすり付けて湿らせ、皿に入れた塩に付けて、塩で縁取りします。
コアントローというリキュールと、レモン汁、氷、そして好みの量のブランコの
テキーラを混ぜ合わせ、ミキサーにかけて雪状にして、上記のカクテル・グラス
に注ぎます。既に出来上がったマルガリータ・カクテルも売られています。同様
に、氷と一緒にジューサーにかけてフローズン・ドリンクとして飲むとイケます。

レストランやバーで注文するときには、お酒に弱い人でも、"SUWAVE, POR FAVOR"
(薄めに)とお願いすると、テキーラを少なめにしてくれます。ちょっぴり甘くて、
さわやか、とても飲みやすいので、飲みすぎないようにと、私自身に注意!!

メキシコで大好きになったテキーラを、日本へのお土産に持って帰った人の感想
によると、なぜかメキシコで飲んだ味とは異なるそうです。気候の違い、レモン
の違い、塩の違い、雰囲気の違い? ちょっと試して見てください。

お土産といえば、メーカーや銘柄によってビンの形や色が様々で美しく、宝石の
ようなビンや、50センチくらいの高さの細長ビン、有名なトナラの陶器のもの、
ビンのなかにサボテンが植わっている(もちろんガラス製)ものなど、たとえ、
日本の気候とあわなくとも、長く目で楽しめます。

ああ、テキーラのこととなると、文章が止まりません。でもテキーラは書くより
飲むもの。今日はここまでにして、いつかまた、続編を書くことにします。だっ
て、カズさんが、レモンを絞り始めたのです。"SALUD"サルーッ!!乾杯!!
赤いのがサングリータ(辛い)  琥珀色のテキーラ(ヤメラレナイ!)

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バックナンバー
#2 メキシコの住宅事情
#3 警官への賄賂
#4 音楽友の会 10周年コンサート裏話
#5 ノーチェ ブエナ物語
#5 クリスマス行事
#6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行
#6 トレス レイエス
#7 ビザの種類と更新
#8 モナルカ蝶の聖域ツアー
#9 ガールスカウト奈良支部
#10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」
#11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行
#12 メキシコの飲み物


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