#4 トピックス − 独立記念日

9月16日はメキシコの独立記念日です。学校によって、16日前後二日間はお
休み、会社も16日はお休みです。祖国だの愛国心だのという言葉を忘れてしま
った日本人とは対照的に、メキシコ人はこの日を非常に大切にします。国歌も国
旗も絶対的で、人々に愛されるシンボルです。国旗の、緑白赤は、チレス・エン・
ノガーダなどの食物や飾りに使われています。特にこの時期、旗売りが道端に、
大小様々な旗や三色の飾りを並べて売っており、中心部の通りや、ソカロの建物
も三色があふれます。タクシーは、ボンネットや後の窓に大きな国旗を貼って走
っています。
街には旗売屋さんがいっぱい、チョト失礼しますよ

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9月15日の夜には、メキシコ市のソカロの大統領府のテラスから、大統領が旗
を振りながら、「メキシコ万歳、Viva Mexico」と叫び、鐘を鳴らします。これを
grito と言い、これに呼応するように、メキシコ国内の州庁舎のテラスで州知事
が grito をします。これは、メキシコに限らず、各国のメキシコ大使館や領事館
など、また、メキシコ人が集まる場所ならどこでも、お祝いとなります。日本に
いるメキシコ人も、きっと大騒ぎしていることでしょう。

この日、あの大きなモレーロス広場(第13号#1クエルナバカ紹介参照)に面
する州庁舎も国旗や三色のモールに飾られ、花火の用意がされ、州知事のgrito 
に参加しようとする人々で、超満員になります。夜中のせいもあり、危険でもあ
るので、私達は行ったことはありません。街では、酒類の販売を禁止され、レス
トランでもお酒は出ません。酔って暴動が起こるのを恐れているのでしょうか?

この夜、大抵、誰かが私達を誘ってくれるので、翌日が休みな事もあって、メキ
シコ人の家庭で、一緒にメキシコの独立を祝うことになります。昨年は、丁度、
日本から私達を訪ねてくれていた友人の熊谷晴美さんと清水玲子さんも一緒に、
お隣カサ2のアルフレドとレティの家で、コンドミニオの他の家族等と共に、テ
レビの大統領の grito に合わせて乾杯しました。こういう時、何か三色のものを
身につけるのが礼儀です。
ビバ・メヒコー、ビバ・メヒコー

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実は、メキシコは9月16日に独立したわけではありません。メキシコの本当の
独立の日と言えるのは、何年も後の1821年9月27日で、この日、もともと敵対
勢力であった二人の軍人、ビセンテ・ゲレロとアグスチン・デ・イトゥルビデが、
独立の為、和解し、メキシコ州にあるアカテンパンと言う場所で抱き合い、独立
と自由を宣言したのです。

ところが、ゲレロもイトゥルビデも、独立の立役者としての名を残していません。
イトゥルビデは独立後すぐに自分が帝王になりたがって派手な戴冠式をし、ゲレ
ロもその後大統領となりましたが、内乱の果てに、それぞれ1824年と1831年に銃
殺刑に処せられました。

では、9月16日は何が起こったか?司祭のミゲール・イダルゴは、criollo(メ
キシコ生まれのスペイン人のこと)であり、当然、当時のスペイン人によるビレ
イ政府に忠誠であったハズなのに、1810年9月に、悪政に反抗して独立の為に
立ち上がりました。イダルゴは、15日の夜中に行進を開始し、16日未明に、
自分が司祭をしていたグアナフアトのドローレスの教会の鐘を鳴らして、人々を
集め共に行進するよう叫んだのです。

メキシコ人が信仰していた処女グアダルーペの像を旗印にしたイダルゴの後には、
当時のスペイン人の悪政に苦しんでいた人々600人が集まって行進に加わり、
数日のうちに、インディヘナ、混血の人々だけでなく、criollo や、スペイン人
や軍人なども含めて8万人が行進に参加したと言われています。

これが独立運動の始まりですが、独立までにはまだ長い道程を経なければなりま
せん。武器を持たないイダルゴや民衆は、武装した金持ちのスペイン政府に押さ
えこまれ、イダルゴは翌1811年7月30日に処刑されます。しかし、この時イダ
ルゴに味方したホセ・マリア・モレーロスなどが、その後、独立運動を盛り上げ、
1821年の独立へと導くのです。そのため、独立の英雄といえば、イダルゴやモレ
ーロスが挙げられるのです。

その後、唯一のインディヘナ出身の大統領ベニート・フアレスの時代をへて、内
乱やアメリカの脅威、フランスの侵略、ポルフィリオ・ディアスの30年に亘る
独裁政治、革命と、まだまだ波乱が続くのですから、部外者にとってメキシコの
歴史はこれからが面白いのです。

このころ、「サボテンの上で蛇をくわえる鷲」の紋章が、軍旗として使われるよ
うになりました。最初は右を向いていた鷲の図柄が、少しずつ修正され、1984年、
最終的に現在の、左向きの鷲が花が咲いている nopal(サボテン)の上で、少し
羽を広げて蛇を捕まえれいる図柄になりました。その下には、encino (樫の木)
と laurel (月桂樹)の葉が左右に広がり、中央で三色のリボンで結ばれていま
す。旗は、竿から、緑、白、赤の順に三等分に色分けされ、大きさは縦横4対7
の比率と決められています。
サボテンの上で鷲が蛇を捕まえているの、分かりますか?

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メキシコ市のソカロや、大統領官邸に置かれた旗は、それはもうとてつもなく大
きいのですが、独立記念に、大統領がテラスで振る旗もかなり大きく、これを振
り、鐘を鳴らしながら叫ぶのですから、大変です。

また、メキシコ市のレフォルマ通りにおかれた彫刻の中でも一際目立つ独立記念
塔は、革命が始まろうとしている、ポルフィリオ・ディアス大統領の独裁政治の
最後の年の1910年に、独立100年を記念して作らせたものです。メキシコ人の
建築家アントニオ・リーバス・メルカドが設計したもので、高さ36メートルの
頂上に天使がいて、手に月桂冠を持ち、台座には、独立の英雄たちがいます。こ
の広場には、サッカーの大きな試合があると、大画面が置かれ、騒ぎになり、今
年のアメリカ・カップでも死者がでました。

それはともかく、El Angel という愛称の、金色に輝いてはばたく天使の塔につ
ては、建築家アントニオの孫の奥さんが書いた小説 「A la Sombra del Angel」 
(天使の影で)に、詳しく書かれています。これは、アントニオの娘を主人公に
した、革命を舞台にした劇的な実話小説です。クエルナバカも舞台になっている
この長編小説については、後日詳しく書きたいと思いますが、日本語訳が出てい
るかどうか、ご存じの方は、いらっしゃいますでしょうか?

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バックナンバー
#2 メキシコの住宅事情
#3 警官への賄賂
#4 音楽友の会 10周年コンサート裏話
#5 ノーチェ ブエナ物語
#5 クリスマス行事
#6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行
#6 トレス レイエス
#7 ビザの種類と更新
#8 モナルカ蝶の聖域ツアー
#9 ガールスカウト奈良支部
#10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」
#11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行
#12 メキシコの飲み物
#13 テキーラ
#14 花が咲いて実がなった(街で見る果物)
#15 アステカ・カレンダリオの謎
#16 2000年・年越し祭り


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