-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
#6 「クエルナバカの碧い空」続編 − 薬の話
#1、#4の病院や病気、怪我の話のついでに、薬の話をします。 日本でもインフルエンザが大流行という新聞記事を読みましたが、メキシコでも風 邪がはやっています。メキシコの今年の風邪の特徴は、鼻から始まって高熱、そし て喉の痛みで声が出ないというのが一般的のようです。常春とは言え、一日の気温 差が20度くらいになるし、空気はさわやかに乾燥しています。また、一時間ほど の距離でも、高度のせいでずいぶん気温が異なりますから、要注意です。 日本と海外とでは、薬事法が非常に異なるらしくて、一般に、薬局で買える日本の 薬は、あまり効き目が強くないようです。特に、風邪薬やお腹をこわした時の薬は、 日本から持ってきても、まず効きません。ヴィルスやお腹の虫の種類が違うようで す。メキシコの薬は非常に強烈で、よく効きますが、副作用もあるので、気をつけ なければなりません。 ある日、もうお腹も治ったので、招待されていたパーティに出席することにしまし た。ところが、まだテキーラに入る前、ちょっとビールを飲んだだけなのに、気分 が悪く、吐き気がします。ずいぶん早く酔っ払ったと恥ずかしく思いながら、中座 したのですが、これが、2,3日も前に飲んだ薬のせいと分かったのは、帰宅して からでした。以来、お腹をこわさないように特別注意です。なにせ、何日も酒が飲 めなくなりますから…。 こういう強い薬でも、医者の処方箋なしで売っていますから、個人の責任の問題で しょう。薬の箱にも、医師の処方箋に従って服用するようにと書いてあるだけで、 説明書も何も入っていません。お医者さんも、患者に、「高くて効き目の強い薬と、 安いけれど即効性のない薬と、どちらにしますか?」なんて聞いてくれます。 総じて、メキシコ人は、日本人よりも病気に対する付き合い方が、気楽でオープン なように見受けます。スーパーの前などの人の集まる場所では、赤十字の人が、通 り掛かりの人に声をかけて、血圧を測ったりしているし、医者は、薬品会社が持っ てきたサンプルを無料で患者に分けてくれたりします。薬局も3割引、4割引は当 たり前の割引合戦で、とても薬を売っているとは思えません。しかし、この気軽さ のせいで、日本にいた頃からの悩みの症状を、私はここで治しました。 まずはアレルギー性鼻炎です。杉花粉症ですが、あらゆる花粉、カビ、埃などの粉 に反応するようで、花の街クエルナバカは天敵と言えます。日本では春だけだった のが、常春のこの街では、一年中くしゃみ、鼻水だけでなく、目の中に水ぶくれが できるほどです。それが、ある日、見つけた点鼻薬を、夜寝る前にシュッシュッと 噴霧するだけで、すっかりアレルギーと縁が切れたのですから驚きです。日本では、 どんな薬も効かなかったのですから、それだけでもメキシコに来て良かった! また、たとえ、半年であろうと、1年であろうと、時期が来るまでは治らないと諦 めていた40肩が注射一本で治ったのも奇跡でした。まあ、今はかずさんが手伝っ てくれるからいいものの、腕が上がらなくて洗濯物も干せないないし、テニスもで きない。なにより、痛くて夜も眠れなかったのが、一本の注射を肩にしたら、1週 間ですっかり痛みが消えたのですから、MILAGRO奇跡としか言い様がありません。 ただひとつ、日本の方が勝っている薬があります。それは、虫刺されの薬です。虫 に弱い人は、絶対に日本から「キンカン」や「ムヒ」、「かかずにパッチ」などの虫 刺されの薬を持って来ることをおすすめします。メキシコで売っている唯一の虫刺 されの薬は、LOCION DE CALADRYL'Sと言うピンク色の塗り薬で、様々な原因の かゆみに効く薬です。 不思議なことに、メキシコ人は虫刺されをあまり真剣に考えていないようです。虫 除けの薬や、ベープ・マットなどの殺虫剤は売っていますから、刺されないわけで はないようですが、多分、身も世もないほど痒いという事がないのかも知れません。 しかし、私のように、蚊が足に止まっただけで、ぶっくりと膨れて痛痒くなるし、 同じ部屋にいても、蚊が私だけを刺しにくるのですから、キンカンが欠かせません。 ある日、子供たちの水泳大会に付き添って、ホフートラという街に行きました。オ リンピック・サイズのプールは屋外にあり、周囲は森です。しかも、木々から小さ な虫が落ちてきて、剥き出しの腕、足にあっという間に、赤い水玉模様ができまし た。バッグにキンカンを持ち歩くほど用意は良くないですから、水泳大会を見学す るどころではありません。 一緒に見ているメキシコ人たちはと見ると、皆刺されているし、水着姿の子供たち は、刺される面積も広いですから、それこそ大変です。そこで、隣の人に聞いたら、 「薬局が近くにあるから、シャンプーを買ってきましょう」と言うのです。かゆみ とシャンプーと何の関係がある???仕方ないので、メキシコ人と一緒に、薬局へ シャンプーを買いに行きました。 薬局では、2センチ四方くらいの小さなプラスチックの袋に入った液体を1ペソく らいで売っていました。そして、中身は、正真正銘のシャンプーでした。メキシコ 人は、虫刺されにシャンプーを塗るのです。しかし、泳いでいる子供たちは、プー ルに入るとシャンプーは落ちて流れ、プールの水は泡っぽくなり、上がってはシャ ンプーを塗り、泡まみれとなりました。私は、二度とホフートラには行きません。 サソリなどの毒虫も要注意です。知人が足の先をサソリに刺された時には、病院で 処置をした後も、2週間くらいしびれと腫れがひかなかったそうです。メキシコ人 は、サソリに刺されたら、まず、牛乳に卵をかき混ぜて一気の飲みして救急病院に 駆けつけるのだそうです。私達は、幸いにもまだ刺された経験がありません。その 体験談だけは、いつまでも書きたくないものです。

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バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア
#11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行
#12 「女性」から:老化現象と更年期障害
#13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」
#14 日本へ一時帰国しました/その他
#15 運転したら事故はつきもの
#16 私たちの夏休み日記
#17 最近の感動:みんな生きている!
#18 ホームページ1周年記念
#19 仕事人「かり」
#20「葛飾諏訪太鼓」の日々
#21 クエルナバカから謹賀新年

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