#4 トピックス ― 今も懐かし、街頭の物売りたち
日本の街角から、物売りののどかな声が聞こえなくなって久しい今日このごろです。 私達が日本を離れた5、6年前は、まだ、ちり紙交換のけたたましい拡声器の音が 響いていましたが、最近はどうでしょうか? 「唐茄子屋政談」のカボチャ売りなど、落語に出てくる売り声は風流そのものです。 実際、私の子供の頃は、金魚売りの「きんぎょおえ、きんぎょっ!」、物干し竿売 りの「さおやぁあ、さおだけっ!」と言うなかなかに渋い声や、豆腐やのプーポー というラッパの音など、味のある音が静かな街に流れたものです。夜鳴きそばのチ ャルメラや焼きいも屋のおじさんの声が聞こえる街も、まだ残っているでしょうか? と、ちょっと柄にもなく、懐古趣味に浸ったところで、クエルナバカの物売りたち を紹介します。まだ、高層マンションも少ないし、第一、物売りは、マンションや 奥深いお屋敷に住んでいる人相手ではなく、すぐに飛び出して来る庶民相手の商売 ですから、商売しているのか散歩しているのか判断のつきかねるような、ぶらぶら 歩きで、ついでに油も売りながら歩いています。 物によっては、果たして商売が成り立つのかしらと心配になるようなものもありま すが、クエルナバカでは例によって、みんな陽気で呑気、気楽なものです。許可も 必要ないらしく、街角、即、開店地となるのが、クエルナバカのいいところ。住宅 街に突如現れた店先で、私達も足を止めて品定めします。
タマーレス売りの少年  花売りおじさん  鳥かご売り(あっちで鳥も売ってるぜ)

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まずは、食べ物編。毎朝、10時ごろ、メキシコ人の朝食時間になると響いてくる
のが、日本の豆腐やのラッパに良く似たプハプハという音と、「タマァレースッ」
という間延びした声。これが、メキシコの代表的な庶民の味、タマーレス売りです。
タマーレスはとうもろこしの粉に鶏肉などを混ぜて、トウモロコシの皮やバナナの
葉で包んで蒸したもので、辛いの甘いのといろいろあります。リヤカーに炭コンロ
と大蒸し鍋を乗せてやってきます。きちんとした店でも買えますが、こうして売り
歩く人から買うのも一興。しかも安いんです。一個、2、3ペソ、2個も食べればお
腹いっぱいです。朝だけでなく、一日中、あちこちで見かけます。

チチャロン・ポテトチップス屋は、道路の角などにケース付きの自転車を止めて売
っています。車を停めて買うと、赤くて甘辛いサルサを付けてくれます。メキシコ
人は、いつでもどこでも物を食べる癖のある、ちょっとお行儀の悪い人種ですが、
とくに、車を運転しながら物を食べている人が多いのには呆れてしまいます。携帯
電話より危険です。

フラン・ゼリー売り。フランというのは、プリンのことで、メキシコ人の大好物の
デザートです。ゼリーも同様。色とりどりの手作りのフランやゼリーが3、40個
入る特製のガラス・ケースを肩に担いで売り歩いています。一個5ペソとして、全
部売っても200ペソくらい。これで、生計が成り立つのでしょうか!! まだ、
買ったことはありません。

学校が終る2時頃には、学校の前に、下校の子供たちと、送迎の親とを狙って、文
房具屋、お菓子屋、アイスクリーム屋、トルティージャ屋、チーズ屋、果物屋など
が群がります。時には、洋服屋、靴・バッグ屋まで来て、車の天井に品物を並べる
のですから、もう売れるなら何でも、どこでもの驚異の商売熱心。

ここで、食べ物から離れて、食べられないもの編、まずは、花屋さん: 花の街ク
エルナバカで、誰が買うかしらと不思議になるけれど、バラの花束を売る「花売り
の少女」やおばさん、おじさんだけでなく、さまざまな切り花や鉢植えを街角で売
っています。愉快なのは、花売りのおじさんです。真っ白いアルカトラス、大輪の
ひまわり、どでかい真っ赤なバラと、人目を惹く派手な色合いの花を肩に担いで売
り歩いているのですが、これが何と造花なのです。この新鮮な花の街で、それでも
造花を買う人がいるのでしょうか?  

風船屋さん: バレンタイン・デイの時期だけではなく、ハート形やピカチュウ形の
ピカピカに輝く色とりどりの大きな風船のかたまりは、遠くからでも目に止まりま
す。ちょっと車を運転すると、やまもりの風船を持って、それでも手持ちぶさたに
突っ立っている男の人をよく見かけます。ひょっと見ると、足が宙に浮いています
から、そのまま風に吹かれて飛んで行って、風船おじさんになっても不思議ではあ
りません。これまた誰が買うのか? 朝見ても、夕方見ても、いつ見ても、仕入れ
たばかりみたいに、いっぱい持っている…。

先日、車を飛ばしていたら、道端においたカゴを前にして、手に何かを持って売っ
ている人がいます。急停車してバック。近づいて見ると、何と手のひらに乗ってい
るのは小犬でした。かごの中にももぞもぞ動いていますが、商売というわけではな
いようです。単に、自分のうちで生まれた小犬を売っているだけでした。

その外、鳥、鳥かご、大袋のにんじん(30キロくらいで、30ペソでしたよ!)、
などなど、何でも商売になります。

特別編: 家具屋さんは、手作りの家具を引っ張って売っています。それも、小さ
な家具ばかりでなく、ベッドや机を売っているのです。

刃物砥ぎ屋。チリン、チリンと鉦を鳴らして、車輪のようなものを押しながら歩い
ています。まだスペイン語がよくわからない頃、うちの前を通りかかった砥ぎ屋に、
「何を売っているの?」と聞きに行ったことがあります。理解するのに随分時間が
かかりました。あの時のおじさん、好奇心だけで引き止めて、しかも仕事を頼まな
いで、ごめんなさい。

重そうな袋を乗せたロバを引っ張って、ドアからドアを訪ね歩くおじさんもいます。
袋には腐葉土や芝生用の土が入っています。いくらロバでも、そんなにいくつもは
担げません。両側に2個づつも吊るせれば、せいいいっぱいです。大きな庭のある
家やコンドミニオが多いので、よく売れるようですが、あまり効率はよくないでし
ょう。我が家も買いましたが、袋一個20ペソ。ロバの餌代にもならないのでは?

その外、椅子売りが椅子を作りながら売っていたり、竹箒売り、オレンジ売りなど、
道端だけでも日用品が揃うほど。小さなリヤカーにせいいっぱいの掃除用具を乗せ
て引いている雑貨屋もいます。長い竿についた煤払い用のタワシがなかなかきれい
です。その外、新聞売りに、ガム売り、地図やルーぺ、車の飾りなどなど、街には
素朴な誘惑がいっぱいです。

その外、独立記念日近くになるとメキシコ国旗売りが、革命記念日近くには三色旗
TRICOLOR の色の小物の飾りやが、クリスマス・シーズンが近くなるとポインセチア 
NOCHE BUNENA の鉢売りが街路を更に華やかにします。

クエルナバカでは、よそ見しないで運転するのは大変です。

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バックナンバー
#2 メキシコの住宅事情
#3 警官への賄賂
#4 音楽友の会 10周年コンサート裏話
#5 ノーチェ ブエナ物語
#5 クリスマス行事
#6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行
#6 トレス レイエス
#7 ビザの種類と更新
#8 モナルカ蝶の聖域ツアー
#9 ガールスカウト奈良支部
#10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」
#11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行
#12 メキシコの飲み物
#13 テキーラ
#14 花が咲いて実がなった(街で見る果物)
#15 アステカ・カレンダリオの謎
#16 2000年・年越し祭り
#17 9月16日 独立記念日
#18 特別ゲスト、中村さつきさん
#19 DIA DE MUERTOS 死者の日
#20 葛飾諏訪太鼓メキシコ滞在記 (リーダー水澤啓一 記)
#21クエルナバカの年末年始
#22 メキシコ病院事情


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