-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
#6 「クエルナバカの碧い空」続編 − 夏時間、ク日比較アンケート
メキシコは夏時間になりました。4月1日と2日の土曜と日曜の間の夜中から、夏 時間となり、日本との時差は15時間から14時間になりました。 夏時間が近づいてくると、各地から夏時間への対応に関するニュースが聞こえて来 ます。私達がメキシコへ来て2年目の1996年に始まった夏時間は、5年目を迎 え、今年は、特に、16の自治体から、夏時間反対の声があがりました。私達の住 むモレーロス州も、首都メキシコ市も反対組ですから、今年から夏時間を廃止する のではないかと、期待を込めて見守ったものです。メキシコ市では、市民投票まで 行い、70%以上が夏時間反対という結果まで引き出しました。しかし、残念な事 に、投票が行われたのが、2日前という慌ただしさですから、今年、夏時間を廃止 するには、ちょっと手遅れでした。メキシコ人は直前にならないと行動を起こさな い、という好い例でした。 しかし、夏時間をやめた上に標準時間も変えてしまおうという州もあり、夏時間に しても、例えば、学校の時間帯を冬時間のままにしても罰則を適用しないという州 もあり、このまま議論が深まれば、来年には、夏時間廃止も夢ではないでしょう。 議論の特徴は、全国民・対・エネルギー省との戦いのようです。つまり、体内時計 の規則に合わせて生活したいか、石油などのエネルギーを節約したいか・・・。国 民が、反対意見として、「朝が暗くて、子供たちの通学が危険だ」と言えば、エネ ルギー省は、「夜8時過ぎまで明るいので、会社から帰宅する時の安全性が高まる」 といったぐあいです。実際に、石油などのエネルギーが節約になっているのでしょ うが、それも、地域によるでしょう。 モレーロス州のように、ベトナムやタイと同じくらいの緯度にあって、日の出、日 の入りの時間が一年中、あまり変化のない場所では、夏時間は全く不要です。折角、 日が延びて、朝、明るくなったと思ったときに、夏時間になって、また真っ暗なう ちから起きて、電気をつけて、朝の支度をするのですから・・・。 日本も夏時間を採用するという計画が進んでいると聞きますが、あまり簡単に考え ない方がいいです。なにせ、一時間時計を進ませるというだけで、毎朝、あともう 一時間寝られたのに!と、どんなに損をした気分になるか!この「損した気分」は、 エネルギーの消費とは、全っく無関係に不愉快なものです。それが証拠に、夏時間 から冬時間に、時計を遅らせる時には、反対の声が起きません。どうしても、夏の 朝の明るさを利用したいのであれば、一年中、今よりも一時間早めて、それを標準 時間とする方がいいです。どうせ、冬は、朝も夜も暗いのだから・・・。 閑話休題。先日、朝日新聞の第一面に「在外経験女性に聞く」というアンケート記 事が載っていました。それによると、北米、欧州、大洋州の11カ国に一年以上暮 らした経験のある帰国日本人女性に質問したら、全体的に、満足度は海外の方が高 かったそうです。それによると: 日本が優れているのは、治安、交通機関、買い物の便利さ。 欧米が優れているのは、高齢者・障害者への配慮、歩きやすさ、美観、緑の多さ。 そこで、私も、上のアンケートで無視された中南米地域を代表して、クエルナバカ と日本の関東地方を比べてみました。なぜ関東地方を選んだかというと、大人にな って住んだり働いたりした事があるのが東京と神奈川県だけだからです。では、私 だけのク日(クエルナバカ・日本)比較アンケートです。 欧米が優れていると言われている「高齢者・障害者への配慮、歩きやすさ、美観、 緑の多さ」に関しては異議ありません。クエルナバカは、道路が整備されていない し、施設のバリアフリーなどに関しては、全然、発達していませんが、高齢者も障 害者も、若者や健常者と全く一緒に生活していて、手を貸し合う事が普通にできる ので、車椅子の人が外出するのも、日常生活の中で気楽にできます。老人が大切に されているのは、言うまでもないことです。 問題は、日本が優れているとされる「治安、交通機関、買い物の便利さ」です。ま ずは、交通機関。私は日本に帰ると中央線を利用するのですが、これが毎日のよう に、飛び込み自殺のため不通になったり遅れたりするのです。しかも、いつ乗って もすごい混雑。夜は酔っ払いもいるし・・・。サリンはまかれる、脱線追突事故は 起きる(どちらも、勤めていた頃、よく利用した地下鉄)・・・。遊ぶ場所や会社 が家と遠く離れているから、交通機関の整備が不可欠なだけでしょう?すし詰めの 通勤電車で、「窓ガラスが割れますから、窓に手をつかないように!」なんていう アナウンスを今でも思い出します。これって、本当に便利なの? クエルナバカなら電車がないから満員電車もなし。バスはどこまで乗っても2ペソ (26円くらい)だし、タクシーだって安くて、運転手も愛想よし。もちろん、自 家用車なら、市内なら端まで行っても20分もあれば着いてしまう。私なら、こう いうのを「交通が便利」といいます。 そして、買い物。日本で買い物が便利と言うのも大きな違和感があります。あまり にも物が豊富すぎます。必要なものだから買いに行くというより、何があるか見る ためにデパートに行く人も多いでしょう。必要性や趣味に関係なく、売っているか ら、流行っているから、と買う人もいます。私なんか、目移りしているうちに時間 ばっかりかかって、何にも買わないで帰ってきてしまったことも度々です。デパー トもないクエルナバカこそ、本当に買い物が便利。だって、必要なものだけ買えば いいのだし、種類が少ないから、迷う心配もない。 一番、気になるのが治安の問題。本当に日本は治安がいいのでしょうか?私は、友 人が日本に帰るというと、思わず、「気を付けて!」と言ってしまいます。ストー カー殺人、中学生の恐喝事件、少女監禁事件など、警察が全く頼りにならない最近 の大事件だけではありません。 下着泥棒、スリ、痴漢は前からいたけれど(これ全部、経験あり)、前回、日本に 帰った時にも、恐い思いを何度かしました。外出すると、よく会うのが、ブツブツ 独り言を言う挙動不審な人。こんな人とは目を合わせないようにと緊張します。南 武線で、若い女性が、変な男に絡まれているのを見ましたが、若い男性も近くにい るのに、誰も彼女を助けてあげません。彼女は、電車が停まったスキに、降りて逃 げて行きましたが、今度は、こっちに来そうで、私も逃げました。友達にその話を すると、「何があっても、人を注意したり、助けようとしない方がいいよ。一言、 注意しただけで刺されっちゃう人が“ヨク”いるんだから」だそうです。 満員電車の中で大喧嘩している人も見ました。それも、妙齢の女性が、大胆なタン カを切って罵声をあびせているのです。ただ、触れたとか、見たとかいうだけの原 因で怒鳴りあうのには、びっくりしました。人が人を忌み嫌い、避けているという 感じ。みな、イライラと一触即発状態。こういうのを、安全と言いますか? 誘拐、強盗、殺人、泥棒。これは、どこにでもある、貧しい人、不遇な人が犯しが ちな犯罪で、貧富の差が激しいメキシコでも多いです。日本並みに、警察を信頼で きません。でも、道ですれ違う一般市民にたいして、緊張感を持つ事はありません。 それが大切なのではないでしょうか? どこに住んでも、楽しく暮らす秘訣は、私のように、自分の住んでいるところ、自 分が持っている物を、最高と思える、そんな自己中心的な性格を備えていることと 言えましょう。本当、クエルナバカが一番です。

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バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア
#11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行
#12 「女性」から:老化現象と更年期障害
#13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」
#14 日本へ一時帰国しました/その他
#15 運転したら事故はつきもの
#16 私たちの夏休み日記
#17 最近の感動:みんな生きている!
#18 ホームページ1周年記念
#19 仕事人「かり」
#20「葛飾諏訪太鼓」の日々
#21 クエルナバカから謹賀新年
#22 薬の話
#23 社交サロンの話

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