
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第25号
#6「クエルナバカの碧い空」続編 − 母は強しセマーナ・サンタ(聖週間)の長〜い休みが終りました。聖週間は、聖木曜日(JUEVES SANTO)から始まって、聖金曜日(VIERNES SANTO)、栄光の土曜日(SABADO DE GLORIA)、復活祭の日曜日(DOMINGO DE PASCUA)と続きます。復活祭(いわゆるイース ター)は、満月の日曜日で、毎年3月22日から4月25日の間にあるそうです。 去年は4月4日だった復活祭は、今年は4月23日と、随分、日にちがづれました。 子供たちの学校は、この聖週間を挟んだ2週間が休みとなり、親たちもそれに合わせ て休暇をとる人が多く、メキシコ市は閑散とし、クエルナバカは渋滞します。日本の ゴールデン・ウイークよりもずっと長いお休みです。去年はこの休暇を利用して、メ キシコ縦断アメリカ旅行をしたのですが(第11号の#4トピックス参照)、今年は、 諸般の事情により、たった2泊3日の温泉旅行となりました。 閑話休題。幸せなメキシコ生活の中で、たったひとつの悩みは、女同士でダベる習慣 がないことです。特に、母親同士で子供のことを愚痴るなんて見た事もありません。 ここでは、両親、おじいちゃん、おばあちゃん、親戚がよってたかって子供たちを超 のつくほど甘やかし、何もかもが子供中心、家族ぐるみです。反抗期、親離れ子離れ、 世代の断絶等という言葉は辞書になく、図体の大きい男の子がお母さんと手をつない で街を歩いていたり、親を呼んだつもりなのに、いい年をした娘が付いてきてしまう こともあります。だからと言って、それが原因で子供が自閉症になったり、二階に 少女を監禁したり、突然キレて人を殺しに行ったり、恐喝して豪遊したり、バスをハ イジャックするという問題はここでは起こりません。(反対に、犯人グループを捕ま えてみたら、母親を含めた家族、親戚一同ということはよくありますが・・・。) この時期、聖週間が終っても、4月30日は「子供の日 DIA DEL NINO」、5月1日は メーデー DIA DEL TRABAJO, 5月5日は「プエブラの合戦の記念日ANIVERSARIO DE LA BATALLA DE BUEBLA」、5月10日は「母の日DIA DE LAS MADRES」、5月15日 は「先生の日DIA DEL MAESTRO」、5月23日は「生徒の日DIA DE LOS ESTUDIANTES」 と、なんだかんだと理由をつけては学校が休みになります。我が家の娘は19歳、息 子は13歳ですから、もう勝手に自分でどことなり遊びに行けばよいようなものです が、ちょっと休暇が続くと、かようにだれもが家族ぐるみで行楽地へ遊びに行ってし まうので、遊ぶ相手がいなくなって、家でゴロゴロという事態に陥ります。 この間、普段は母親稼業を放棄している私も、必然的に、家で働かざるを得なくなり、 その上、遅れた勉強の手伝いだの、お腹を壊して医者通いだのと用事が増える一方で、 通常の家外活動は一部カットを余儀なくされます。まったく、自分よりも図体の大き な子供たちに仕えるのも難儀なもんだ。 メキシコでは、「母の日 DIA DE LAS MADRES」は5月10日です。この日、独立記念 日より大切と言う人もいて、どのレストランも幸せそうなお母さんを囲んだ家族連れ でいっぱいになります。しかしながら、「母の日」まで学校がお休みになるのですか ら、これは一体どういうことか!? お母さんにお休みはないのか!と声を大にして 言いたい!! これは、多分、メキシコでは、小、中学校の先生は95%くらい女の 先生で、同時に母親であるわけで、それで休みなのだと思う。でも、「先生の日DIA DEL MAESTRO 5月15日」だって、当然のように学校はお休み! 何をか言わんや!! というわけで、今回は、「母親は強し」という話です。もちろん、愚痴っぽい私のこ とではありません。鳥の話です。4月から8月にかけては、一番、庭にハチドリが集 まる季節で、軒先に吊るしたハチドリの蜜の取り合いになります。100ccの蜜が 一日でなくなることもあります。ところが、先日、あることに気がつきました。小さ な小さなハチドリが吸いに来ているのです。それだけでなく、この小さなハチドリ以 外の他のハチドリは、全然、蜜を吸えないでいるのです。
子供の為ならエンヤコラ、見張りを続ける親ハチドリ(クリックで拡大)
それは、この子ハチドリの母親が、うちの前庭のハイビスカスの垣根で、ずぅっと見 張っているからなのです。こうしている今も、目の前の小枝に止まって、ときどき舌 をチュルチュルと出したり引っ込めたりして番をしている姿が見えます。私達が出て いっても逃げず、よそのハチドリが来ると、さっと飛び立って追い払うのです。仕方 なく、もう一本、餌ビンを買って二階のベランダにも吊るしたら、それも、自分の子 のものだと主張するのですから、立派を通り越して憎らしいこと。まあ、鳥の喧嘩に 人間が出るものではないので(というか、どうにも仕様がないので)、静観するより 仕方ありません。 去年は、うちのニエベ猫が鳥にひどい目に会いました。多分、ニエベが鳥の巣を荒ら したのだと思うのですが、プリマベラという鳥がニエベに復讐しに来たのです。プリ マベラはハトよりちょっと小柄で、さまざまな鳴き声をもつ表情豊かな鳥ですが、巣 を荒らされた母鳥がニエベを追いかける様は、人間でも恐れおののくほどでした。ニ エベが家から一歩でも出ると、どこからともなく飛んできてアタックするし、たとえ 家の中にいてもガラス戸から見える所にいると家のすぐ前まで来て、ドスのきいた声 で威嚇するのです。しかも、ある日、ガラス戸を開けておいたら、中にいたニエベを つっつきに入ってきたんですよ。 ニエベの母さんである私が、ニエベがかわいそうだからと庭の散歩に同伴すると、私 がいるのにもかかわらず、急降下してニエベをつつくのですから、立派な根性です。 まあ、元々ニエベが悪いのでしょうから、ニエベには暫く家庭内蟄居(ARRAIGO DOMICILIO)を申し渡しました。さすがにニエベも心身症に陥り外出をしたがりません でした。 今年になって、もうあの事を忘れ去ったのか、5月5日の金曜日の夜、ニエベはひな 鳥を咥えて帰って来ました。それが、すでにもう毛が生えそろっていて、しかも怪我 した様子も見えず元気そうです。いつもは、ニエベの獲物はニエベのものなのですが、 この小鳥だけはニエベに返せません。取り上げて私達が保護することにしました。 その夜、ミルクにパンを浸して爪楊枝であげようとしたのに、くちばしを開けさせる ことができずに断念。翌土曜日の朝、小さな鳥かごを買い、ベランダに出しておいた ら親鳥が来てエサをあげるかと待ったけれど、そうはウマく行かず。鳥かごを買った お店に戻って、どうしたらよいか尋ねたけれど、あまり参考にならなかった・・・。 そして、翌朝にはもう鳥かごの片隅で、小さく固まったまま死んでいたのです。かわ いそうな小鳥!名も無いひな鳥は、庭のみかんの木の下にひっそりと葬られました。 かずさんのメール友達のオーストラリア在住のキトンさんが、小鳥に、口を開けさせ てエサをやる方法を教えてくれました。ありがとうございました。次回はきっと、教 えてくださったようにやって、生き長らえさせてあげます。 ああ、にわか母親は辛いものです。手の中で震える小鳥のくちばしを開けさせようと すると、壊れてしまいそうだし、お腹は空いているはずだし・・・。9年間も監禁さ れていた少女のことを思い出してしまいました。鳥から見たら、おっかない顔の人が 尖った爪楊枝を持って襲ってくるのですから、さぞかし恐かったことでしょう。監禁 が一晩でも、本当のお母さんが作った暖かい巣しか知らないひな鳥には、9年間に匹 敵するくらい長く感じたに違いありません。 時々強風の吹くこの季節、今日もまた、木の上の巣からひな鳥が転げ落ちて、ニエベ のエサになるのでしょうか? まあ、ニエベのお母さんを自認する私にとっては、ど っちにしても厳しい野生のしくみです。本当のお母さんは強い、けれど、私は・・・。 あ〜あ、また愚痴になりそう・・・。
バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々#21 クエルナバカから謹賀新年
#22 薬の話
#23 社交サロンの話
#24 夏時間、ク日比較アンケート