メキシコで温泉と言うと、意外と思う人が多いようです。でも、メキシコも日本と同
じ火山国ですから、地震も多いし、温泉が出るのも不思議ではないのです。
例えば、バハ・カリフォルニアのトレス・ビルヘネス(TRES VIRGENES)をはじめ、
セボルコ(CEBORUCO)、ピコ・デ・オリサバ(PICO DE ORIZABA)、ポポカテ
ペツル(POPOCATEPETLE)、イスタシワトル(IZTACCIHUATLE)、ネバド・デ・ト
ルーカ(NEVADO DE TOLUCA)、ネバド・デ・コリマ(NEVADO DE COLIMA)、サン・
マルチン・トゥクストラ(SAN MARTIN TUXTLA)、チチョナル(CHICHONAL)、タカ
ナ(TACANA)など、とくに、メキシコ中部から南部にかけて、現在も活動を続け
る火山がいっぱいです。
特に、プエブラ州、メキシコ州、そしてモレーロス州の3州の州境にそびえて常に頂
上に雪をいただく標高5,465mの活火山ポポカテペツルは、富士山形で見た目も美
しく、麓にはいくつもの温泉が沸いています。そういうわけで、この付近には温泉が
多く、しかも意外と、メキシコ人は温泉好きなんです!!
すでに、私達は、SAN MIGUEL DE ALLENDE (グアナフアト州、サン・ミゲル・デ・
アジェンデ)の近くの TABOADA (タボアダ温泉)、ESTADO DE MEXICO (メキシコ州)
IXTAPAN DE LA SAL (イスターパン・デ・ラ・サル)、CUAUTLA (モレーロス州、
クアウトラ市)の AGUA HEDIONDA (アグア・エディオンダ−「臭い水」という
意味)などの温泉に行った事があります。それぞれ、大プールと温泉という組み合わ
せでなかなか楽しめます。
今回、私達が行ったのは、BANOS TERMALES DE CHIGNAHUAPAN という PUEBLA (プエ
ブラ州)の北にある温泉です。これが非常に気に入ってしまったので、メキシコの温
泉の代表と、勝手に決めて、皆さんに紹介します。
さて、聖週間 SEMANA SANTA で、我がコンドミニオの庭が騒々しくなった4月
17日の週は、私達は家でじっと我慢でした。というのも、この週こそ、聖週間の真
っ只中で、うちの庭だけでなく、どこも混み合い、すいているのはメキシコ市だけと
いう状態。しかも宿泊料金などは、シーズン値段となり、普段の倍から3倍というと
ころもある程ですから、心身さいふ共に疲弊してしまいます。
また、この休暇にどこに行くか決め兼ねていた状態でもありました。そんな時、メキ
シコ市在住の植田さんからメールが入りました。彼女曰く、
−−私はプエブラ州にあるチナワパン温泉がやはり一番日本人好みのお湯ではないか
と思います。DFから片道3時間かかりますが、週末を利用しても十分行ける距離な
ので機会があればぜひ一度行かれて見てください。ホテルは旅行代理店を通じて予約
もでき(2件ホテルがありますが、1件の方しか予約出来る規模ではないためすぐわ
かります)、各部屋にお湯をはれる浴室付です。3食の食事も込み(素朴なメキシコ
料理ですが、なかなかおいしいです)で1泊一人約40米ドルくらいであったと記憶
しています。他にもベラクルス、ケレタロ、サンミゲルアジェンデ、トルーカ等にも
たくさん温泉があって、それぞれ趣が違うので楽しめますよ。−−
そこへ、私がとっている雑誌が届き、これがプエブラ州特集で、そこにこのチグナワ
パン温泉のことが書いてあったから、たまりません。すぐに温泉宿に電話して、予約、
そうして予約金を振り込んで確認したのが、出発の2日前のことでした。
あまり遠くないので、4月26日(水)午前10時に我が家を出発しました。そうし
て、間もなく、思っていたよりも大変な旅だということに気が付きました。プエブラ
州というのは、モレーロス州と隣接していて近い筈なのですが、しかし、プエブラと
言っても広うござんして、しかも入りくんでいるので、途中、トラスカラ州を縦断し
て再びプエブラ州へ入り、やっと CHIGNAHUAPAN に入ります。そうして、ここからが
大変。一時は、植田女史を恨む気持ちにさえなった程です。
全くの赤土の山道を、時々現れる BANOS TERMALES(温泉)とか BALNEARIO (水浴施
設)という立て看板に導かれて、タイヤを滑らせながら、延々と行くこと終りなし。
最後に急坂を下ったら、やっと民家らしきものが現れてほっとしました。永遠に着か
ないかと思った。しかも、白い車は赤土で真っ赤っか、大変な所へ来てしまった!
しかし、民家と思ったのは、実際には6階建ての立派なホテルで、入り口が5階にあ
ったから小さく見えただけでした。1階に降りてゆくと、大小の屋外プールがあって、
硫黄泉のかぐわしい匂いと豊かな湯。夕方に到着した私達は、小雨が降ってきた中、
その湯気を見ただけで、恨みも疲れも吹き飛びました。部屋は1階から5階まであり
ますが、1階はプールと同じ平面にあって、窓も開けられないしうるさいので、3階
の部屋がお薦めです。部屋はお風呂中心の設計なので、ちょっと変形ですが、大きく
て居心地がよろしい。ダブル・ベッドがふたつ、TV、シャワーもついてます。
まわりは、な〜んにも無し。谷底のホテルを出て、橋を渡り、ちょっと散歩したけれ
ど、小さな売店と現地の人々が開く屋台の食堂や土産物屋が出ているだけで、店をヒ
ヤカシながら30分も歩くと、あとは赤土の山道がどこまでも続くのみ。しかし、こ
の土産物屋で、私は、久しぶりに着てみたらデレーっと伸びて恥ずかしい状態の水着
を捨てて、新しい水着を80ペソ(約1000円)で買いました。「かずさんの正装」
のT−シャツも、25ペソだったので、思い切って2枚買いました。
という訳で、一回チェック・インしたら外へは出かけられない、文字どおりの滞在型
ホテル。水着を着てプールに浸かるか、裸で内風呂に入るか、ベッドで本でも読むか、
寝るか、食事をするか、これしか選択肢がありません。ウマイ具合に、これ全部私の
大好物、何日でも湯に浸かって、本を読んで、食べて寝てを繰り返すだけで、幸せに
生き長らえそう!!
食事は、3食ともビュッフェ形式で、メキシコ料理や果物、飲み物が豊富に揃い、そ
の場で作ってくれるケサディージャなども美味しく、大満足。生音楽も入っているし、
バーもあり、頼めば、アイスを貰って、部屋で持参のテキーラを飲むこともできます。
到着してすぐにプールに飛び込みました。山の天気のせいか、夕方になって冷たい雨
が降り始めたにもかかわらず、大勢の人がプールに入っています。泊り客以外の近隣
の村人たちも、バスが通っているので、入浴料金のみで遊びに来ています。湯の温度
が、いくら浸かっていてものぼせない、い〜い加減。丁度、小雪降る山あいの露天風
呂という雰囲気。硫黄の匂いが、「これぞ温泉!」を確認させてくれます。
夜は、部屋の風呂に温泉の湯をはります。これが大きいお風呂なのに、お湯がドバッ
と出てあっという間に風呂桶が満杯になって、湧かす事も水を足すことも不要な丁度
の快適温度です。もちろん、硫黄のよい匂いがして、「温泉水なめらかにして凝脂を
洗う」(ちょっと違う?)を実感!!