-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
                         「クエルナバカの碧い空」第39号
#6 本の続編 −コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材
昨年9月に始めた歌のレッスンが、恥ずかしながらいまだに続いています。これがな
かなかに健全な精神と肉体を作るのに一役かっているように思えます。その結果、先
日、コンサートが開かれるに至りました。

若い頃から常に、英語や速記、時にはドイツ語だのと習い事をしてきましたが、勉強
と違って、歌を習うと言うのは宿題もなく、目指すレベルがあるわけではありません
から気が楽です。レッスンの時間だけ、人の迷惑をかえりみずにカナキリ声を出せば
痛快この上なく、体中の淀んだ酸素が新鮮な空気と入れ替わる気分です。

昔から音痴という評判が定着していて、しかもおしゃべりするときのドレミファソの
5音くらいしか出ないと固く信じていた私は、今まで、歌を歌うということを、人生
に起こりうる出来事の中に含んでいませんでした。しかし運動神経無しの私がテニス
をするようになり、方向音痴で反射神経皆無でも車の運転をするのですから、歌を歌
うということも丸きり禁止されているわけではない訳です。第一、どう考えても、や
っぱり歌が好きに違いないし、そうして、ついに始めてみると、先生は「良い声して
いるわ」なんぞとおだててくれるし、目を剥いて大口開けて声を出してみると、「ソ」
より高い音だって、美しいかどうかは別として出ないわけではないのですから、つい
その気になっています。

幸運なことに、習っている教室がモレーロス文化庁の管轄による文化センター(HP
第22号#3タウン・ガイド参照)ですから、授業料が安い上に、こちらから希望し
ている訳ではないのに、別途コンサート活動もするようにとおぜん立てまでしてくれ
ました。これは、クラス自体が州政府の援助を受けて成り立っているので、何らかの
文化活動によってモレーロス州にお返しすべできであるという考えから出ています。
喜んで計画に便乗したのが2月のことでした。

レッスンを受け持つアンパロ先生には、25人くらいの生徒がいて、それぞれ通常は
30分の個人レッスンなのですが、その生徒達の中から希望者を募ってコーラス・グル
ープを作ったのです。コーラスのレッスン料は無料と言うのですから、参加しないわ
けにはいきません。それ以来週1回の個人レッスンの他に、週1回1時間半のコーラ
スのクラスに参加するようになりました。

密室で先生だけを聞き手に、一人で無理して声を出すのもそれなりに目的にかなって
いて気分が良いものですが、グループの一部として人の声にまぎれて自分の声をそっ
と入れてもらうのも心が落ち着くものです。最初に集まった女9人、男2人は、私と
同年代が3人、あとは20代、30代の若い男女で、ついに最後まで一人も欠けるこ
となくコンサートまで行きついたのですから、大きな魅力があったのでしょう。

2月から始まって6月まで正味5ヶ月ちょっとの間に習った歌は、全てコンサートの
プログラムになるのですから、これは大変です。ウマク行くとは誰も信じていません。
特に、最初に習う曲として、TIFEUというタイトルの、サポテカ語で書かれた詩の楽
譜を手渡された時には、最後には自分がこれを覚える日が来るとは全く考えられませ
んでした。事実、歌う以前に、全く意味のわからない歌詞を覚えるのだけでも1ヶ月
以上もかかってしまったのです。スペイン語の歌詞を覚えるのさえ大変なのに、サポ
テカ語とは意外な伏兵でした。

しかも、他のメンバーは覚えた人も覚えない人もノンキそのもので、遅刻は常習だし、
歌に関係ない冗談が入り乱れてレッスンは進まないし、コンサートの日は刻々と近づ
くし、全くどうなることやら…。

コンサートは6月25日の午後6時から、当然入場無料、観客はコーラス・グループ
の身内だけということで、文化センター内の小さなホールで開かれました。コンサー
ト前のリハーサルにも遅刻者続出で、いざとなったら、メンバーを大幅に縮小してコ
ンサートを開かなければいけないかと思ったけれど、ぎりぎりに全員集合、リハーサ
ルもそこそこに本番に突入です。
さあ、リラックスして唄いましょう 終わった開放感でガッツポーズ
(クリックで拡大)
私のように人前で歌を歌うのは高校の合唱コンクール以来という人間も含めてのコン
サート。終わってみれば常に何とかなっているメキシコのこと、披露したのが7曲だ
けという、たった30分足らずの短いコンサートでしたが、思いがけないほど皆の声
がよく揃い、それなりに美しいハーモニーを発表できたのです。皆、満足、満足。も
う早、次のコンサートが楽しみな、嬉しい初コンサートでした。

おまけの話: テレビ番組の取材コーディネータ

今年から、半年に一度の予定で始めたコーディネータの仕事ですが、既に3つ目の取
材の仕事が先日終わりました。今回はBSフジ・テレビが毎週日曜日に放送している
昼11時半から12時まで放送の「バザール21」という30分番組です。世界の市
場MERCADOを取材した番組で、メキシコの場合、メキシコ市、テポツトラン、クエル
ナバカのみっつの市場を紹介します。
メキシコ市 ソカロで撮影クルーと記念撮影
(クリックで拡大)
メキシコではつきもののハップニングが続出で、ここには書ききれないような様々な
紆余曲折がありましたが、それはいずれまた心が落ち着いた頃に詳しく書くとして、
結果的には目的の撮影を全てこなしました。雨季で曇りか雨というメキシコらしくな
い天候の中、最終日にクエルナバカを撮影した日には、朝、メキシコ市を出発、高速
道路を通ってクエルナバカに近づくにつれて、分厚い雲から晴れた空が顔を覗かせ始
め、丁度、市を見渡す展望台に到着した時には、うっすらピンクの朝日が全市を照ら
し、間近に活火山ポポカテペトルが煙を吐く姿が聳えて、それは絶好の撮影日和とな
りました。

クエルナバカに到着してから、カテドラルの屋根上からの市内一望と雨上がりの濃く
深い青空の素晴らしかったこと!これぞ、クエルナバカの碧い空です。しかも、撮影
を終えて車に乗り、メキシコ市への帰途について間もなく雨がポツリポツリと降り始
めたのですから、よくコーディネートされたものです。

放送は8月の予定で、メキシコ市のメルカド・デ・メルセドMERCADO DE LA MERCED、
テポツトランTEPOZTLANのメルカド、そして、クエルナバカの民芸品市場のみっつ
の各30分番組が見られるそうです。お楽しみに!

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バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア
#11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行
#12 「女性」から:老化現象と更年期障害
#13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」
#14 日本へ一時帰国しました/その他
#15 運転したら事故はつきもの
#16 私たちの夏休み日記
#17 最近の感動:みんな生きている!
#18 ホームページ1周年記念
#19 仕事人「かり」
#20「葛飾諏訪太鼓」の日々
#21 クエルナバカから謹賀新年
#22 薬の話
#23 社交サロンの話
#24 夏時間、ク日比較アンケート
#25 母は強し
#26 我が家のガーデニング
#27 選挙裏話と日ク比較
#28 国際ピアノ・コンクール
#29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群
#30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」
#31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」
#32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」
#33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話
#34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」
#35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」
#36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」
#37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE
#38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET

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