
「クエルナバカの碧い空」第45号 #4 トピックス − メキシコの伝統菓子メキシコ人は超甘党GOLOSOです。ケーキも超特大だし、私達が煮物に使うサツマ イモやカボチャなどの野菜もお菓子の材料と思い込んでいて、べとべとに甘くして、 その上、甘いクリームなどかけて食べます。その甘さが半端ではありません。脳天 がしびれる甘さと表現しておきます。ついでに言うと、メキシコのコカコーラは日 本のよりもずっと甘いというのは、本当でしょうか!? お菓子屋さんがあちこちにあるだけでなく、パン屋に並ぶ菓子パンの種類も豊富で、 たまに色もドギツイ!ドーナツDONASも人気だし、タマーレス屋では甘いタマーレ スと甘いアトレという飲み物のセットが売れている。街角では物売りが、ポテトチ ップ(甘辛いソースと粉チレをかけて食べる)や、チュロCHURROという揚げねじり 甘パンを売っているし、フランFLAN(プリン)やヘラチナGELATINA(ゼリー)など のカップ菓子を入れた箱を肩にかついで売り歩く人もいる。人込みで菓子の屋台を 出す人、学校の出口で、学校帰りの親子を狙って菓子屋を広げる人など、様々な菓 子売りが存在します。 しかも、立ち食い、歩き食いが大好き。大の大人が、歩きながら、運転しながら、 特大のペロペロキャンディーをなめたり、甘辛いソースをたらした30センチ四方 もあるチチャロン(豚の皮の揚げ物)にかじりついているのを見ると、思わず「ハ シタナイ!」と叫びたくなります。しかも、スプーンに甘い練り菓子をつけたもの や、太目のシャープペンシルみたいな容器から、甘いものがニュルニュルと出てく る菓子など、運転しながらでも食べやすい菓子が沢山あって、何をしながらでも食 べていたいと言う気持ちよく現れています。 そんな種類の多い菓子類の中でも、今回はメキシコの伝統のお菓子を紹介します。 日本の和菓子と同様、歴史があって、自然の材料を使い、彩りも鮮やかで美しく作 られています。また各地方が誇る民芸品のような銘菓があるのも、日本と同じです。 それに、見た目には、日本の落雁とか、餅菓子とか、羊羹や雷おこしに良く似たも のもあって、見ていると飽きません。 セントロの屋台の菓子屋さん メキシコ・シティには伝統菓子の老舗とも言えるDULCERIA CELAYA(セラヤ甘味店) というお店があり、全国の200種類以上のメキシコの伝統のお菓子を扱っています。 お菓子が全て自然の材料で作られているだけでなく、作り方や、作る道具も木のオ タマや銅の鍋を使うなど、伝統に則って細部にこだわった手作りの味です。店構え も絵になるこのお店に、ソカロに行ったついでに立ち寄ってはいかがでしょうか? 住所はAV. 5 DE MAYO 39、シティのソカロのすぐ近くです。 現在も、ごく日常的に愛されているメキシコのお菓子には、長い歴史があります。 実は、16世紀初頭にスペイン人によって侵略されてサトウキビが栽培されるよう になる以前は、メキシコには砂糖はありませんでした。当時は、砂糖の代わりに、 サボテンの一種であるマゲイやノパール・サボテンの実であるトゥーナTUNAなど の野菜からとる蜜水や、サポーテという甘い果物の果汁、そして蜂蜜などが使われ ていました。メキシコ独特の植物の種や、ポップコーンのようにはじかせた穀物を、 このような甘い蜜で絡めてお菓子を作っていたのです。このお菓子は、日常生活だ けでなく、祭りや、宗教儀式など、人々の集まりには欠かせない食べ物でした。 スペイン人が入って来ると、メキシコからはチョコレート、バニラ、チレ(唐辛子) などが世界に紹介され、反対に、スペイン人を通して、世界から、牛乳、砂糖、シ ナモン、りんご、桃、ナシなどが入って来ました。インディへナの人々は、外来の ものを素早く受け入れて、牛乳や砂糖、タマゴなどを使ってケーキやデザート菓子 を作るようになり、それが今日まで続く500年にわたる長い歴史の基礎となった のです。 同時に、インディへナたちが食べていた菓子に、各地の修道院が目をつけました。 甘いものが好きなのは世界共通の傾向。修道女たちは、インディへナの伝統の味に ヨーロッパから持ちこんだ果物を掛け合わせ、今日も私達の目と舌を楽しませる色 とりどりの、超甘の蜜漬けやシロップ漬けのお菓子を生み出しました。これぞ平和 的文化融合と言えるかもしれません。 しかも、修道女たちは、これらの菓子に「PICONESからかい」、「BESOSくちづけ」、 「SUSPIROSため息」、「TROMPADAS鉢合わせ」、「CABELLOS DE ANGEL天使の髪の 毛」、「GAZNATES喉もと」、「REINAS王女さま」、「ALEGRIAS歓喜」、「DUQUEZAS 公爵婦人」等などと言う愉快な名前をつけたのです。 今日では、すでにお菓子を作っているのは菓子職人であって、修道院ではありませ んが、これらの愉快な名前は今も残っています。土地柄や気候によって、そこで収 穫される果物などを使い、独特の風味をいかしながら、職人に受け継がれて地方の 銘菓となっているのです。例えば、タマリンドという植物の種の果肉でつくる菓子 はゲレロ州やベラクルス州などの中央部の暑い気候の土地で、また、カラバサテと 言うカボチャの菓子は穀倉地帯で、サボテンの実などが原料の菓子は砂漠地方で、 椰子の実を使った菓子はコリマ州などの海岸地方で、そして都会風の牛乳を使った 菓子はプエブラ州、ケレタロー州などで伝統的に作られているそうです。 そこで、各地の名産であり、クエルナバカでも一般的に売られていて、人気の高い お菓子をいくつか紹介します。どこの地方のものかは、いろいろ説があるし、ここ に挙げた以外に、数え切れないくらいの銘菓がありますから、もし甘党なら、旅を しながら、現地で確認するのも楽しいと思います。
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EFG H I @ALEGRIA(写真左 四角): 修道女たちが「歓喜」と命名したこのお菓子は、ち ょっと見ると日本のオコシのようです。アマラントAMARANTOという植物の実を蜂蜜 で固め、干しブドウやアーモンドやナッツで飾ったものです。四角や丸い物もあり ますが、色々な形に作りやすいせいか、がい骨をかたどったものが「死者の日」に は飾られます。食べるとき、ボロボロ崩れますが、気にしません。材料から考えて も、お菓子とはいえ、健康によさそうです。 @PALANQUETA DE AJONJOLI(写真右 丸形): AJONJOLIとはゴマのこと。ゴマや ピーナツ、カボチャの種、干しブドウなどと一緒にPILONCILLOピロンシージョと いう三角錐形にした黒砂糖の蜜で固めたもの。ピーナツだけ固めたものもあり、 PALANQUETA DE CACAHUATEと言う。 ATAMARINDO: タマリンドという木の実の果肉に砂糖を混ぜたものです。5センチ ほどのサヤに入った種から果肉が取れますが、これで飲み物を作ったり、お菓子に したりします。メキシコ人は、苦甘いような渋いようなこの味が好きで、アカプル コ土産として買って来てくれますが、私には苦手の味です。 BCAJETA CON OBLEA: オブレアは小麦粉を水で捏ねて作った薄いせんべいのよう なもので、CAJETAカヘタと呼ばれる牛乳でつくった練りシロップを挟んであります。 カヘタは、コーヒーに入れたり、固めてお菓子にしたり、様々に使われます。様々 な色や形、大きさがあり、メキシコ・シティで売っているオブレアは、大きくて色 も派手です。 CATE: アテとは、言うなれば果物の煮こごりゼリーのようなもの。ここにある アテは、メキシコ原産のTEJOCOTEテホコーテという木になる甘苦い味の果物を 使っています。 DCOCADA(写真左下 オレンジ色): 名前の通り、椰子の実を削って砂糖と混ぜて作 られています。メキシコ人は、日常的にココナツを多く食べます。ココナツ・ケー キというと、ウルサイくらいココナツが入っていてウンザリすることがあるので、要 注意! DROLLO DE NUEZ(写真上 棒状): 牛乳菓子にナッツをはめ込んで作った菓子。 お菓子を飾るだけでなく、普段から、豆類、ナッツ類、カボチャやその種などを、 メキシコ人は好んで食べます。 DCUBRITAS Y LAMINILLAS(写真右下): フルーツのゼリーを砂糖で固めて、薄く 延ばして巻いたもの。ミチョアカン州の名産品。 EJAMONCILLO: 牛乳、砂糖、ヌガー、シナモンなどにアーモンドや干しブドウをあ しらってある。駄菓子風のものから、上品なお茶請けケーキ風のものまで、色々な 形や色があります。 FFRUTAS CRISTALIZADAS: 果物を砂糖で固めたもの。写真にあるのは、パイナップ ル(右)とナシ(左); 緑色のはアシトロンというメキシコ独特の植物を固めたもの; 上中央は、メキシコ原産の野菜CAMOTEサツマイモ。どれも特別人気です。 表紙に戻る次に進む バックナンバー#2 メキシコの住宅事情#3 警官への賄賂 #4 音楽友の会 10周年コンサート裏話 #5 ノーチェ ブエナ物語 #5 クリスマス行事 #6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行 #6 トレス レイエス #7 ビザの種類と更新 #8 モナルカ蝶の聖域ツアー #9 ガールスカウト奈良支部 #10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」 #11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行 #12 メキシコの飲み物 #13 テキーラ #14 花が咲いて実がなった(街で見る果物) #15 アステカ・カレンダリオの謎 #16 2000年・年越し祭り #17 9月16日 独立記念日 #18 特別ゲスト、中村さつきさん #19 DIA DE MUERTOS 死者の日 #20 葛飾諏訪太鼓メキシコ滞在記 (リーダー水澤啓一 記) #21クエルナバカの年末年始 #22 メキシコ病院事情 #23 今も懐かし、街頭の物売りたち #24 養老院YALENTAY慰問コンサート #25 メキシコの温泉も気持ちいい(*^o^*) #26 ノパール NOPALで健康に! #27 メキシコの選挙 #28 ロマンチック・アシエンダ(荘園)街道巡りの散策 #29メキシコ、愛国心のしるし #30メキシコの結婚式 − 二つの体験談 #31メキシコ原産トウモロコシ MAIZ の秘密 #32 6年に一度の大統領就任式 #33 メキシコのピニャータ #34 火山ポポカテペトルと山麓の世界遺産−修道院群 #35 MARCHA ZAPATISTA サパティスタの行進 #36 メキシコの飲み物 第二弾 − メキシコの伝統的な飲み物 #37メキシコの飲み物 第3弾 − メキシコのアルコール飲料 #38 QUINCENERA -XV歳の社交界デビュー・フィエスタ #39 メキシコのお金 #40「民宿かず」お客さま第一号記念 #41 メキシコの祝祭日・記念日 #42メキシコ・シティから独立記念日の実況中継 #43 RUTA DE ZAPATA 革命児サパタを辿る道 #44メキシコのクリスマスと「NACIMIENTO」飾り |