
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第46号 #6 本の続編 − ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK1月前半の静けさとうって変わって、後半からはいくつか仕事が入り、それがどれ も楽しい仕事で、幸先の良い春となりました。 特に楽しかったのがベラクルス珍道中です。これも仕事なのですが、ベラクルス州 とオアハカ州の州境にあるTIERRA BLANCA近くの小さな村に、そこに自生する植物 の写真を撮りに2泊3日の旅に行ってきました。植物学者兼道案内のギジェルモ氏、 カメラマン兼運転手のかずさん、コーディネータ兼通訳の私。3人の面子から考え て、何か起こりそうな予感がしましたが、やっぱり…。 1月28日月曜日、早朝に家を出発、ギジェルモをピックアップして、まずプエブ ラ方面へ向かいました。行く先が山の中であるらしく、状況がつかめないため、小 型の車のほうが小回りがきくということから、車は私のフォルクスワーゲン・ゴル フ。順調な旅出に見えたのも束の間。3時間ほど走りモレ−ロス州を出て、プエブ ラ州に入り、プエブラ市を抜けてガソリンスタンドでガソリンを入れて、ちょっと 疲れ気味のかずさんに代わってギジェルモが運転席に座って、走り出そうとしたそ の時、早くもトラブル発生。快調だったゴルフがエンストを起こしたのです。 何とか走り出て高速道路の料金所を出ようとしたときに、またエンジンのかかりが 悪くなり、それでも走り出したその瞬間、料金所出口付近で待ち構えていた警察官 に捕まってしまいました。悪い予感はしたものの、別に悪事を働いているわけでは ないし、彼らは検問でそこにいて、怪しげな車を止めているだけなのですが、やっ ぱりそこは職業柄、鼻が利いたのでしょう。非常に意外なことに、なんとその時運 転していたギジェルモは免許証を持っていなかったのです。何たる事!捕まっては 困るし、賄賂MORDIDAのお金は惜しいし…。 今回の旅行では、私も、高速を走ったことがないので自信がないのですが、一応運 転できるし、ギジェルモなど、「僕は運転が上手だから、いつでも替わる」と皆を 安心させておきながら免許証を持っていないのですから、やっぱりメキシコ人です。 それでも、交渉の末100ペソの賄賂を払って(日本人相手なら、もっと高くふっ かけてきたに違いありませんが)、再び、かずさんの運転でベラクルスへの道をひ た走り始めました。始めたはいいものの、エンジンの調子は相変わらずで、少し走 ると、プスーッと止まってしまいます。仕方なく、整備工場を探して見てもらうと、 恥ずかしながら原因は単なる整備不良で、部品交換のため、車を一時預けなければ ならない羽目に。全く、踏んだり蹴ったりです。 しかし、そこはメキシコの調子の良いところ。ちょっと場末の寂しい場所だったの に、整備工のお兄ちゃんに聞けば、「歩いて3分のところにレストランがある」と いうし、丁度昼飯時でお腹は空いているしで、これ幸いと車を預けて昼食としまし た。美味しいプエブラ料理を食べ、満腹して整備工場に戻れば、車は新品同様にな っていて、また快調に走り出したのです。信じがたいことかもしれませんが、こう いう迅速かつ効果的時間の使い方はメキシコならではです。 午後3時、プエブラ州を抜け、ベラクルス州に入りました。その間、地方の事をよ く知っているギジェルモと話が弾みます。村々のフィエスタの話や、チョルラとい う町には365の教会があって、一年間、毎日異なる教会に行くことができるとか、 女性が強くて、男性はぶらぶら怠けて呑んべいばっかりというフチタンという町の こととか…。 朝方、ずうっと見えていたポポカテペトルとイスタシワトルPOPOCATEPETLE Y IZTACCIHUATLの美しい姿がすでに遥か後方へ過ぎ去った頃(表紙の写真を見てくだ さい)、これまた美しく雪化粧したピコ・デ・オリサバPICO DE ORIZABAが見えて きました。因みに、メキシコで一番高い山がピコ・デ・オリサバ(標高5,747メー トル)、2番目がポポカテペトル(標高5,645メートル)、そして3番目がイスタ シワトル(標高5,230メートル)と三山揃い踏みです。火山独特のきれいな円錐形 をした山を眺めているうち、その日の宿泊地フォルティンという町に夕方5時無事 到着、一日目の旅程を終えたのでした。 メキシコで一番高い山 ピコ・デ・オリサバ フォルティンのソカロ付近のフォルティン・デ・フローレスというホテルに泊まり ましたが、実はここは偶然にも私達が以前ベラクルス旅行をしたときに途中休憩し て食事をしたところで、しかもギジェルモの両親が新婚旅行で泊まったホテルでも あったそうで、なんだか所縁の深い場所のようです。とても居心地の良いホテルな のに、シングル350ペソ、ダブル450ペソと格安なのも好都合です。近くのス ーパーにビールや氷を買出しに行った後はすっかりくつろぎました。 翌朝は、朝食もとらず7時にホテルを出ると、早朝の澄んだ青空高く白く輝くピコ・ デ・オリサバに白い満月が浮かんで、まるで写真撮影のためにポーズをとっている ようです。気分も爽やかに旅を続けます。途中、わき道に入って、人に道を尋ねな がら車を走らせること2時間、急に前途が大川に阻まれました。RIO TONTO、訳し て「間抜け川」です。橋がありません。ギジェルモによると、車ごと船で渡るのだ そうで、川端には小さなボートに船頭が一人ボーと腰掛けています。まさか、これ に車を乗せて行くわけではないでしょうね!?いずれにしても、泳げない私は「車 をここにおいて、私達だけ渡ろうよ」と必死に説得を試みます。 しかし、「おおい!」と向う岸に声をかけると、向かい側にも手を振る姿があって、 やがてこちらに何かが向かって来ます。船というには平らです。近づく姿を見ると、 幅の広い桟橋のような形をしていて、二人の船頭(?)が脇に渡した鉄縄を木造り の道具で引っ張っています。この桟橋はパンカ、或いはパンガと呼ばれ、車が2台 乗れる広さがあり、川に渡した綱を引くと、綱に繋がれた桟橋が動くという仕組み です。思考回路が単純実直な私には、この原始的なやり方が大いに気に入りました。 パンカが着くと車を乗せて船出です。岸を離れて数歩したところで、一台のトラッ クが到着、我々に向かって叫んでいます。再び戻ってトラックを乗せて再出発。木 の道具を借りて、かずさんも、ギジェルモも面白がって綱を引きます(かずさんは 一回だけでギブ・アップ)。船頭さんによると、川面は静かですが、底は急流で、そ のため「間抜け川」と呼ばれているそうです。静かな水面を眺めること数分、やが て対岸に到着しました。桟橋が接岸して車で陸に下りると、なんとそこはオアハカ 州でした。 え〜こんなので川渡るの〜? よいしょ、よいしょと綱を引いて川渡り オアハカ州の赤土の山道を走ること30分、目的の土地に辿りついて、仕事にかか ります。現地のお医者さんで、薬草の研究者、しかも地域のリーダー役をしている というサンチアゴさんの案内で山の中を歩きまわりました。山間をすれ違う人々は 手にマチェテMACHETEと呼ばれる山刀を持っています。 なぜか故郷を思い出す(どこ出身?) ここが目的地?いえ、まだまだ奥へ 仕事を終えて帰途に着きました。朝から何も食べていないので腹ごしらえをすべく 探すとトラックが沢山とまっているドライブインありました。こういう店は安いし、 ベラクルスの海に近いので新鮮な魚が食べられるに違い有りません。ROBALO(スズ キの一種)という魚を注文すると、なんと輪切りなのに長さ30センチ、幅20セ ンチもあるではありませんか!それをかずさんもギジェルモも残さず食べた上、か ずさんは私の残りまで食べたのには仰天です。その夜は夕食抜きでした。 旅は続きます。前来た道なのに、再び道に迷ってしまうところが不思議です。ギジ ェルモはメキシコ人ですから、道を尋ねる役割を押しつけたのですが、聞いてきて 走り出しても目的地に着きません。聞くほうも聞くほうですが、答える人も、わか らなくても適当な方向に指差して、さも知ったように教えてくれるのですから、時 にはあらぬ場所へ行ってしまうのです。メキシコ人は地図を読まない、道の名前を 覚えようとしないというのは有名な話ですが、知らなくても親切に無理して教えて くれるのだけは止めて欲しいものです。 いずれにしても、未知の土地を旅するのはドキドキして楽しいものです。典型的メ キシコ人で超お喋りのギジェルモ、そのギジェルモによると、とても真面目SERIO で黙々と運転に専念するかずさん、間に入って二人の顔色を伺う私。こう言う面白 い仕事ならいつでも引き受けます。 おまけの話: 月刊誌NOVARK 「たび・ひと・ことば」地球まるごとコミュニケーションマガジンNOVARKをご存 知でしょうか?毎月、国や都市を詳ぁしーく特集している雑誌です。見所や食事、 名産などの定番の情報だけでなく、普通観光客が行かないはずれの町や、土地に住 む人々、言葉や習慣など事細かに手取り足取りおしえてくれます。旅好きの人には どの号も保存版となるでしょう。特集記事の他には、名だたるエッセイストや作家 のエッセイも豊富で、写真も当然美しく、丸ごと楽しくタメになります。 その中のNEW IN TOWN 世界6都市の最新情報というページに私もコラム(写真は かずさん)を寄せています。メキシコという土地柄、毎月おニューな流行というの は起こらないので、数ヶ月に一度、一ページの掲載ですが、2002年1月号「特集 シドニーは夏の色」と、2002年2月号「特集マレーシアでASIA満喫」にメキシコ の話題を提供しました。次は4月発売の5月号に掲載の予定です。 普通の旅では飽き足らなくなった人には絶対オススメの雑誌です。バックナンバー も買えます。NOVARKと雑誌に関する情報はホームページで見ることができます。 NOVARK 表紙に戻る 次に進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り |