
「クエルナバカの碧い空」第47号 #4 トピックス −藤枝先生のメキシコ体験談藤枝先生は日本メキシコ学院日本コースの中学の社会科の先生です。今回は、クエル ナバカでお会いすることができました。私達よりも短いメキシコ滞在期間中に、私達 の5倍くらいもメキシコ各地を旅行し、体験し、独自の考察を発展させているのは、 単に社会科の先生という職業のせいだけではない好奇心のなせる技のようです。テキ ーラを飲みながら、私達が知らないメキシコを沢山教えてもらいました。 訪問者のページにコメントをお願いしましたが、その範囲には収まり切らない、面白 くてしかもタメになる体験談がいっぱいなので、ここにトピックスとして紹介するこ とにしました。メキシコ、メキシコシティ、クエルナバカ、日本と文化比較にもなっ ています。ちかいうちに本格的なメキシコ見聞録が発表されることを期待し、今回は、 その広汎な体験のごく一部としてここに紹介します。 藤枝先生ご一行様が民宿「かず」へいらして下さいました 藤枝先生、奥さんの恵巳子さん、由記子ちゃん(8)と紗永子ちゃん(6) ************************************** 新年を迎えた1月25日(金曜日)、学校の勤務を終えてから「民宿かず」さんにお 世話になりました。この日、私たちの家族が宿泊させていただいたのは、(ホームペ ージでも紹介されていましたが、)以前に、私たちの学校(日本メキシコ学院日本コ ース)の「ようこそ先輩!リセオの課外授業」と銘打った進路指導講座の9人目の 「先生」として、石田かりさんをおむかえして授業を行っていただいたときのお話し がとてもおもしろかったので、ぜひ、その番外編を家族にも聞かせたかったことと、 また、そうした、中学生に対する講演のために、丁寧な発表原稿やビデオを生徒のた めに用意して下さっていた誠実な姿に心をうたれたからです。(ちなみに、クエルナ バカから2時間以上もかけてボランティアでメキシコシティーまでお二人はいらして 下さいました。) 私たちの学校は、メキシコ盆地の南部にあるので、クエルナバカ街道への入り口に近 く、学校からだと1時間少々の時間でクエルナバカに着くことができます。大気汚染 の激しい乾季のメキシコシティーとはうってかわって、クエルナバカは常春の楽園で、 ハイビスカスなど熱帯の美しい花が年中咲いていて、人々の表情も豊かです。そのた め、メキシコシティーに住む人たちの肺の中の空気の入れ換えは、たいがいクエルナ バカで...と言うことになるわけで、私たちもクエルナバカには何度もこれまでに足 を運んだことがありました。 しかし、石田さんのお宅は、我々がふだん保養に行くホテルの方角とは違った場所に ありました。わかりやすい表現をすれば、クエルナバカの裕福な人がたくさん住む高 級住宅地の中といえるでしょう。しかし、メキシコの場合、知らない住所を探すのは 日本よりもはるかに簡単で、通りのすべてには名前が付いており、しかも奇数番地の 家は左手、偶数番地の家は右手というふうに規則性があるので、地図さえもっていれ ば、たいていは簡単に目的地にたどり着くことができるのです。 ただし、メキシコでは、メキシコ、アメリカ及びカナダの免許証を持っている旅行者 以外は、住民でない外国人が車を運転することはできないと聞いています。(国際免 許証はメキシコでは通用しません。)そういう意味では、日本からの旅行者の方がメ キシコで車を運転することは、まずないでしょうし、仮にあったとしても、メキシコ シティーのすごい運転マナーのもとでは決して旅行者の運転はお薦めできませんが...。 こちらに住み、メキシコ人の運転パターンに慣れてきた者にとっては、(つまり、混 沌としたなかに、ある種の妙な法則性が存在することを理解することができたものに とっては、)メキシコでの車の運転は快適そのものです。とくに郊外の高速道路では、 できあがったばかりの高速道路を2時間走って、同一車線で抜いたり抜かれたりした 車がわずが3台という超人口密度?の低い快適さを味わうことだってできるのです。 (サン・ルイス・ポトシからグアダラハラにむけて走ったときの話しです。それに比 べると、日本の高速道路の渋滞ぶりにはため息が出ます。) さらに、スペイン語で不自由なくコミュニケーションがとれるようになると、まさに 鬼に金棒で、街に入っても目的地近くまでいくと、あとはタクシーをつかまえて、 「ここの住所まで後ろを運転するから連れていってくれませんか」、といえばみんな 気持ちよく連れていってくれます。こうした作戦をおこなう時点では、もう目的地の 近くまで来ているので、クエルナバカのように善良な運転手がほとんどのところでは 料金も15ペソ(約180円)程度です。 さて、民宿かずさんに伺うことになっていた日は、クエルナバカに着いた頃にはもう 太陽も沈み、あたりが暗くなっていたのでその方法をとりました。ところが、このと きのタクシーの運転手は、どうやら私が示した番地にたどり着く最短距離が分からな かったらしく、少し道を探したあと、路上を歩いていた男性に道を訪ねました。運転 手が、たずね終わると、後ろを運転していた私もその人に向かって「ありがとう」と お礼をいったのですが、彼が私に笑いながら(運転手にわざと聞こえるように)返し た言葉は、「払わなくてもいいですよ」というものでした。つまり、「地元で道を聞く ような素人のタクシーには金なんかやらなくてもいいよ」というジョークだったので しょう。見知らぬ人に対するこのユーモアのある会話は日本人にはできませんよね。 そうこうしながら、いよいよタクシーは民宿かずに近づいたのですが、この道だけは 番地の番号の振り方が変則的だったのと、高級住宅街なので、一軒あたりの塀の長さ が、大変長く(30〜40mなんかメキシコではあたりまえです)番地の番号がなかなか 減っていかないのには笑わされました。でも無事にたどりつき、運転手に料金を尋ね ると、「お好きなだけ」というこたえ。このあたりがいかにもメキシコです。この感 覚になれて、相場相応の料金を払えるようになるにはチップの習慣のない日本から 来た人々は皆少々苦労するのですが(たぶん、メキシコシティー在住の日本人の方は みなさん失敗談をお持ちのはず)、4年近くも住んでいれば、だいたい適正金額が分 かるようになります。 かずさんに迎えられて通されたお宅(「民宿」)は、広い敷地の塀の中に12棟がよ りそってたっている中の一軒でした。着いたのが午後7時過ぎだったので、さっそく 夕食ということになりましたが、料理は亭主のかずさん手作りの豚の骨付きスペアリ ブでした。この味付けが素晴らしく、また、子ども達のために2種類のおにぎりも握 って下さり、とてもおいしくいただきました。さらに驚いた(ありがたい)ことには、 飲み物はサービスですから…とビールを半ダースも出していただきました。 モレロス州を中心に、毎日いろんなことにアンテナを張り巡らせて、取材をしていら っしゃるかず・かりさんとのおしゃべりはとても楽しく、それにビールの勢いも加わ って、いつまでも会話は続きます。そして、一風呂浴びた後には、ソファーでくつろ ぎながら、テキーラの氷割りで、またおしゃべりに花を咲かせて...。奥深いメキシコ のこと、いつまでも話題は尽きることがありません。 ところで、話はかわりますが、クエルナバカは夜になってもとても暖かく、日本の冬 に比べるとウソみたいです。私たちは、1月だというのに天井にとりつけてあった扇 風機をまわしながら寝たくらいです。もちろん標高の高いメキシコシティーでは夜は 肌寒くなります。メキシコは国土が広く、また起伏に富んでいるため、気候も生活も、 さらには人々の姿も、ほんとうに一言で言い尽くすことはできないところです。 たとえば、メキシコには、マラリアがある、デング熱がある、黄熱病(あの野口英世 博士もメキシコで研究生活を送っているんですよ)がある...という話を聞くと、メ キシコはとても不衛生な国だと思われますが、それは、未開のチアパス州など熱帯低 地のことであって、実際、標高2000mをこえるメキシコシティーには、蚊はほとんど いないのですから、メキシコシティーでそんな病気にかかることはないわけです(メ キシコシティーで蚊に刺された経験のある人を見つけるのはけっこう難しいですよ)。 また、大気汚染がひどいといいながら、日本で悩まされていた皮膚疾患や呼吸器疾患 がメキシコシティーに住むようになってから快方に向かって喜んでいる日本人が多い ことも事実なのです。ぜひ、ホームページ「かず&かり」読者のみなさん、こんな変 化に富んだ国メキシコの旅を一度は御体験されたらとおもいます。 翌日、朝は8時頃から朝食をいただきました。ここでもかずさんならではの気品のあ る朝食。パンとおいしいソーセージ、そしてメキシコに来た人に是非味わっていただ きたい甘みいっぱいのメキシコのくだもの...。食卓にはメキシコの香りがいっぱいで す。朝食後は、かずさんは、サロンでパソコンをひろげてスケジュールのチェック...。 カーテン越しの太陽の木漏れ日を浴び、緑の芝生に咲く花を見ながらのゆったりとし たデスクワークは日本では考えられませんね。我が家の子ども達は中庭のブランコで 仲良く遊んでいました。 この日は、子ども達の誕生会があったために、正午頃にはおいとましなければならな かったのですか、その前にかずさんが、冷やしソーメンをつくって下さいました。こ のゆで具合がほんとに上手。私たちは、標高2240mのメキシコシティーに住んでいま すから、気圧の関係でお湯の沸点が96℃以下になりがちなため、いちばんおしい麺 類は、なんと、「冷凍讃岐うどん」という現状があります。メキシコシティーにある 日本食レストランでも、「うどんは沸点が関係ない日本から直輸入した冷凍讃岐うど んが一番!」と、それをつかっているところも多いわけです。しかし、クエルナバカ は標高約1500m。700mの違いは麺類にとって大変な違いです。かずさんのソーメン は、こしのあるとてもおいしい麺にゆで上がっていました。これに、かずさん自慢の、 よくだしのきいた特製つゆをつけていただきます。さっぱりしたあじわいは、日本の 夏を思い出させてくれます。 こうして、私たちは、民宿「かず&かり」でとても楽しい時間を過ごすことができま した。私たちは、この3月に日本に帰国しますが、バイオリニストの黒沼ユリ子さん のお宅で初めてお目にかかって以来、かずさん、かりさんには、とても親しみを感じ ています。日本に帰っても、インターネットを見ながら「かず&かり」さんを応援し たいと思っています。これからもますます日墨友好のために、そして相互理解のため に、楽しい情報を発信し続けて下さい。どうもありがとうございました。 藤枝茂雄 表紙に戻る次に進む バックナンバー#2 メキシコの住宅事情#3 警官への賄賂 #4 音楽友の会 10周年コンサート裏話 #5 ノーチェ ブエナ物語 #5 クリスマス行事 #6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行 #6 トレス レイエス #7 ビザの種類と更新 #8 モナルカ蝶の聖域ツアー #9 ガールスカウト奈良支部 #10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」 #11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行 #12 メキシコの飲み物 #13 テキーラ #14 花が咲いて実がなった(街で見る果物) #15 アステカ・カレンダリオの謎 #16 2000年・年越し祭り #17 9月16日 独立記念日 #18 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