-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
                         「クエルナバカの碧い空」第52号
#6 本の続編 −老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問
先月、近日中にお知らせできるかも知れないと予告した老人ホームでのコンサートが
早速、実現してしまいました。私達の心積もりでは慰問コンサートだったのですが、
慰めになったものかどうか・・・。

読売新聞のエッセーでも、HP第24号の#4トピックスでも、更には雑誌「清流」
の9月号にも書いたのですが(余程、感動が大きかった!)、2000年3月28日に
老人ホーム「ヤレンタイYALENTAY」で慰問コンサートを開きました。ピアニスト
の秀子さんとソプラノ歌手の典子さんというプロのコンサートですから、私達は喜ん
で手配し、結果も大満足でした。その時の感動が今も尾を引いているのです。その後、
ボランティア活動で、「一番、喜んでもらえるのは何か?」と考えたときに、かずさ
んがうわ言のごとく口にしたのが、「自分たちも慰問コンサートを!」でした。

あれから既に2年以上。遠い将来の話と思っていたその日が来てしまいました。何せ、
私達はズブの素人。ホーム・コンサートで友人を呼ぶのとは異なり、慰問とは言え、
アマチュアの身で大それたことをと考えないわけではありません。しかし、自己満足
でも何でも、「何もしないよりもマシ」と、計画は実行に移されたのでした。

かずさんが日本から担いできたROLANDの電子ピアノが今回も大活躍です。自分達で
運びこみますから、老人ホームにとっても手間が省けます。ピアノさえあれば、あと
は私達が身ひとつで登場するだけ。休日でセラピーなどの活動がなくて暇だというこ
とから、7月20日土曜日に行いました。

場所は、「ヤレンタイ」の大広間。すでに老人達が集まっています。別に私達のため
に集まっていると言うわけではなくて、そこで三々五々暇を潰していたようです。実
は、2年前のコンサートの時は気が付かなかったのですが、高齢化の進むメキシコで
もアルツハイマーが多く、老人ホームにいるほとんどがアルツハイマー患者なのだそ
うです。家族主義のメキシコでは老人は非常に大切にされますが、そんな老人思いの
メキシコ人でも、家での介護が無理なケースがほとんどのようです。
初めての慰問コンサート しっかりとちゃんと聴いている人もいました
(クリックで拡大)
部屋は一人部屋か4人部屋が主で、寝たきり老人以外は、昼間は庭や大広間で過ごし
ます。入居費は生活費込みで月額一人部屋が約20万円、4人部屋が14万円で、敷
金や頭金は不要、経済状態に応じて割引もあります。合計すると、患者と同数ほどの
医者、看護婦、付き添い婦などが働いていて、老人達はいつもこぎれいにしています。
日本の老人ホームについて知識がないのですが、この値段は高いか安いか?

コンサートは少しばかり大変な経験でした。歌っている最中も騒然とした雰囲気で、
手をたたく人、歩き回る人、嬌声を発する人、眠りこけている人などが目に入ってき
て、ホームコンサートの時とは全く異なった緊張感。却ってものすごくドギマギしま
した。それでも、聴いていてくれた人はいたようで、「日本の歌はきれいで好き!」
とか、「今度はいつ来てくれるの?」と声をかけてくれる人もいて、アルツハイマー
になっても、メキシコ人は言葉が上手いと感心したのでした。

こんなで、私は感情的に引いてしまって心の奥で「もう懲りごり」なのですが、かず
さんは全く動ぜず、次回もやる気満々です。クエルナバカには施設がある程度整った
老人ホームが4ヵ所ほどあるそうで(個人的な小さいものも沢山ある)、かずさんは、
これから月に一度の割合で、4ヵ所のホームを巡回したいと希望しています。ここら
辺の感情の違いはこれから調節してゆかなければなりません。

おまけの話: パパ・フアン・パブロ2世のメキシコ訪問

先月号トピックスで書いたこの話題には、あまり皆さんから反応がありませんでした。
日本人にはやはり宗教問題は身近な話題ではないようです。しかし、この3日間のメ
キシコ人の熱狂を見ていると、これはただ事ではないと改めて感じ、性懲りも無くま
た書きます。

最後の最後まで来るかどうか気をもんだパパがやってきました。カナダに到着してか
ら、テレビのニュースはパパ一色。メキシコに到着した日には、飛行機の着陸が夜7
時半にもかかわらず、昼間からコマーシャル抜きでパパ報道です。空港での歓迎セレ
モニーも、疲れ切った表情のパパとは反対にメキシコ人は元気過ぎ!ポラスPORRAS
と呼ばれる応援の掛け声があちこちで湧きあがります。

空港から宿泊地までの道筋には、「パパ車」と呼ばれるガラス張りの車から手を振る
パパを一目見ようと、15時間以上も前から待っていた人々が長い道のりを埋め尽く
しています。翌日のグアダルーペ寺院でのセレモニーはもちろん、帰国の途に着いた
時も、早朝から深夜まで、老いも若きも沿道でパパが通るのを待ち、普通のスピード
で通り過ぎるパパの姿を一瞬見えたと言っては涙を流します。

最終日、ローマに帰る飛行機が飛び立っても生中継は続き、この3日間、メキシコの
どの放送局も、世界中、戦争も、災害も事故・事件も起きていないかの如くでした。

パパの来訪は病気や高齢で、これが最後といわれているだけあって、その熱狂ぶりは
度を越していますが、同様にパパもメキシコが大好き。5度も訪問した国はメキシコ
だけです。嬌声あり、アステカの踊り有り、マリアッチ有りの、騒々しいまでの歓迎
振りが、宗教界や他の国の静かな歓迎風景とは異なって、率直な心からの愛情表現と
なって伝わり、パパも心がゆるむようで、時々冗談もでて、皆を喜ばせます。

ある新聞の調査によると、国民の90%以上が、今回のパパの来墨や、パパの言葉が
国民に希望を与えると信じているそうで、大人気のサッカーも及ばないほどの影響力
があります。毎日、これだけ多くの人々が、少しでもパパの近くにと、シティを訪れ、
早朝から深夜まで沿道で待機していたにも関わらず、聞いた限りではお年寄りが一人、
心臓発作で亡くなっただけで、何の混乱も起こらず、どのチャンネルも、幸せの涙を
流す人や、喜びを全身で表わす人々ばかり映し出していました。

宗教のために戦争をする人もいますが、お行儀良く陽気に騒ぐメキシコ人の場合、宗
教が本来の役割を果たしているようです。

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#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア
#11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行
#12 「女性」から:老化現象と更年期障害
#13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」
#14 日本へ一時帰国しました/その他
#15 運転したら事故はつきもの
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#22 薬の話
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#30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」
#31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」
#32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」
#33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話
#34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」
#35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」
#36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」
#37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE
#38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET
#39  コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材
#40  夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程
#41  我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件
#42  続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応
#43  犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉
#44  日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括
#45  謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り
#46  ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK 
#47  女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ
#48  一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット
#49  「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館
#50  7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館
#51  ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達

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