「クエルナバカの碧い空」第52号
#4 トピックス − メキシコ・シティの地下鉄 METRO EN MEXICO 
メキシコ・シティに行くとき、私達はどうしても構えてしまいます。何度か警官のお
世話になったからです。もう4年も前のことで、1度目はレフォルマ大通りで待ち構
えていた白バイに、シートベルト不着用を咎められ、2度目は排気ガスが汚いと因縁
をつけられたのです。

ほとんど交通規則のないようなクエルナバカから見るとシティは鬼門です。しかも、
ドギマギする私達に、「罰金が払えないなら車を置いて行け」などと言うのですから
賄賂を払うより他に無く、口惜しい思いをし、その後は警官を見ると、逃亡者の如く
動悸が激しくなるのですから情けない。最近、隠し撮りで賄賂警官を摘発することが
多くなり、少し状況は改善されたように聞いていますが、実態はどうでしょうか?

直通バスで行って、シティ内ではタクシーを使うという手があります。ところが一度
シティの南バスターミナルからタクシーに乗ったら、道に迷ってしまい、困った運ち
ゃんが一方通行に反対から進入して、またもや警官に捕まったことがあります。幸い、
道を知っていたおまわりさんに助けてもらったのですが、シティは世界一大きい町で
すから、タクシーの運ちゃんも遠距離になると道が分からない事があるようです。そ
れにシティのタクシーは高いし、チップまで要求します。

タクシーも車も必要無し!そう、シティには地下鉄があります。メキシコの地下鉄は、
SISTEMA DE TRANSPORTE COLECTIVO(STC)という市の団体が管理し、Mの字に似たマ
ークで、地下鉄入り口が表示されています。
地下鉄マップ(シティに行くときの必需品)
(クリックで拡大)
地下鉄は便利で安い。何度乗り換えても構内にいる限り2ペソ(約26円)。去年ま
で1.5ペソでしたが、アンケート調査の結果、値上げもやむなしという国民の賛同
を得て値上げされました。乗り心地もマアマアで安全で、日本人ほどではないけれど、
居眠りしている人もいます。もちろん、他国と同様、スリはいるし、終点近くの寂し
い駅ほど犯罪が多くなります。

シティの地下鉄は、1967年6月に第一期工事が始まり、最初の5年間で、1号線、
2号線、3号線が開通しました。これらの線はソカロ付近の歴史的な建物のある地域
セントロ・ヒストリコCENTRO HISTORICOの地下を通っています。周知の通り、シ
ティのセントロ付近は地盤沈下が激しいところで、工事も困難を伴いましたが、それ
でも、1ヶ月に1キロメートル進むと言う超特急の工事だったそうです。

9号線まで拡張された後、1994に第5期工事が終了した時点で、A号線を含めた
10線、全長178キロメートル、154駅が営業していました。現在は、シティか
ら北へ、メキシコ州に伸びるB号線が工事中で、総距離も200キロを超え、どこへ
行くにも便利になり、1日に約470万人が利用するメキシコ人の太い足となってい
ます。高齢者や身体障害者用の無料入口があるそうですが、エスカレータが完備して
いないし、乗り換えに構内を延々と歩かなければいけない駅も多く、あまり親切な作
りにはなっていません。しかし、そこは世話焼きなメキシコ人のこと、頼めばいくら
でも手を貸してくれます。

メキシコの地下鉄の一番大きな特徴は、窓口TAQUILLAで2ペソの切符BOLETOを
買って、無人改札口で切符を機械に入れると、あとはどこまで行こうと、何回乗り換
えようと自由なことです。切符には駅名も日付も書かれておらず、いつでもどの駅で
も使えるので、まとめて買うと何度も並ぶ必要が無く便利です。

他の特徴は、タイヤで走る車両なので車内が丸の内線や日比谷線に比べて静かなこと、
ひとつひとつの車両が独立していて通り抜けできないこと。車内アナウンスがないこ
と、地下鉄とは言え、街の中心部を除くと、地上を走る部分が多く、景色が楽しめる
こと等です。車窓から街を見ていると、大衆浴場BANO PUBLICOというのがいくつも
あるのに気が付きました。いつか入って見たいです。また、ラッシュアワーには日本
同様の混雑になりますから避けた方が無難です。ピーク時には女性・子供専用車もあ
るそうです。
ひっきりなしに来る静かな地下鉄
(クリックで拡大)
車窓の景色だけでなく、車内も退屈しません。乗客以外の利用者がいるのです。まず、
目の不自由な人がラジカセのテープを伴奏に歌を歌いながらお金を貰いに来ます。ギ
ターの人もいますし、中にはマイクを持っているのか大音響の人もいます。物売りも
多く、地下鉄車内雑貨屋のごとしで、次ぎに何を売りに来るか楽しみにしてしまうほ
どです。慣れた口調で口上を述べながら、本や薬、チョコレートやメキシコ菓子、ボ
ールペン、電池、ルーペ、音楽テープ、子供の教本などなど売り歩いています。
内部は日本の地下鉄より少し狭い感じかな?
(クリックで拡大)
私は、今まで、小さな本を2冊、暮れには新年の手帳などを、かずさんも、怪しげな
ヘビの絵が書かれた痛み止めの塗り薬など買いました。だいたい、10ペソほどです
から、面白半分で買うには手ごろです。売って歩く人は2ペソで地下鉄に乗って、店
じまいまで何回でも乗り換えできるし、乗客は、一駅ごとに代わる代わるに別のもの
を売りに来る人を楽しめるわけです。

車内だけではなく構内の通路もなかなか楽しめます。雑誌や新聞、旅のお供のお菓子
などを売る売店は雑誌の飾り方を見るだけでも驚嘆に値するし、アイスクリーム屋、
ドーナッツ屋、喫茶店などもあって甘い匂いが流れて来ます。通路が展覧会場となっ
ている駅もあり、絵や歴史的な物品の展覧会や、時にはコンサートが開かれる駅もあ
って、いずれも本格的なので、思わず足を止めて見入ります。
構内のキオスコに色鮮やかに飾られた雑誌や商品
(クリックで拡大)
ピノ・スワレス駅PINO SUAREZには、第一期工事で発掘された「風の神EHCATLE」
を祭る神殿ADORATORIO MEXICAが、駅の名物でありシンボルとして構内に飾られ、
タリスマン駅TALISMANには、同様に発掘されたマンモスの骨が飾られています。
ソカロZOCALO駅にはメキシコ人による征服前後のシティの模型が展示されているし、
ベジャス・アルテス駅BELLAS ARTESには遺跡のレプリカが展示されています。

他にも、ホームの壁が石に彫刻を施した遺跡風の駅もあるし、例えば、メルセド駅
MERCEDのように、大きな市場MERCADO DE MERCEDに直接入る地下鉄出口がある
ので、地下鉄のドアが開くと、メルカドから香辛料の香りがウワーッと入って来て、
メキシコ人の生活を感じさせるなど、駅それぞれに表情があります。まだ、通ったこ
とのない駅が沢山ありますが、いつか駅探検の旅をするのも面白そうです。
出口がすぐ巨大マーケットMERCADO DE MERCEDはいつも活気があります
(クリックで拡大)
駅にはそれぞれシンボル・マークがあります。私達がメキシコ・シティに行くときに
使うバスPULLMAN DE MORELOSは、シティの南駅タスケーニャTAXQUENA(TASQUENA
とも書く)に到着します。タスケーニャというのは銀の街で有名なタスコから来てい
て、「タスコ人」とか「タスコの」という意味です。ここのマークは「三日月」。乗
り換えの人が多く利用するセントロ近くのPINO SUAREZは、上記の掘り出された風
の神の神殿がマーク、INSURGENTES駅はその名前(INSURGENTESは反乱という意味)
から想像できるように、独立運動を始めたドローレスの鐘、CUAUHTEMOCはその名
前の由来であるワシAGUILAがマークです。構内や車内の路線図にも、各線によ
って決められた色で書かれたシンボル・マークが目印です。

駅構内では、この色分けされた線の表示に従って行けば、その線のホームにたどり着
くようになっています。しかし、地下鉄の車両自体はどれも赤茶色です。日本の地下
鉄よりも、少し、幅が狭いようです。もちろん、「降りる人が先」と書いてあるので
すが、あまり皆さん行儀が良いとは言えません。座席は向かい合わせの4人がけ椅子
と一人がけの椅子があります。お年寄りや障害者、妊婦用の席もありますが、誰も気
にしていません。でも、どの席に座っていても、お年寄りが来たら譲る人が多いです。

私達が良く利用する線を紹介します。日本大使館や領事館、JALのオフィスに行く
機会があるのですが、いずれも最寄駅はINSURGENTESです。始発駅であるタスケー
ニャから地下鉄の青色の2号線LINEA 2に乗ってPINO SUAREZまで行き、そこでピ
ンク色の1号線LINEA 1に乗り換えます。構内で沢山歩きますが、途中、遺跡の神
殿や絵の展覧会を見学します。シティの西ターミナルであるOBSERVATORIO方面行
きに乗り5つ目のINSURGENTESで下ります。出口を出て外に出ると、円形広場が広
がっていて、その回りに環状の建物がたっています。

建物をくぐるように、各方面への出口があるのですが、出口を間違うとトンでもない
方向に出てしまいますから要注意。左端で駅の出口に近いCHAPULTEPEC NOR PTE
(チャプルテペック北西)の出口を通ると、屋台の食べ物屋が並ぶ細い道に出ます。
建物に沿って左へ行き、AMBERESという道に入ってソナ・ロッサZONA ROSAを突き
ぬけるとレフォルマ大通りAV.REFORMAにでます。何車線もある広い通りの向かい
側にアメリカ大使館が見えますから、メキシコ人と一緒に、交通の途切れた瞬間を狙
って渡ると、日本大使館も領事館(JALオフィスは領事館と同じ建物内にあります)
もすぐ近くです。途中には昼定食が安くて美味しいレストラン「東京」もあります。

また、地下鉄はメキシコ各地への長距離バスのターミナルにもつながっています。

TAXQUENA駅(LINEA 2)…南ターミナルSUR(クエルナバカ、アカプルコ他方面)
AUTOBUSES DEL NORTE駅(LINEA 5)…北ターミナルNORTE(テオティワカン、レオン他)
SAN LAZARO駅(LINEA 1)…東ターミナルORIENTE TAPO(オアハカ、ベラクルス他)
OBSERVATORIO駅(LINEA 1)…西ターミナルPONIENTE(アグアス、トルーカ他)
空港駅TERMINAL AEREA(LINEA 5)…メキシコ国際空港 

また、シティからソチミルコXOCHIMILCOに行くには、タスケーニャの駅から地上軽
電車TREN LIGEROが出ています。この軽電車は、交通の激しい市内を走ってるので、
踏切の不備で最近2度続けて交通事故をおこしていますが、ソチミルコの船乗り場に
行くには便利です。さらにTROLEBUSESトロリーバスや 普通のバスが、シティ内を
縦横に走っていますが、こちらは未だに利用したことがありません。

地下鉄の始発は、平日は朝5時、土曜日は朝6時、日曜・祝日は朝7時で、終電はい
ずれも深夜零時半で、線によって午前1時半くらいまで走っていますが、深夜の乗車
はお薦めしません。行事があるときは、更に遅くまで営業する日もあり、反対にその
混雑で、閉鎖される駅もあります。「M」のようなマークが地下鉄の入り口です。

地下鉄路線図は駅構内のサービス窓口(タスケーニャのバス乗り場の観光サービス窓
口でも)でくれます。

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バックナンバー
#2 メキシコの住宅事情
#3 警官への賄賂
#4 音楽友の会 10周年コンサート裏話
#5 ノーチェ ブエナ物語
#5 クリスマス行事
#6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行
#6 トレス レイエス
#7 ビザの種類と更新
#8 モナルカ蝶の聖域ツアー
#9 ガールスカウト奈良支部
#10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」
#11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行
#12 メキシコの飲み物
#13 テキーラ
#14 花が咲いて実がなった(街で見る果物)
#15 アステカ・カレンダリオの謎
#16 2000年・年越し祭り
#17 9月16日 独立記念日
#18 特別ゲスト、中村さつきさん
#19 DIA DE MUERTOS 死者の日
#20 葛飾諏訪太鼓メキシコ滞在記 (リーダー水澤啓一 記)
#21クエルナバカの年末年始
#22 メキシコ病院事情
#23 今も懐かし、街頭の物売りたち
#24 養老院YALENTAY慰問コンサート
#25 メキシコの温泉も気持ちいい(*^o^*)
#26 ノパール NOPALで健康に!
#27 メキシコの選挙
#28 ロマンチック・アシエンダ(荘園)街道巡りの散策
#29メキシコ、愛国心のしるし
#30メキシコの結婚式 − 二つの体験談
#31メキシコ原産トウモロコシ MAIZ の秘密
#32 6年に一度の大統領就任式
#33 メキシコのピニャータ
#34 火山ポポカテペトルと山麓の世界遺産−修道院群
#35 MARCHA ZAPATISTA サパティスタの行進
#36 メキシコの飲み物 第二弾 − メキシコの伝統的な飲み物
#37メキシコの飲み物 第3弾 − メキシコのアルコール飲料
#38 QUINCENERA -XV歳の社交界デビュー・フィエスタ
#39 メキシコのお金
#40「民宿かず」お客さま第一号記念
#41 メキシコの祝祭日・記念日
#42メキシコ・シティから独立記念日の実況中継
#43 RUTA DE ZAPATA 革命児サパタを辿る道
#44メキシコのクリスマスと「NACIMIENTO」飾り
#45メキシコの伝統菓子
#46メキシコの宝くじLOTERIA
#47藤枝先生のメキシコ体験談
#48ラス・エスタカス物語HISTORIA DE LAS ESTACAS
#49メヒカン・フルーツの全て(第一部)
#50メキシコのルチャ・リブレ−高橋千歳さんの特別報告
#51  PAPA JUAN PABLO II メキシコ来訪メモ


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