
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第53号 #6 本の続編 − タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート先日、テレビ・ニュースをみていたら、鶴見川で水浴するアザラシのタマちゃんと、 それを見物する人々が、国際ニュースのトップになっていました。 アザラシのタマちゃんが鶴見川で行方不明になった頃、我が家にタマちゃんが来まし た。9月1日の日曜日、カテドラルの1時のミサでコーラスのメンバーして歌い、終 了したのが2時。セントロからバスに乗り、バスが一番家の近くを通る果物屋の角で 降りました。そこから家まで15分ほど歩きます。商店街も過ぎて一軒家の高い塀が 並ぶ住宅街に入ったとき、おじさん二人が何やら話しているのが見えました。しかし、 耳に入ってきたのはおじさん達の声ではなくて、ミアウ、ミアウという途方にくれた 泣き声でした。 愛猫ニエベが亡くなってから1年5ヶ月が過ぎました。この間、一日もニエベのこと を忘れた事はなく、ニエベの生まれ変わりに出会った時以外、動物を飼うことはない と決めていました。ところがここに一匹の子猫がミアウ、ミアウです。しかも、立ち 話をしていたおじさんは私に向かって、「この猫は腹が減って死にそうだから、君が 連れて行きなさい。さもないと死んじゃうよ!」と言うのです。 猫はまだ体長15センチくらい、痩せこけているけれど、死にそうな割には、全身の 力を込めてミアウ、ミアウと力強くなき、私が近づと、カーッと大きな口をあけて威 嚇する姿は拡大コピーすると豹そのものです。しかも、細長い足でスタコラ逃げ足も 速い。全身がミルク・コーヒー色で、鼻面、大きな耳、長い手足の先、細長い尻尾が こげ茶色。その濃い茶色の鼻面に目、口、鼻が集中して、顔は豹ならぬタヌキです。 おじさんによると、シャム猫とアンゴラ猫の混血だそうで、なかなかの美形です。 拾ってきた翌日、まだおびえていますがひざの上では安心顔 美猫?美男子? おじさんが何故猫の種類に詳しいかちょっと眉唾モノですが、捨て置くには忍びない 愛嬌があるし、何よりも生後間もないちっこい生き物を路上に放置すれば、あっとい う間に放し飼いの犬たちの犠牲になることは目に見えています。第一、カテドラルの ミサで歌い、お説教を聞いてきたばかりの時に、救いを求めてさ迷う子羊ならぬ仔猫 を見放すことができるでしょうか。おじさんは、さらに、「ゴミに半分埋まるように して捨てられていた猫を自分が助け出した」と胸を張るので、「それなら、自分が拾 って行けばいい」と言うと、いやいやと手を振ります。丁度、隣家の人が帰って来た ので、その人達に声をかけると、若い女性が残念そうに、「とっても可愛いけれど、 家には犬がいるから出来ない」と言います。見ると、門の鉄格子から大きなシェバー ド以下3匹の大型犬が好奇心丸出しで顔を覗かせています。 こうなると、一刻も早く家に連れ帰ってミルクを飲ませなければなりません。仕方な く(本当に仕方なく)、猫を捕まえようとすると、赤い口を大きくあけてフーっと威 嚇するし、逃げ足は早いし、猫と私が追いかけっこをしている間に、おじさんは家に 入ってしまうし・・・。人にあげるとか、どうするかは猫が元気になったら考えるこ とにして、結局つかまえてハンドバックに放りこんで帰宅しました。 猫を拾うのは初めてで子育てに自信のない私は、あとの判断はかずさんに任せる他あ りません。ところが、「大変だ、てえへんだ!」と家に駆け込んだ私から猫を受け取 ったかずさんは、「かわいいねぇ!うちで飼おう」と即決、「名前は何がいいかなぁ」 などとのん気です。「うちで昔飼っていたシャム猫の名前がペリーだったけど、それ はどうかな?それとも最も猫らしくタマがいいかな?」、「そりぁ、タマがいいわ」。 猫の本によると(ニエベが亡くなってから、何がいけなかったのかと考えた挙句、猫 の本「GATOS」を買って、密かに研究していた)、猫に牛乳を与えると下痢するので、 脱脂粉乳を溶かしてあげるのがいいそうです。お腹の上に猫を抱いているかずさんは、 「僕は動けないから、かり、買ってきなさい」などと言うので、帰って来たばかりだ というのに、また近くの雑貨屋さんABARROTESに脱脂粉乳を求めて出かけます。 因みに、この本によると、ニエベはAMERICANO DE PELO CORTOアメリカン・ショー ト・ヘアーで本来なら長生きの猫でした。タマはTONKINESという種類で、1960年代 にカナダで、シャム猫SIAMESとBURMESというアジア産の猫の良いところを掛け合 わせて生まれた室内猫のようです。アンゴラANGORAは、毛が少し長い猫で、その 混血であるとおじさんが言うタマも少し毛が長めです。(本当のシャム猫は、すごく 痩せていて頬がこけているから、日本で普通にシャム猫と呼ばれるのは、このトンキ ネスであると思われますが、猫に詳しい人、何か知っていたら教えてください。) タマは、お腹がすいている割りに全然食べず、怯えきっています。拾うときに追っか けまわしたせいか、命の恩人に対しても逃げまわり、ネズミのように家具の隙間やテ レビの後とかどこへでも入ってしまい、すぐに行方不明になるので一瞬も目が離せま せん。食べないから心配だし、夜は一緒に寝たのですが、ミアウ、ミアウとなくばか り、こうして、三者とも途方にくれたまま、タマの我が家での1日目が終わりました。 初めの頃は鳴いてうろつくばかり、さてどうしたのもか? 「猫を飼ったら旅行にも出かけられない」とぐじぐじと一人反対する私の意思に反し、 なかなか警戒心を解かないタマに早くなついてもらおうと、かずさんは暇さえあれば タマを膝の上に抱っこして動かず、すっかりタマの父さんをしているし、娘は「留守 中は私が預かるから」と太鼓判だし、脱脂粉乳にパンをふやかしてあげても食べなか ったタマさえも、それが単に好きでなかっただけらしく、夕食のステーキ肉をあげた ら凄い勢いで食べ始め、その上、用意した新聞紙のトイレもすぐにわかって使う賢さ も見せ、なぜか全てが順調に「タマはうちの猫」状況が整ってゆきます。いかにもソ ース顔ながら、カツオ節かけご飯が大好き、タマという名前にも負けていません。 少し大きくなってから来たのに誰にでも愛想がよくて信頼の大きな青い目で私達を見 ていたおっとりタイプのニエベと、捨てられた事が心のトラウマとなって警戒心が強 く、自分のことは自分で守るとばかりちいさな体で身構えるタマちゃん。タマがニエ ベの生まれ変わりとは全く思えないけれど、我が家の2代目になったことはほぼ確実。 3日目には、プラザ・クエルナバカ内のペット・ショップ+KOTAで、トイレと砂、高 級エサ、ブラッシ、シャンプーなどを購入、タマ・グッズも揃いました。 やっと落ち着いて遊ぶようになりました。手のひらに乗るくらい小さいタマちゃん 我が家に来てから10日もすると、ニエベの遺品の玩具で遊ぶようにもなり、なにせ よく食べるので、身体もみるみる大きくなって、かず父さんにくっついて遊ぶように なりました。室内猫だから、ニエベの時よりも心配でないかも知れないけれど、何が 起こっても悲しみが深くならないように、育ての親はかずさんに任せて、私は、無責 任に可愛がってゆくつもり・・・。 おまけの話: 老人ホーム慰問コンサート第2弾 月に一度は慰問コンサートをという希望どおり、9月のコンサートを14日に強行し ました。つまり、今、コンサートを終えて帰って来たばかりです。9月9日に、よく 私達が通りかかるAV.HUMBOLTという道にある老人ホームASILO FRANCISCO DIAZ DE LEONを訪ねてみました。ここは、電話帳にも載っておらず、小さなホームかと思いき や、中に入ってみると、どこまで奥行きがあるやら分からないほど広々としていて、 建物もガラス張りの明るい環境です。 持ち主のリヒア女史は、突然訪ねた私達を快く迎えてくれました。彼女によるとこの ホームは127年前にメキシコ・シティで開業されたという非常に古い歴史を持ち、 現在は気候の良いクエルナバカに居を移し、72名の老人が住むのですが、大変に評 判が良いので、入居希望者のウェイティング・リストはいつもいっぱいだそうです。 元気なお年寄りがいっぱい集まってくれました。反応があって楽しかったです。 広々とした食堂兼サロンには古いピアノがあるのですが、かずさんはデジタル・ピア ノの方が慣れているということで、ピアノ持参で、土曜日午後4時からコンサートを 始めました。今回からは、日本の歌をスペイン語に訳して、歌の半分以上はスペイン 語で歌いました。元気な老人も多く、私達も勇気付けられた1時間でした。ここでは、 3ヶ月に一度くらいの定期コンサートをしたいと計画しています。 表紙に戻る 次に進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り #46 ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK #47 女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ #48 一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット #49 「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館 #50 7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館 #51 ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達 #52 老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問 |