
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第55号 #6 本の続編 − 売れた! おまけの話:今年一番長い夜先月号でキャデラックを売りに出したことをお知らせしましたが、これが思った以上 に大変な苦労でした。 メキシコでは、「これを売る気?」とギョッとするほどの鉄屑のような車でもエンジ ンさえ動けば立派な自動車として売られています。未だに大昔のダットサンとか、箱 型の貫禄いっぱいのアンティーク・カーや、ヘッド・ライトのガラスの代わりに赤い セロファンを貼った車が街を走っています。だから、美しくも気品のあるキャデラッ ク91年型を売りに出したら、問い合わせの電話がジャンジャン鳴って対応に大変と 思っていたのに・・・。 日本では、車を売りたいとき、どのような手段がありますか?メキシコでは、正式に 市場に出さなくても、車を売るにはいくつかの方法があって、私達もそれに則って販 売努力しました。 車の窓に「$」マークと電話番号を貼りました。文房具屋には、ぺたんと貼れて雨に も落ちない蛍光色の$マークや電話番号用の数字を売っていますが、それを知らなか った私達は、色紙を切りぬいて「$」マークを作り、紙に大きく電話番号を書いて車 の前後・左右のウインドウに貼りました。 人々の目に留まるようキャディラックを路上駐車して待ちますが反応もなし・・・。 ここ一ヶ月の間に、走行中に隣を走っていた車から「いくら?」と言う声がかかった ことが一度と、アミーゴス・デ・ラ・ムジカのコンサートでアシエンダ・デ・コルテ スの駐車場でやはり値段を聞かれたことがありますが、それだけ。 中古車ディーラーに売ることも考えました。ところが、中古車市場は過剰供給で買い 取りの余地無し。いわゆる新古車のディーラーは91年型は古すぎて受け付けてくれ ない。ついでにディーラーに、実際にはいくぐらいで取引きされているか相場を尋ね ると、最初の思惑よりもずっと安い。徐々に値を下げてゆきます。 同じコンドミニオのハイメじいさんは個人的に中古車の販売をしています。メキシコ では地方によって車の値段に差があり、ハイメじいさんはメキシコ・シティで安く仕 入れた中古車を、クエルナバカでより高く売っているのですが、扱っているのは、主 にタクシーとして使われている日産のTSURUです。うちの車も売ってくれと頼んだの ですが、キャディラックは一般人向けではないし、勿論、タクシーにも使えないので、 扱わないというのです。でもノーハウはあるので、いろいろ教えてもらいました。 教えに従って出したのが新聞広告です。3日間(金、土、日)、DIARIO DE MORELOS 新聞に掲載したら10語で90ペソでした。これまたジャンジャンの電話かと思い きや、問合せは一件のみ。それも、「91年型だ」と言ったら「そんじゃ、もうポン コツじゃぁねぇか」という失礼な電話でした。だんだんイライラが募ります。 そこで、積極的に買いそうな人に声をかけることにし、また買いたい人を紹介してく れた人にはコミッションも払うことにしました。一方、結婚式BODAの手配人や、結 婚式のための車を貸しているレンタ・カー屋にも売りこむ事にし、電話帳をめくって 電話をしまくりです。ほとんどが、そっけない断りの返事でしたが、ひとつだけレン タ・カーの会社が車を見たいと言うので見せに行きました。「いい車だ」と言ってい たのに、その後連絡なし・・・。 そんな時、キャディラックの調子がいまいち悪くなり、いつもの整備工場TALLER に出しました。売るには万全の調子にしておかなければなりません。この整備工場が あるクエルナバカの工業団地CIVACには、日産、NEC、積水化学、前川工業、 東海など、日本企業の工場がいくつかあります。翌日、整備工場から電話があり、お 客さんの一人がキャディラックに興味を持っていると言うのです。かずさんは、早速 飛んでいって、その人に会い、そして満面の笑みを浮かべて帰って来ました。絶望し 始めた時に、急転直下の商談成立だったのです。売れた!ウレタ! もしも、まだ売れていなかったら、最後の手段として自動車マーケットTIANGUISに 出すことを考えていました。ティアンギスとはナウアトル語でマーケットのことなの ですが、この場合、週末に、売りたい車を持ち寄って市に参加し、訪ねてきた人々と 交渉して売買する広場で、我が家のもう一台の車であるVWゴルフは、クエルナバカ にあるティアンギスで買いました。でも、これは週末に何時間も客を待っていなけれ ばならない辛い仕事のようで、あまりしたくなかったのです。 最後の洗車して、いよいよ納車です。別れがつらいよ〜〜(涙・・・) こうして目出度くキャディラックが買われて行きました。買主は、修理工場と同じく、 CIVACにある金属加工会社の社長さんです。やっぱりキャディラックは社長さんが 乗るに相応しい車です。ところで、車が売れたので、次ぎはピアノを売っています。 アップライトのYAMAHAのピアノで、8年前に中古を2万ペソで買いました。今、 7千ペソで売りに出しています。お問い合わせはメールでお願いします。 おまけの話:今年一番長い夜 タマが来たという話を書いたら大きな反響がありました。やっぱり「みんな猫が好き」 なんですね。 タマは大きくなって、やんちゃになりました。一メートルもの体長を誇ったニエベの 2倍も3倍も食べるし、寝る、遊ぶ、食べると、みっつしかする事がないので、あっ と言う間に大きくなり力もついて、それでもまだ子供ですから、遊ぶといっても時々 身の危険を感じるほどです。オスの猫は去勢をしないと強暴になるのだそうで、もっ と力がついてきたら大変。家の中だけに住んでいるタマにとっては、発情期を迎える のも厄介なこと。そこで、意を決して去勢手術CASTRACIONをする事にして、動物 病院VETERINARIOの先生に尋ねました。 先生は、「手術は朝するので、前日の午後6時以降は絶食AYUNOさせなさい」と言 います。タマを入院させるのはイヤだったのですが、夕方6時から食事を与えなけれ ば、夜中中クウクウ泣いてエサをねだってきて、私達も眠れない事は目に見えていま すから、とても辛いことでしたが、夕方6時前に食事を与えてから病院に連れて行き ました。翌朝手術、その夕方に退院の予定です。 ニエベの時にはケガをして、ぐったりしている時に、ついでに手術したのですが、タ マの場合は元気でやっと家にも慣れ、お客さんにも慣れて来たところだったので可哀 そうでした。久しぶりにタマのいない夜は今年一番の長い夜となり、二人とも無口に なって、病院の小さなカゴの中にいるタマを想像して、しょんぼりでした。 タマは紙キレを丸めたボールが大好きで、紙を丸め始めるだけで、もう目が点になり ます。投げると、犬のようにそれを拾って来てかずさんの元に持って来て「また投げ てよ」と催促するのです。かずさんは、「豆腐買って来い!」とか、「銀行の金庫から 札束持って来い!」とか叫びながらボールを投げるし、タマは飛びあがってボールを 追いかけ、真面目な顔で豆腐や札束を口にくわえて戻って来るのですから見飽きませ ん。我が家では皆がそれぞれ芸をして小遣い稼ぎをしているので、タマもそのうち芸 を覚えて、エサ代くらい稼がせなければなりませんが、訓練のし甲斐ありです。 お隣の黒猫が2匹で遊びに来るとタマも一緒に遊びたがるし、かずさんがピアノで痛 めた指を温水でマッサージしようと湯を入れたボールに手を入れると、自分も手を突 っ込んだり、猫舌のくせに湯を飲んで熱がったり・・・。朝は、私達の寝室のドアの 前に座って、私達が起きて食事をくれるのを待っています。まだ数ヶ月なのに、一晩 いないだけで、もう思い出がいっぱい。 隣のねこ達も興味津々 湯加減はどうかな?あっち〜 タマのいる生活が定着してくると、やっぱり「温泉旅行にも出かけられないね」と言 う話になります。温泉旅行は交代で一人ずつ行って、一人はタマと留守番するという 案まで出ました。タマのいない秋の夜長に、話し合ったのは、「たまに温泉旅行に行 くのと、毎日タマと一緒にいるのとどちらが楽しいか?」という究極の選択でした。 そして、結論は「タマと一緒」です。長い夜が明け、心配した手術も無事に終わり、 麻酔でふらふらして戻って来たタマは、やがて再びやんちゃになって、毎日かずさん と買物ごっこや銀行強盗ごっこをして遊んでいます。 表紙に戻る 次に進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り #46 ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK #47 女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ #48 一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット #49 「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館 #50 7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館 #51 ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達 #52 老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問 #53 タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート #54 私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。 |