
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第56号 #6 本の続編 − タイ旅行報告、おまけの話:クリスマス・コンサート11月1日から14日まで、急遽日本に一時帰国しました。主な目的は、タイで行わ れる兄の結婚式に出席すること。タイと言う国は魅力いっぱいで、いつかは行きたか った国。このチャンスを逃す手は無いと勇んで行ったのですが、期待にたがわず、ち ょっとした珍道中、短い日程だったのに面白い経験でした。 まず、タイについての私の事前知識は「食べ物が美味しそう」という一点のみ。いざ 旅行してみると、日本からは近いと思っていたのに、飛行機で6時間半もかかるし、 タイ語があんな変な文字を使っているとはツユ知らず、その上、スカイ・トレインな どという文明の利器が空を飛び走る近代国家ということも知りませんでした。でも、 到着してみると、やっぱりイメージしていたアジアの一国らしく、エネルギッシュな 人々に溢れた猥雑ぶりで居心地良く、食事も美味しくて超満足。このごちゃごちゃと した庶民のウゴメキぶりはメキシコによく似ていて、そこがタイもメキシコも好きと 思う理由でしょう。 日本に着いて1週間後の11月8日(金)早朝JAL便で出発、夕方バンコック空港 に到着、その日はタイ・ダンス見学のみ。9日は一日観光、10日は本来の目的の結 婚式に出席、11日(月)早朝には帰国の途につくという、正味2日と数時間の旅で す。観光は、仕事で何度かタイを訪れた事がある姉の手配で、車とガイド付きの効率 的かつ楽ちんな物見遊山でした。 しかも結婚式出席が主な目的ですから、旅行の面子もいわゆる親戚一同で、長姉の娘、 もう一人の姉の息子夫婦とその1才4ヶ月の息子の3人家族、母の妹夫婦の2人に、 私たち石田家の3姉妹、合計老若男女9名の旅です。タイの人々に人気だったのは、 最年少の広大くん。1才で既に海外旅行経験者となりました。40代が一人もいない のに平均年齢が約45歳とはこれいかに。まったく無意味な数字ですが・・・。 今回のタイ旅行ご一行様、総勢9名です まずは言葉の問題から。姉がタイ語の本を買ってきましたが、見た途端ギブ・アップ。 アラビア文字風で発音が難しい。「クァウプ・クアン・カ」、これは私が即席に覚えた 「ありがとう」ですが、一生懸命発音を覚えたのに、言うたびに相手は一瞬戸惑い、 次ににっこりして、「カプカ」(と聞える)と直してくれます。この単語が言えるよう になったのは、すでにタイの土地を遥か遠く離れてからでした。あとは、挨拶一般に 使える「サワッデイイカ」(語尾の「カ」は女性のみ)は、「さわっていいか?」と覚 えて、行く先々で活用しました。 次は、食事。参加者全員が辛いものはダメと言う中、絶対にトムヤムクン・スープを 食べなくてはならないという義務感から、スープや麺類などトムヤムクンの辛さを追 い求めました。もっとも、日本人も多く滞在する国柄、泊ったホテルの朝食ブッフェ には「巻き寿し」まであるし、珍しい果物や、中国人も多いので中華料理も美味、そ の他、各国料理がそろって美味しく、観光の途中に立ち寄った屋台の庶民の味、ビー フン・スープ麺も飛びきりで、思ったとおり、食事も大満足。 結婚式は10日の朝10時から、ホテルの会場で始まると知らせがありました。式次 第の中で親戚のものが手伝わなければならないことがあると言うので、これは面白い と志願して早めに会場に到着すると、私達3姉妹はそれぞれ花で作られた台に乗った 結納の品を持つ役割を与えられました。それぞれの台には、札束、貴金属品、そして 結婚指輪が乗っています。 タイでも結納があるんです 写真は左から、貴金属のネックレスなどを持つ次女、結婚指輪指輪担当の三女(私)、 兄(花婿)、札束を重そうに持つ長姉、タイのおばさん。台は全て花と葉で出来てい ます。 まだ時間が早いので練習かと思ったらいきなり本番。新郎、新婦を先頭に式場に入場。 新郎、新婦が前方に腰掛け、その両側に、それぞれの親(石田家は、母が欠席したの で長女が代行)が着席して、参列者が揃っていないけれど、どんどん式は進行します。 式の主人公は、新郎が石田家の次男の道生、新婦はタイのうら若き女性プラパーポー ン・パンヤーカムさん(愛称はアンさん)、4人姉妹の真中の双子の一人です。二人 はタイのシルクの揃いの民族衣装に身を包んで、皇族のような品格(?)をかもし出 していますが、何せ、式と言っても、参列者も全然緊張の様子はなく、おしゃべりし ながら見守っているし、新郎、新婦も笑顔が絶えず顔がゆるみっぱなし。式の最中も 区切り毎に記念写真撮影があって、日本の神前結婚式のような厳格さはありません。 新婦さんの家族 やがてお坊さんと思われる人が新郎、新婦の前に座ってお経を唱えました。タイのお 坊さんと言えば、オレンジ色のぞろりとした袈裟を着た坊主頭の人を思い浮かべます が、この人は青い半袖の背広を着ているし、頭も剃っていません。でも、お経は長か った。敬虔な仏教徒の多いタイのこと、お経を真剣に聞いているかと思いきや、やっ ぱりザワザワとしています。もっとも、一番うるさかったのは、お経の言っているこ とが全然わからない私達日本人で、「少し、真面目にしなさい」と長姉にたしなめら れたりしながら、お坊さんやタイの人々を観察しました。 お経が終わると、花嫁の妹が小山の形に作られた花飾りを持って前に出ます。この花 飾りに仕掛けがあって、赤紫色の花の中に白い花があるのですが、実は花と思った白 いものは、糸を丸めたものでした。丸まった糸を花飾りから引きぬいて、順繰りに進 み出てくる親戚の人に糸を渡します。渡されると、糸を新郎、新婦の手首に巻きつけ て縛ります。最初は何がどうなっているのか分からない私達は、前のタイ人たちのし ていることを良く見て真似をします。全員がしたのかどうか分かりませんが、何せ参 列者が100人くらいいますから、いちいちかなり時間がかかります。 次に、新婦のお父さんが、白い太糸のようなもので出来た輪を新郎、新婦の頭に王冠 のように載せますが、このふたつの輪は同じ白い糸で繋がっています。これは、メキ シコでも、白い縄のようなもので二人の体を結ぶのでちょっと似ている儀式です。頭 が糸で繋がった新郎、新婦は前に置かれた生け花の上に両手を差し出すと、再び、親 戚一同が一人つづ進み出て、二人の手に水をかけて行きます。兄の会社の同僚の人が、 「これは日本で言えば、三三九度のようなものです」なんて教えてくれたけれど、ち ょっと三三九度とは似てまったく非なるものでした。 その後、新婦のお父さんが再び前に出て、新郎、新婦の額に白い点をみっつ書き、そ んな二人を中心に、グループごとに記念撮影をして、式は終わりました。 式が終わると晴れて夫婦となり、それまではホテルの別々の部屋をとっていたのが、 初めて上階のスイート・ルームに移ります。その時、ぞろぞろと参列者も付いて行っ てエレベータに乗って移動し、部屋に入ると、ロマンチックにも、バラの花びらが散 らされたベッドが・・・。お節介おばさんが「もっとくっつきなさいよ!」とばかり、 ふたりを押さえこみます。最後まで、賑やかで和やかな式ではありました。 以上が結婚式ですが、残念なのは、これが本当の仏式の結婚式なのかどうかわからな かったこと。また、結納の品として運んだ「あの札束は本物かしら?」とささやき合 ったことや、その他にも、たとえば、タイの三三九度とか、額のみっつの白い点とか、 疑問が沢山あったのに、調べる機会がなかったとこです。後で考えればインタビュー でもすべきだったかも知れないけれど、その場では、珍しいことばかり、見様見真似 でついて行くだけで面白くて、きちんと調べようと思わなかったのは、失策でした。 新郎である兄も日本人なので、タイの結婚式の奥義までは知らず、皆、親戚一同、無 責任に楽しんできた次第です。 こうして式は2時間ほどで終わり、その夜は、会場を改めて披露宴が始まります。披 露宴は欧米風で、花嫁は白いウエディング・ドレスに着替え、ケーキ・カットやカラ オケが飛び出すのは、もう世界共通。出席者たちも、朝の式では民族衣装やちょっと したオシャレ着だったのに、パーティのほうは皆、目一杯オシャレをしていて圧倒さ れました。次回は(ないと思うけれど!)、私達も、式用とパーティ用、ふたつのド レスを持って行きましょう。 披露宴でドレスアップした新郎新婦を中に記念撮影 祝辞はほんの数人で堅苦しいことは一切無し。同じアジアの国々で活躍している兄の 知り合いの方々も駆け付けてくれ、また花嫁の家族は遠い古都チェンマイから来てい るので、あちこちで再会の挨拶があり、次々に出てくる中華料理を味わいながら、こ れも格式ばらない、ゆったりとしたパーティでした。受け付けのテーブルにお祝いの 品の大きな箱が山積みになっていて、パーティ終了後、台車で運んで行ったのが印象 的でした。 私は、この年齢まで、友人の結婚式に数回出席した事があるだけ。兄弟のも(自分の も含めて)、親戚のも結婚式は経験しておらず、今回の兄の結婚式は、タイで行われ た事もあって、思いがけない嬉しい体験でした。この場を借りて、みっちゃん(兄の こと)とアンさんに、おめでとう。FELICIDADES! さて、ついでにタイの観光についても一言。最大の観光ポイントは、水上マーケット でした。昔はバンコック市内にも数多くあった水上マーケットは、市内の整備に伴い 現在では小さなものが少し残っているだけそうです。そこで、郊外の大型水上マーケ ットに行きました。これが、もう何日か滞在を延長したいくらい面白い。ちょっと危 なっかしいような小船に乗るのですが、意外とスピードが出て快適。曲りくねった河 を行くと、川岸の家々は夕涼みのためか、どこも河に面してテラスがあって、木のベ ンチや、テラスの手すりが凝った作りになっています。洗濯物が干してあったり大き な水がめがあったり、どこの国でも他人の日常を覗き見るのは楽しいものです。 水上マーケットでの一こま ぼく泳ぎたいな〜(ちょと待て!) やがてマーケット地域に入ると、蓮の花や珍しい果物を載せて走る船がいっぱい。岸 の店が人々を呼ぶので、船を横付けにして品定めをしますが、私達はもっとゆっくり 買物をするため、一番奥のマーケットまで行って、船を降りて買物をします。ここで、 メキシコで鍛えた値切りの技術をいかん無く発揮、お香や、椰子の実細工、布製品な ど、お店の人との交渉も上手く行って、これまた満足。もっとも、メキシコと同じく、 もともと安いものばかり。値切るのも、人懐こくて活力に溢れているタイ人とのやり とりが面白いから・・・。タイ人はメキシコ人よりも気が強くて生命力も強そう! 観光地だけでなく面白いことが沢山。私達が泊ったホテルは、バンコックの郊外で、 空港から近いところにあるので、ホテルから街まで出るのに、交通が渋滞しているし、 時間がかかります。 最初の夜、タイ・ダンスの見学に出かけたときのこと。ホテルからタイ・ダンスのレ ストランまで30分で着くということだったので、7時からのタイ・ダンスを見学す るため、6時半にミニ・バンでホテルを出発。出て暫くすると車がUターンし、あれ れ?あそこに見えるのは私達が泊っているホテルじゃない?そのまま通り過ぎてまた Uターンすると、あれれ?またホテルの姿が・・・。行っているのか、戻っているの か、通りすぎ、Uターン、ホテルとこれが街中へ入るまで何度繰り返されたこか!中 心部にはスカイ・トレインも走っているというのに、郊外からは渋滞もあってなかな か街中へは入れない。 街に入って、ガソリンスタンドに寄りますが、これが何が原因かやたらに時間がかか る。買物でも経験したけれど、お店の対応も、大勢でアテンドしてくれる割には、ど の人も効率と言う言葉には無縁、よってたかって却って混乱しているのに、のんびり 急がない!結局、タイダンスのレストランまで1時間半近くかかって、もうダンスは 終わってしまったに違いないと思った頃、やっと到着。それなのに、私達が席に着い て食事も始まってから、おもむろにタイダンスが始まり、終わって見れば絶好のタイ ミングだったのでした。 結婚式当日、式と披露宴の間の空き時間に、バンコック中心街にある貿易センター・ ビルまでタクシーで買物に行くことにしました。行きはメーターで120バーツ。雲 助タクシーもいるというから、こっちは、もう知っているぞと言う気持ちで、帰りに は、「来た時は、120パーツだったよ」と言うと、運ちゃん、なんとも嬉しそうに、 「そうそう、120バーツね」という感じでメーターを切ってしまいます。そうした ら、帰りはあっと言う間、Uターンも行きつ戻りつも一切無しでホテルへ直帰。あと で聞いたら帰りは80バーツほどの値段だったとか・・・。あの運ちゃんの嬉しそう な笑顔・・・。 何度も座席からぶっ飛ばされそうになるほど乱暴な運転の車ばかり、そんな渋滞する 車の間をぬって走る三輪タクシーのトゥクトゥクに大荷物と一緒に乗る人々、大きな 通りに並ぶ中国人経営のまさに金ぴかな貴金属店の店頭とそれに群がる人々、埃っぽ い道端の屋台で食事をする人々、雨季が終わったばかりでまだ川のように水が流れる 道路を自転車で行く人、混乱する駅の近くの通りで大釜で揚げ物をする人(この揚げ 饅が美味しい!)、空に突き出る大小様々な美しい寺院ワットの尖がり屋根の数々と、 金箔を買って仏像にくっつけながら拝む人々、巨大な涅槃像の周りにも人の群れ、道 端のバナナの木の間にひっそりと座る仏像や、道の真中でにこやかに微笑む王様の大 写真、そして逞しくもおしゃれで可愛らしいタイの若い女性達!どれも感動のタイで した。 おまけの話: クリスマス・コンサート CORO DE CAMARA DE LA CATEDRAL DE CUERNAVACA は、私も参加しているコーラス・ グループです。アミーゴス・デ・ラ・ムジカのクリスマス・コンサートに参加するに は少しばかり素人的過ぎる(つまりあまり上手ではない?)、小さな音楽愛好家の集 まりですが、コンサート前は練習に次ぐ練習の日々、でもどんどん歌うことが楽しく なって、熱心に参加しました。 猛練習の成果が出ていいコンサートになりました 去年に続いて、今年も12月13日(金)の夜に、カテドラルの敷地内にあるテルセ ラ・オルデン教会でコンサートが開かれました。歌う曲目は民謡のようなメキシコや 中南米のクリスマス・キャロルが主です。入場料が20ペソと安かったせいで、多く の人に聞いてもらうことができました。 表紙に戻る 感想箱へ進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り #46 ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK #47 女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ #48 一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット #49 「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館 #50 7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館 #51 ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達 #52 老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問 #53 タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート #54 私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。 #55 売れた! おまけの話:今年一番長い夜 |