
「クエルナバカの碧い空」第64号 #4 トピックス − 広い範囲で薬MEDICAMENTOS最近、南部の国境付近で、医薬品のニセモノ、つまり海賊版が氾濫していて、中には 生命に危険を及ぼす成分が入っているため、取締りを強化しているというニュースが ありました。海賊版PIRATERIAはメキシコ人にはお手のもの。キティちゃんでも、ピ カチュウでも、スパイダーマンHOMBRE ARANAでも、すぐに海賊版のぬいぐるみが出る し、安物のTシャツやテニス・シューズでもナイキのペケ・マークが付いて売られる お国柄ですが、それにしても、品が薬だけに悪質です。 しかし、レッキとした薬屋さんでも類似品が堂々と売られるこの国。薬や治療法に関 する事情の特殊性を体験から書き上げてみました。 《FARMACIA DE AHORRO「節約薬局」》 つい数年前までは、クエルナバカの薬屋さんと言えば、スーパーや大型ショップに入 っている薬品コーナーと、街の個人の薬屋さんだけでした。病院に行って、お医者さ んに処方箋をもらうと、そのまま真っ直ぐ薬屋さんに向かうのですが、先生は、「ス ーパーXXの薬屋さんが一番安いから、そこで買いなさい」と、病気だけでなく、薬 の買い方までアドバイスしてくれたものです。 街のあちこちで見られるFARMACIA DE AHORRO「節約薬局」 ところが数年前に、FARMACIA DE AHORRO「節約薬局」が、「AQUI VENDEMOS BARRATO, PERO MUY BARRATO安く売ります、それもすっごく安く!」という看板を掲げてオー プン。医薬品は全品30%引きで、チェーン店なので、あっという間に繁殖、大型店 舗があちこちに見られるようになりました。 《FARMACIAS SIMILARES「類似薬局」》 これに対抗して登場したのが、FARMACIAS SIMILARES「類似薬局」です。日本でなら、 「類似品にご注意」の類似品ばかりを売っていますが、店は堂々とした構えだし、テ レビで宣伝もしているので、決して、こそこそとした商売ではありません。看板には 「LO MISMO PERO MAS BARRATO同じ製品をより安く!」とあります。つまり、有名な 海外メーカーの商品と同じ成分の薬を国内の工場で作っているので、ずっと安く買え るということなのです。最大75%まで割り引きになるそうです。 FARMACIAS SIMILARES「類似薬局」ときどきお世話になっています そこで体験的に、私達も薬を買ってみました。医師に処方された薬を、最初は高価な 本物を「節約薬局」で買い、服用が長引くようなら、「類似品薬局」に行きます。薬 の箱を見せると、「これが、その薬の類似品です」と言って「類似品」を出してくれ るのです。特許製法というものもあるだろうし、本来のメーカーが怒ってこないので しょうか?また、アメリカに入国するときに、薬も含めてニセモノを持っていると罰 せられるそうですが、このような堂々と売られている商品はどういう扱いを受けるの か、興味があります。 ところが最近、「節約薬局」に行って、いつも買っている風邪薬を買おうとしたら、 同じ成分で「節約薬局マークの薬がありますよ」と勧められました。30%ほど本物 よりも安価で、成分は同じだそうです。こういう類似品ニセモノ海賊版も、これらの 薬局にかかると、貧しい人の味方の正当な商品ということになるようです。 《街の個人薬局》 街の個人薬局の中には、ちょっと上行く、「31%割引き」の看板を掲げていたり、 それなりに奮闘していていますが、全体的に見ると、角毎に出店して品揃えも豊富な 大型薬局に対して苦戦していて、閉店に追いこまれる店も多いです。 どの薬局にも言えるのは、店員が薬に詳しくて、きちんと説明してくれる事(と信じ ています)。そうでなければなりません。メキシコの薬には箱に成分も服用の仕方も 書いてないことが多く、説明書をよく読んで服用しようにも、説明書も入っていませ ん。購入には医者の処方箋が必要と書かれていますが、なくても全く問題無く買うこ とができます。 《HOMEOPATIAオメオパティア》 大繁盛する大型薬局に対抗して、最近、よく見かけるようになったのがHOMEOPATIA オメオパティアです。オメオパティアは「同毒療法」と日本語に訳されているので、 日本にもあるかも知れません。店先で売られている薬は、錠剤だったり、カプセルだ ったり、塗り薬や、点眼薬のように液体や、シロップなど普通の薬と変わりありませ んが、成分は全て植物(花など)、鉱物(水晶など)、動物(蜂など)から作られる自 然の原料です。 近所に開店したHOMEOPATIAオメオパティア 「同毒療法」というのは、大量に服用すると毒になる成分でも、小量づつを服用すれ ば人体に免疫作用を作り出す事ができる事から、毒に似た成分を自然界から採取し、 その毒性を限りなく薄めて、小量を服用する事により、免疫をつけて病気に勝つ。つ まり、毒をもって毒を制する考えから生まれたものです。病気を治すというよりも、 個々人の体質を改善して、病に勝つ体を作ることが原点となっています。自然の成分 ですから、赤ちゃんからお年寄りまで、その人にあった治療が可能であり、副作用の 心配も無いそうです。 オメオパティアには、HOMEOPATAオメオパタと呼ばれる専門家がいて、症状だけでな く、生活全般に関する診断によって、その人に適した薬を探してくれたり、時には、 その人だけでに効果のある自然物質の調合をしてくれるなど、相談にのってくれます。 私には耳新しいオメオパティアという言葉ですが、実際には、世界で既に200年も の歴史があり、ドイツやフランスなどがオメオパタ先進国のようです。薬品自体は特 に安くはないのですが、メキシコに入って来て急速に広がっていると言う事は、やは り化学薬品に対する不信感があるのかもしれません。パンフレットによると、喘息、 関節炎、気管支炎、糖尿病、うつ病、高血圧、不眠、更年期障害、肥満、リウマチ、 潰瘍、静脈瘤、風邪、ケガ、白内障、便秘等、広範囲の症状に効果があるそうです。 《NATURISTA自然食品店》 NATURISTA自然食品店も人気です。古くからメキシコ人が信用してきたのがこの自然 食品。乾燥植物の薬草などだけでなく、意外と多くいる菜食主義のために、大豆で作 った肉や豆腐、岩塩、無添加物ビスケット、乾燥した薬草、粉末ノパール、石鹸、化 粧品など、商品の種類も幅広くあります。私はビール酵母の粉末を買っています。 植物製のハンバーグも売っているNATURISTA自然食品店 先日、発見したのがLAS FLORES DE BACHという製品。これはイギリス人が発明し、 現在、世界に広まったもので、自然の植物が持つバイブレーションを利用して、体質 を改善しようというもの。38種類の植物(野ばらや、柳、リンゴの木など・・・) のエッセンスを取り出して、その植物の独特のバイブレーションが人の心のバイブレ ーションを揺り動かして、心の病や更年期障害などの症状を改善するというもの。こ の商品の使い方や、自分で作る方法なども教えてくれるとあって、時々開かれる講義 が人気のようです。 38種類のLAS FLORES DE BACH 《MEDICINAS TRADICIONALES薬草》 先日のニュースによると、ベラクルスやオアハカ州で古くから人々が日常的に薬用し ていた植物に、麻薬と同じ作用があることがわかり、密かに売買されていたという事 件がありました。メキシコ原産の薬草が豊富に育つこの国では、各地に優れた効用を 持つ薬草があり、自然食品店で売られているだけでなく、人々は庭で摘んだり、山に 入って採取したり、ごく普通に日常生活に溶けこんでいます。 薬となる植物、動物の展示 例えば、風邪をひいて喉が痛い時には、ウチの庭にも沢山咲いているブーガンビリア の中でも濃い赤色の花(本当は額)を摘んで、煎じて飲むとか、歯痛には、近所の街 路樹のコロリンの枝を煮て湿布剤にするとか、そこら辺の野原に自生している雑草の ような植物が即、薬になるのですから、便利です。もちろん、毒のある植物を間違っ て服用しないように、薬草学者の知人がいるとなお便利ですが、そんな知人がいない 人のためには、薬草の解説書が沢山出版されています。 《TRATAMIENTO POPULAR民間治療》 メキシコは広く、まだ祈祷師が活躍していたり、第53号のトピックスで紹介したテ マスカルTEMAZCALで出産する地方もあります。例えば、メキシコ・シティのメルカ ド・デ・ソノラMERCADO DE SONORAでは、呪術や魔除けの用品が売られていること で有名で、今も、これらの品物によって病気を治そうとする人がおり、最近も、その ような治療法によるトラブルがニュースにもなっています。 都市部でも、魔除けはともかく、代々伝わる治療法は根強く残っています。薬草もそ うですが、先祖伝来、おばあちゃんの知恵袋は理にもかなっていて、家独特の治療法 があります。風邪をひいた、お腹をこわしたと言うと必ず言われるのが「テキーラ を飲め!」で、呑んべいのタワゴトと思っていたら、真剣に言っているし、時には本 当に効き目があるようです。 メキシコ人が本当に信じているのがレモンの効用ですが、それ以外にも、例えば、お 腹をこわしたらコカ・コーラを飲む、ケガをしたらバターを傷口に塗る、目の病気に はTE DE MANZANILLAマンサニージャ茶を脱脂綿に浸して目に当てる、等など、あら ゆるケガや症状に対する応急処置があって、しかもそれがよく効くのです。 最近、化学薬品に不信感を持つようになった私は、もう少し民間療法を勉強して、自 然の恵みを利用しようという気持ちになりました。現在は、毎日、ビール酵母を牛乳 に溶かして飲み、コーヒーの代わりにマンサニージャ・ティを飲み、グアヤバという フルーツを食べているので、風邪をひくことも、お腹をこわすこともめっきり減って、 薬不要の生活をしています。 表紙に戻る訪問者紹介へ進む バックナンバー#2 メキシコの住宅事情#3 警官への賄賂 #4 音楽友の会 10周年コンサート裏話 #5 ノーチェ ブエナ物語 #5 クリスマス行事 #6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行 #6 トレス レイエス #7 ビザの種類と更新 #8 モナルカ蝶の聖域ツアー #9 ガールスカウト奈良支部 #10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」 #11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行 #12 メキシコの飲み物 #13 テキーラ #14 花が咲いて実がなった(街で見る果物) #15 アステカ・カレンダリオの謎 #16 2000年・年越し祭り #17 9月16日 独立記念日 #18 特別ゲスト、中村さつきさん #19 DIA DE MUERTOS 死者の日 #20 葛飾諏訪太鼓メキシコ滞在記 (リーダー水澤啓一 記) #21クエルナバカの年末年始 #22 メキシコ病院事情 #23 今も懐かし、街頭の物売りたち #24 養老院YALENTAY慰問コンサート #25 メキシコの温泉も気持ちいい(*^o^*) #26 ノパール NOPALで健康に! 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