-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
                         「クエルナバカの碧い空」第68号
#6 本の続編 − 返品自由、 おまけの話:みんな仲良く
まず返品とは無関係の話から。アミーゴス・デ・ラ・ムジカのコンサートの入場券を
売る手伝いをしていると、お客さんの中に、必ず、「私は出演する音楽家の家族のも
のだけれど、無料入場券が用意されているはずだ」と言って来る人がいます。無料入
場券とはメキシコではBOLETO DE CORTESIA、即ち、儀礼上無料で差し上げます券と
言って、いわゆる招待券です。本来なら、主催者側が来て欲しい人に、「券を差し上
げますから来てください」と申し出るものですが、メキシコの場合、音楽家のほうか
ら、「家族が5人来るから、5枚無料券をくれ」と言ってくるわけです。

いつもは習慣だから仕方がないと思うのですが、しかし、#2文化情報でお伝えした
12月のクリスマス・コンサートのように、合唱団や楽団の合計150人くらいのメ
ンバーに例えば無料券を2枚づつ渡せば、500人入いる会場が無料入場者だからけ
になってしまいます。入場料は高いけれど、身内が出ているから、赤の他人が買わな
い券でも買って聴きたい思うのが家族でしょうが、そうは思わず、家族なのだから、
恩恵を受けるのは当たり前と思うらしいのです。これぞ、メキシコ独特の家族社会、
コネ社会の弊害でしょう。しかも、余った無料券を会場前で売るダフ屋まがいの音楽
家までいて、とても芸術家のする事とは思えません。

私は日本でコンサートなどの会場側で働いたことがないので知らないのですが、こう
いう習慣は日本でもあるのでしょうか?例えば、今回のクリスマス・コンサートのよ
うな大きな行事になると、政府関係者や観光局の偉いさんも招待されるし、ラジオ番
組でプレゼントされる招待券もあるので、全入場者の50%近くが無料客ということ
も珍しくはありません。ラジオの番組も、最初は、お金がないからラジオだけで音楽
を楽しもうという、一目で貧乏人と分かる人が当選者だったのに、最近は、番組が有
名になったせいで、音楽など聴かないで、プレゼント・コーナーだけ聞いて応募し、
無料招待券を持ってくる常連の金持ちもいます。

こういう金持ちや、当然金のある政府関係者が、どうして金を払ってでも美しい音楽
を聴きたい、ひいては、クエルナバカの文化向上の役にたちたいとは考えないのか、
とっても不思議です。クエルナバカでは、アミーゴス・デ・ラ・ムジカ以外には、定
期的に良質のコンサートを提供する組織はなく、しかもアミーゴスが資金繰りに困っ
ていることは政府関係者は良く知っています。アミーゴスが潰れでもしたら、素晴ら
しい音楽を聴く機会が失われることが目に見えているのです。ところが、彼らは音楽
愛好家ではないのか、招待券がなければコンサートなどに足を運ばない人種のようで
すから、何のための招待券か。

私は、アミーゴスの経理係をやっている関係上、入場者数が多い割には、切符の売り
上げが少なく、時には音楽家にギャラを払うこともできないくらいなので、嘆いてい
るわけですが、たかり根性のある一部の人間を相手にこんなことを嘆いても、全く無
駄なことかもしれません。

さて、返品の話です。以前、タイトルは忘れたけれど、スーパーでデスカウントで買
った本に落丁があったので、取り替えてもらったことがあります。同じ本はもう売っ
ておらず、返金してくれることになったのですが、「デスカウントで買いました」と
言っているのに、もうレシートも捨てた後だったので金額が分からず、返してくれた
のはデスカウント前の正札の金額でした。しかも他の本屋で見つけた本は、さらにお
安い40%引き、大いに得をしました。

今回は、JOHN IRVINGのUN HIJO DEL CIRCO(「サーカスの息子」新潮社、上・下)と
言う分厚い本で、夢中になって読んで、もうすぐ終わりという、小説の結論部分がな
んとごっそり落丁。早速、本屋に取替えに行きました。これも買ってから既に数週間
も過ぎていたので、もうレシートはないのに、すぐに新品と換えてくれました。新し
い本は最後の数ページを読んだだけで、ほとんど手垢がついておらず、また読み直す
ときには、新たな気持ちで読めるでしょう。 

落丁の本を取り替えてくれるのは当たり前なのだけれど、最近2件、面白い返品騒ぎ
を経験しました。まず1件目は、テレカブレTELECABLE(ケーブル・テレビ)の件。
メキシコでは、テレカブレを契約していないと、テレビのチャンネルが極端に少ない
らしいので、我が家ではメキシコに来た当初から、テレカブレの基礎チャンネルとパ
ック・チャンネルの二つを契約して、CNNやESPNなどを見られるようにしている
し、インターネットも電話線よりはずっと高速通信のテレカブレを契約しています。

ところが11月の下旬にテレカブレから、「12月から契約料が上がるから、11月
中に料金を支払うとお得です」というメールが入り、毎年、12月に一年分の視聴料
を払っているのに、今年は11月の月末に大急ぎで支払いに行きました。支払いを済
ませてから、よくよく金額を見ると、値上がり前という割には、去年支払った金額よ
りも高い。それで説明を聞きにもう一度テレカブレのオフィスに戻ったら、基礎チャ
ンネル数がずっと増えて、既に数ヶ月前に値上がりしていたのです。

そこで、チャンネル表をもらって家でじっくり研究したら、基礎チャンネルが増えた
のと反対に、もうひとつ契約しているパック・チャンネルの数が減って、しかもほと
んど見ないアメリカのチャンネルばかりなのです。そこで、考えたのは、このパック・
チャンネルをキャンセルすること。しかし、もう料金は一年分、カードで支払ってあ
るし、いくら知らなかったとは言え、今更キャンセルできるものかどうか?

再々度、テレカブレのオフィスに戻って、窓口で相談したら、あっさり「では、返金
しますから、小切手を取りに来週また来てください」と言うではありませんか!現在、
返金の小切手も受け取り、ベーシックのチャンネルを見ているのだけれど、ベーシッ
クといいながら何と55もチャンネルがある。不足があるわけがない。返金額も1年
分だから、それなりの額で随分得した気分。

現在、株式会社アルクの月刊イングリッシュ・ジャーナルENGLISH JOURNALの依頼で
メキシコ(クエルナバカ)の紹介記事を書いているのですが、その原稿と一緒に送る
写真を撮りに、カメラマンのかずさんと一緒に街を歩いていたら、突然、デジカメに
エラー・マークが出て、壊れてしまいました。大分前に日本に帰ったときに買ったき
たこのキャノンのデジカメは、映像もきれいだし、ずっと快調に撮影できていただけ
に、がっくり。しかも、雑誌の締め切りも迫っていますから、今からデジカメをオー
クションで買うとか、誰かに買ってきてもらうとか、悠長なことはしていられません。

最近、メキシコに来る人が持っているデジカメはとても小型で、性能も格段に良くな
っているし、日本で買えば、種類は豊富だし、安いのだけれど、日本に帰っている暇
がない現在は、高いけれど、メキシコで買うより他はありません。丁度、大型文房具
店の広告が入ってきて、各種デジカメのセールをやっているので、その店や他の量販
店、スーパーの電気製品売り場などを見て周り、値段比べをすることにしました。

まだまだ品数が少ないので選択肢はあまりないのですが、スーパーのカメラ売り場が
一番安いことがわかりました。そこで、中でもちょっと安めだけれど、きちんと要求
を満たすと思われる機種を買ったのです。かずさんが、説明書を細かく読み、電池な
どもセットして、実際に写真を撮り、メモリーをPCに落としてPC画面で写真を見
てみました。結果は写真があまり鮮明でない。しかも、ズームが思ったようにできず、
雑誌用の写真にするには物足りない。安めの機種とは言え、私たちには大金だし、こ
の性能では不満ばかりで、がっかり・・・。

しかし、電池は減っているし、いくらメモリーを消去したといっても、メモリー・カ
ードは使用ずみ。買う前によく説明をしてもらわなかったことも原因ですから、今更、
他のカメラに換えてもらえるはずもありませんし、スーパーの売り場には、取り替え
てもらいたい機種がない。しかし、かずさんは、ダメモトだから返品しに行こうとい
うのです。スーパーの「お客様カウンター」で、理由を話したところ、私たちが買っ
たときに応対してくれた売り場の男性が、「このカメラは私たちの目的には合わない」
という私たちの説明をじっくり聞いてくれました。そして、なんとすんなりと、「じゃ
あ、返金しましょう」と言うではありませんか!返品に行った私たちのほうが驚いて
しまいました。

落丁本の返本は当たり前ですが、デジカメなんかは、返品してもらった今でも、何か
詐欺でも働いたような罪悪感を感じます。だって、あの商品はもう売り物にはならな
いでしょう?

おまけの話:  以前、「扶養家族」が増えて、餌をあげるのも大変という話をした
ことがありますが、この扶養家族の一員であるリスARDILLAが最近図々しいのです。
リスが猫の餌(缶詰ではなく、カリカリの餌)を食べるのを発見、両手で餌を持って、
可愛いしぐさで食べる様子を見るのが楽しみで、よく餌をあげるのですが、これが、
小さな体で大食漢。前は、餌の持ち主であるガルバックが食べ残したのを食べたり、
少なくとも、ガルバックが食べ終わってから別の時間帯に来ていたのに、それが最近
は、ガルバックを追い払ったりするようになったのです。

ガルバックは隣人が引越しした際に連れて行ったのに、帰ってきてしまって、うちに
居候している猫ですが、そうでなくても、遠慮して3杯目はそっと出すのに、その餌
をリスが横取りしてしまうのですから、哀れです。
怖いもの知らずのリスと見守る猫たち
(クリックで拡大)
リスは可愛い動物というイメージが目の前で大転換。ガルバックも気が弱いではあり
ませんか!リスが来ると、身を引くようにさえなりました。うちのタマはまだ遊びた
い盛りですから、リスが来るとお尻をふって身構えますが、でもリスは窓の外で、タ
マのそんな様子を見ながら、平気で餌を食べ続けます。先日などは、ガルバックが食
べているのに、その餌箱にリスが一緒に食べ始めたのです。ほぼ野良猫とほぼ野生の
リスが同じ釜の飯を食うの図をうらやましいそうに見る家猫タマ。ガルバックの当惑
顔が可笑しい。

表紙に戻る
感想箱へ進む
バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア
#11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行
#12 「女性」から:老化現象と更年期障害
#13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」
#14 日本へ一時帰国しました/その他
#15 運転したら事故はつきもの
#16 私たちの夏休み日記
#17 最近の感動:みんな生きている!
#18 ホームページ1周年記念
#19 仕事人「かり」
#20「葛飾諏訪太鼓」の日々
#21 クエルナバカから謹賀新年
#22 薬の話
#23 社交サロンの話
#24 夏時間、ク日比較アンケート
#25 母は強し
#26 我が家のガーデニング
#27 選挙裏話と日ク比較
#28 国際ピアノ・コンクール
#29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群
#30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」
#31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」
#32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」
#33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話
#34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」
#35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」
#36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」
#37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE
#38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET
#39  コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材
#40  夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程
#41  我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件
#42  続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応
#43  犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉
#44  日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括
#45  謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り
#46  ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK 
#47  女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ
#48  一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット
#49  「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館
#50  7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館
#51  ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達
#52  老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問
#53  タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート
#54  私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。
#55  売れた! おまけの話:今年一番長い夜
#56  タイ旅行報告、おまけの話:クリスマス・コンサート
#57  NY息子救出作戦、おまけの話: レコーディングとラジオ番組
#58  タマ、おまけの話:ラジオ番組
#59  薬害?それともアレルギー、おまけの話:メキシコの苦悩
#60  最近読んだ2冊の本と戦争、おまけの話:リコーダー
#61  気になる最新ニュース、おまけの話:最後のミサ
#62  メキシコに住むということ、おまけの話: 日曜日も有料に!
#63  200歳、200歳 2SIGLOS おまけの話: コンサート
#64  夏休み雑感、 おまけの話: 稼ぐ!
#65  繁子さんの死、 おまけの話: 扶養家族
#66  人生の節目5周年、 おまけの話: アミーゴスの仕事
#67  私はクエルナバカ、おまけの話:かずさんは日本

[PR]看護師の好条件な求人情報満載:年間70000人の看護師が転職に利用!