-呑気家族のメキシコ移住計画-
出版:近代文芸社
石田 かり・著
                         「クエルナバカの碧い空」第69号
#6 本の続編 − 年末・年始 雑感 − おまけの話:バイオリンの家での新年会
初めてクリスマス・ミサに出席してコーラス・グループと一緒にミサ曲を歌うことに
なったため、クリスマス・イブは少し早めに夕食をすることにしました。子供たちが
冬休みで家に帰って来ているので、この間、食事ははいつもの粗食と異なり、ちょっ
ぴり豪華で、外食も多かったのですが、この日は、なんと七面鳥PAVOならぬ、ケン
タッキー・フライド・チキンを食べようと言うことになったのです。

少し早めの4時、プラン・デ・アヤラ通り沿いにあるKFCに持ち帰り用のチキンを
買いに出かけました。と、まず目に入ったのが長蛇の人の列。入り口からあふれた人
の列はぐるりとKFCの店を取り囲み、カウンターに到達するまでどのくらい時間が
かかるか見当もつきません。時間に余裕があったので、泣きわめく赤ん坊を抱いた家
族連れなどと一緒に辛抱強く並びました。最終的には1時間強並んで、やっと我が家
の夕食を手に入れました。同じプラザ内にあるハンバーグ屋やレストランは混みあっ
ていないので、やっぱりターキーの代わりのチキンだったようです。それにしても、
晴れのクリスマスに、ファースト・フードのフライド・チキンを食べて済ませようと
いう不信心者(?)がこんなに多いとは驚き。

メキシコはカトリックの国。クリスマスは盛大に祝うので、料理もすごいと思いきや、
私が経験した範囲では、正直、あまり特別とは思えないのですがいかがでしょうか?
ターキー、それからバカラオ(鱈の干物)料理、何故かスパゲッティ・ア・ラ・クレマ、
そしてケーキ。これが私が知る範囲のクリスマス料理の常連なのですが、まず、ター
キーを美味しく料理するのは素人には難しい。KFCに来ていた家族連れに聞いても、
「ターキーよりもフライド・チキンのほうが簡単で美味しい」だって!そりゃあそう
だけど、なんか納得できない。

バカラオ料理もあまりパッとせず、メキシコ人の友人に聞いても、「あまり好きでな
いの」という人が何人かいて笑ってしまいました。スパゲッティにいたっては、麺を
茹でて生クリームを絡ませるだけという(ちょっとだけ具らしいものも入っている)
簡単さで、美味しいけれど、お祝い料理の派手さはありません。

イブ前のポサーダに招待されて行った時に、出てきたのはタマーレスとフルーツ・ポ
ンチ。あったかいフルーツ・ポンチはこの季節だけだし、ロン(ラム酒)を入れると寒
い冬には美味しい。クリスマスらしくて私は大好き(アルコールが入っていれば何で
も好きと言う説もある)。でも、タマーレスは何かというと出てくるけれど、普段も
食べているしなぁ・・・。道端に毎朝、毎夕、タマーレス屋が出て、人がたかって食
べているから、毎日一回はタマーレスという人もいると思う。作るのは面倒らしいけ
れど、要するに、とうもろこしの粉を練ったものに鶏肉とサルサが少しづつ入ってい
るだけで、日本で言えば、立ち食いのきつねうどんみたいなもの?招待されて文句を
言う筋合いではないけれど、何かもう少し特別な料理ってないのかしら??

あとは、1月6日のロス・レイエスの日のロスカというケーキ。これも、ここだけの
話、メキシコ人には聞かせられないけれど、そんなにメチャ美味しいものではない。
ロスカに入っている小さな子供の人形が当たった人は、今度は2月2日のろうそく祝
別の日DIA DE CANDELARIAに、みなにおごらなければならないのですが、何をおごる
かと言うと、これがまたもやタマーレス。

それに反して日本は違う? 私たちはメキシコにいても、大晦日には、細く長く生き
るの年越し蕎麦を食べ、お正月には、雑煮やお屠蘇で祝いました。もちろん、日本に
いたら、大根にイクラが入った酢の物、先の見えるレンコンなど野菜たっぷりの煮し
め、喜こんぶの昆布巻き、マメに生きて黒赤でめでたい黒豆とチョロギ(千代呂儀と
も書くそうで、これもメデタイ)、黄金色のキントン、子沢山の数の子、粘り強い餅
などなど。普段と違う縁起物の特別料理が盛りだくさん。メキシコも10年目に入っ
てもの珍しさがなくなったら、春から文句が多くなってしまいました。

クリスマス・ミサは「雄鶏のミサ」MISA DE GALLOと呼ばれ、イブNOCHE BUENAの
24日からクリスマスNAVIDADの25日にかけての深夜に祝われます。「雄鶏のミサ」
と呼ばれるのは、雄鶏が一番早くに時を告げて皆にキリストの誕生を伝えるかららし
く、メキシコ・シティのカテドラルや地方の信心深い町の教会では、今もクリスマス・
ミサは深夜に行われますが、クエルナバカでは、あまり深夜だと人も来ないし、コー
ラス・グループも嫌がるとの配慮からか、今年のミサは夜8時に始まりました(クリ
スマスのミサは普段の倍の2時間以上かかるし、去年は9時始まりだったので、私は
欠席しました)。あまり遅くない時間なので、今年は私も他のメンバーと共に参加す
ることにしました。初めてのクリスマス・ミサです。

ところが、ミサ前の週に、コーラスの先生が、冬休みに入っている子供と一緒に休暇
をとって遊びに行ってしまいました。そこで、コーラスの仲間ではベテランで、先生
代行のベルタおばさんがミサの選曲をし、ミサの前の金曜日に私たちに、その曲を教
えてくれることになりました。ミサで歌われる曲は全部で11曲、そのうち知らなか
った新しい曲が5曲。その5曲を1回、1時間半の練習で全て覚えようというのです。
あとは、ミサ当日にコーラスの先生が戻ってきて、ちょっと前練習をして本番ミサに
臨むというスケジュール。

メキシコ人は何でもそうだけれど、即席に行動することが多い。頭の回転が速いと言
えないこともないけれど、計画をたてて準備万端怠り無く、用意周到で実行に移すと
いう考え方の日本人にとっては、非常に理解に苦しむところ。ミサは毎年決まった日
にあるのだし、カテドラルいっぱいの人々、つまり500人以上の人が祈りを捧げに
来るのだから、コンサート以上に盛大です。だから、もっと前からきちんと準備した
らいかがなものかと言いたい。しかし、メキシコ人は生半可に覚えた歌を、それぞれ
が思い込んだメロディーで歌っても平気、というか大満足。結局、彼ら式には、結果
OKだったのでした。

約2時間のミサが終わって帰途につくも、タクシーがつかまらない。クエルナバカで
初めて乗車拒否を経験しました。

年末・年始は平穏無事な食い正月となりました。やがて子供の冬休みも終わり、NY
に帰る息子をシティの空港まで見送りに行きました。ニュースによると、アメリカ側
からの要求で、空港でのチェックが厳しいそうです。アメリカ人の警備員まで来てい
る空港もあると聞いていたし、指紋や顔写真も取られると聞いていたのに、長蛇の列
の割には、どんどん進み、息子はスーツケースを開けられることもなく、ノー・チェ
ックで飛び去りました。

安全性の問題からキャンセルになったメキシコの航空会社のフライトもあり、メキシ
コ人の中には、このような厳重体制を大袈裟だし、アメリカの言うままに振舞ってい
て、独立国としての尊厳を傷つけられたと怒る人も多いようです。しかし、事はテロ
問題。実際に旅行をする人にとっては、少しくらい遅れてもしっかり安全を確認した
方がいい。だって隣にフセイン顔の人が乗っていたら、飛んでいる間中、不安ではあ
りませんか!息子はスケジュールどおりに無事にNYに戻り、私たちは電話でその知
らせを聞いて、全て無事に正月を終えることができたと安堵したのでした。こうして、
新年が何事もなく、順調にすべり出しました。今年もよろしくお願い申し上げます。

おまけの話: バイオリンの家での新年会

バイオリニストの黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLINで新年会が開かれました。私た
ちもご招待にあずかり、平日と同じように過ごしていた新年の一日を、特別の日にし
てもらいました。ワトソン繁子さんが亡くなって4ヶ月、前回、ユリ子さん邸で会っ
たのが最後だったので複雑な思いでした。

まずは素晴らしいコンサートから。コヨアカンにあるACADEMIA YURIKO KURONUMAの
先生たちの弦楽器を中心にした楽しい演奏。途中からは、メゾ・ソプラノ歌手エンカ
ルナシオン・バスケス嬢が歌うマヌエル・ポンセの曲に心からウットリ。一年のはじ
め、お正月の過ごし方としてこれ以上に望むことはありません。
まずはコンサートを楽しみ、そしてご馳走山盛りを待ちます
(クリックで拡大)
そして、いつも来て良かったと思うのが美味しいお料理の数々。そばでメキシコ人が
「美味しいQUE RICO!」と言って食べるのを聞きながら、「ほらね、日本の料理って、
ちょっと違うでしょ!」と自慢したくなってしまいました。自分で作ったわけじゃな
いんですけど・・・。メキシコ・シティで活躍する日本人の方々とも知り合えて、あ
るいは久々にお会いできて、素晴らしい新春の一日でした。

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バックナンバー
#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転
#2 「猫」から:猫の獲物はどうする?
#3 「免許証」から:ここでは買うんです
#4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍
#5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走
#6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート
#7 「スペイン語」から:無口な日本人
#8 「免許証から」から:車の所有税
#9 「クエルナバカ」から:蜂鳥
#10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア
#11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行
#12 「女性」から:老化現象と更年期障害
#13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」
#14 日本へ一時帰国しました/その他
#15 運転したら事故はつきもの
#16 私たちの夏休み日記
#17 最近の感動:みんな生きている!
#18 ホームページ1周年記念
#19 仕事人「かり」
#20「葛飾諏訪太鼓」の日々
#21 クエルナバカから謹賀新年
#22 薬の話
#23 社交サロンの話
#24 夏時間、ク日比較アンケート
#25 母は強し
#26 我が家のガーデニング
#27 選挙裏話と日ク比較
#28 国際ピアノ・コンクール
#29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群
#30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」
#31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」
#32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」
#33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話
#34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」
#35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」
#36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」
#37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE
#38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET
#39  コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材
#40  夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程
#41  我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件
#42  続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応
#43  犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉
#44  日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括
#45  謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り
#46  ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK 
#47  女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ
#48  一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット
#49  「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館
#50  7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館
#51  ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達
#52  老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問
#53  タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート
#54  私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。
#55  売れた! おまけの話:今年一番長い夜
#56  タイ旅行報告、おまけの話:クリスマス・コンサート
#57  NY息子救出作戦、おまけの話: レコーディングとラジオ番組
#58  タマ、おまけの話:ラジオ番組
#59  薬害?それともアレルギー、おまけの話:メキシコの苦悩
#60  最近読んだ2冊の本と戦争、おまけの話:リコーダー
#61  気になる最新ニュース、おまけの話:最後のミサ
#62  メキシコに住むということ、おまけの話: 日曜日も有料に!
#63  200歳、200歳 2SIGLOS おまけの話: コンサート
#64  夏休み雑感、 おまけの話: 稼ぐ!
#65  繁子さんの死、 おまけの話: 扶養家族
#66  人生の節目5周年、 おまけの話: アミーゴスの仕事
#67  私はクエルナバカ、おまけの話:かずさんは日本
#68  返品自由、 おまけの話:みんな仲良く

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