
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第71号 #6 本の続編 − シンプル・ライフ; おまけの話: ENGLISH JOURNAL海外生活が10年目になり、子供たちが自立して夫婦二人になり、雑用が減ってテン ポが遅くなり、何も起こらないけれど読書する時間もたっぷりある静かな毎日が気に 入って、緊張感が減りました。今から12年前に、長年勤務した会社を辞めたとき、 「これからは、したいことだけして生きていきたい」とタワケタことを考えたのです が、実際こうして生活していると、「ああ、あのタワケタ夢が叶っているんだな」と、 密かに一人ほくそ笑むのです。 最近、「年金20万円で暮らす海外生活」という記事(題名だけ見た)を見ました。 私たちは企業の海外赴任という形でメキシコに来て、偶然ここが気に入りましたが、 定年を迎えたら海外移住をしたいという人に、メキシコの生活基礎知識として生活実 感を書きます。メキシコに下見に来る前に読んで下さい。(文中、1ペソは約10円)。 まずビザの問題から。リタイアメント・ビザが必要です。ビザ取得の時には面接があ り、その他に、毎月1000USドルの収入があることを証明する年金証明(妻など 同伴者が1人増える毎に、収入額が500USドル増える)を提出します。ですから、 夫婦合わせて20万円の年金があればビザは取れるし、現実に、私たちも子供達の学 費などを含まず、自分たちの生活だけなら、この範囲で生活しています。 現在、多くの国で政情が不安定だったり、テロの問題を抱えていますが、メキシコは 経済的にも政治的にも安定しています。狂牛病も鳥インフルエンザもまだないし、 SARSも入ってきませんでした。地方都市のクエルナバカなら治安も良いですが、ク エルナバカだけでなく、メキシコ・シティを除く中央高原の都市はどこも穏やかな気 候や人々、美しい自然に囲まれた生活が出来るでしょう。 まず一番大事なのは食べ物。和食でないと夜も日も暮れないと言う人もいますが、そ ういう人はおいといて、スーパーには色の濃い野菜がいっぱいだし、豚肉だって、日 本が輸入しようとしているくらい美味。鶏肉もジューシー。その上、南国の果物は食 べ放題。主食も、米、パン、パスタ、トルティージャ、何でもあり。醤油や日本米も スーパーで売っている時代になりました。 先日、連泊の民宿のお客さん(遠い遠い親戚のご夫婦)の、牛ひれ肉の美味しいのが食 べたいという希望にお答えして、分厚いのをさっと焼いて食べました。これ、メキシ コのステーキ肉でも一番高級で、恥ずかしながら今まで食べたことが無かったのです が、塩、コショウをふっただけでウマイ!うま過ぎで、今度は、お客さんがいなくて も月に一度くらいは食べようと決心したくらい。この最高級ステーキの値段が1キロ 100ペソ弱。お一人300グラムのステーキが約30ペソ、日本円なら300円。 どうです?日本でなら10倍はするのでは? 私達は、世界各国に住む友人とメールでやり取りをしていますが、国によっては、牛 肉が美味しくない(ドイツ)、冬は野菜が不足(東欧)、鶏肉が不味い(アメリカ)、魚は 全滅(スエーデン)など、食べ物に難ありの国が多い。アジアは食に関しては美味し くて、私が旅した国の中では、一番食べ物が美味しかったのはインド、これは、私が インド・カレーが大好きだから。で、2番目に食べ物の美味しい国と言えば、これが 何とメキシコ。食材も豊富なら、メキシコ料理も美味しい。 物価が高くなったとはいえ、住宅事情もそこそこ良いです。国籍を持っていなくても 不動産の取得はできるそうで、1,000万円出せば相応の家が買えます。私たちが住ん でいるようなコンドミニオ内の住宅は、困ったときに隣人達に助けてもらえるし、知 り合いも出来やすいというメリットがあります。我が家は賃貸で、築20年2階建て、 居間、4寝室、台所、裏庭、共同のプール付きの庭には庭師付き、駐車場付きで、家 賃が5,500ペソ、庭師の給料、水道料金を含む維持費が700ペソ。ムチャーチャと 呼ばれるお手伝いさんに週2回だけ掃除だけ頼んでいるのですが、一回70ペソ。掃 除をしなくて済むなんて、それだけでもメキシコに住む価値あり。 文化という点では、コンサートや展覧会などの催し物に安い値段で触れられし、カル チャー・クラブやジムもある。映画館も充実していて安い。コンサートの入場料は約 30ペソから250ペソまでで、高齢者割引があります。映画館は約45ペソ、水曜 日は大幅割引あり。日本では老人が楽しめる施設は限られているけれど、プールや映 画館などの娯楽施設でも老人連れも多い。 そう言えば、私はジャック・ニコルソンの大ファンで、彼の映画はほとんど見ている のですが、先週見に行ったALGUIEN TIENE QUE CEDER(SOMETHING'S GOTTA GIVE)は 最高に面白かったので、特に中高年の人にオススメ。水曜日の割引日に行ったので、 いつもはすいている11時の朝一番の回にも、嫁に手を取られたおばあさんや、杖を ついたおじいさんなど超高齢者から、私達のような中年夫婦まで沢山入って、ずっと 大爆笑でした。日本では、「恋愛適齢期」という勘違いの邦題で3月27日からロー ドショーの予定です。お見逃し無く。それにしても日本の映画館入場料は高い。 気候に関しては文句なし。メキシコ・シティを中心にした中央高原の一帯はどこも気 候が良いのですが、特に、クエルナバカは台風もかすめるだけ、地震もちょっと揺れ るだけで天災の被害はほとんどなく、高原の爽やかさが一年中味わえます。 病院などの施設を心配する人も多いでしょうが、日本の院内感染や医療ミスを考える と、ま、失敗するときはどこの国にいても失敗すると思ったほうが良い。友人のベル タは、私よりも年上なのに、老眼鏡を使っていないから、不思議に思って尋ねたら、 「30年以上前に、若年性の白内障で手術して、目にレンズが入っているから、一生 メガネの必要は無いのよ」と言っていました。何と素晴らしい技術でしょうか。それ とも日本でも当たり前のことなのでしょうか? また、老人ホームも沢山あってピンからキリまで。ボケたら老人ホームにお世話にな るのもいいかもしれません。 極端な宗教観や人種の問題がある国は避けたいものですが、メキシコ人は原住民が黒 髪に中肉中背と日本人に似ているから違和感が少ないし、親日派が多いことも嬉しい。 各地を旅行してからクエルナバカに来た人の中には、国によって、アジア人に対する 差別が激しことから、その国から逃げるように出てきた人もいます。宗教もカトリッ クの国とは言え、あまり熱心でない人も多く、宗教によって生活態度や着る物、食べ 物、飲み物などに制限がないことも安心です。 こうして思いつくまま、メキシコの良さを並べてきましたが、一番私が気に入ってい るのはシンプルさです。夫は、日本から持ってきた電気シェーバーが壊れてからは、 普通の髭剃りカミソリを使っています。昔はかけていたパーマネントももうかけなく なって美容院とも縁がなくなりましたが、流行がないので、どんな髪型でも気になり ません。以前はとっていた新聞も止めました。SKYテレビというのに加入すると日本 のNHKが見られるようですが、高いから加入しない。日本から持ってきた物が古く なって使えなくなっても不自由はしません。 日本は科学技術が発展していて便利という人は多いでしょうが、一部の人が開発する 技術は進歩していても、一般の人間自体はさほど進化していないのだから、文明の機 器に頼り過ぎない生活のほうが故障もなくて、呑気です。 どうしても和食でなければダメだと言う人、生まれた土地から離れられない人、日本 が一番良い国だと思い込んでいる人以外は、みな海外生活予備軍。キュウリやマヨネ ーズなどにもこだわって、日本食料品店から高価な品を買う人がいますが、身近にな いものには執着せず、あるもので満足するという態度が必要で、それこそがシンプル・ ライフ。メキシコなら流行に惑わされたり、隣人の生活を羨ましがることも無い。ア メリカ人などでもスペイン語が全然話せない人も多いけれど、スペイン語が覚束なけ れば社交生活が少ないだけで、煩わしい人付き合いがないと思えば、これもまたよし。 唯一の文明の必需品はインターネット。これさえあれば世界中のニュースも即時に知 ることができるし、懐かしい日本の友とも話し合える(だんだんメールが来なくなる のは覚悟の上で…)。大いに利用すれば、小遣い稼ぎも可能です。 こうして見ると、海外生活に必要なのは、夫婦合わせて20万円程度の年金と、シン プル・ライフにも満足できるシンプルな心。夫婦で来た人は、味方は他にいないので 仲良くすること。また、移住したきた地がメキシコであったことは稀に見る幸運であ るから、神様(または仏様)に大感謝という謙虚さも必要かな。 おまけの話: ENGLISH JOURNAL ENGLISH JOURNALは英語を学ぶ人のための月刊誌です。この雑誌の3月号の異文化に 触れる旅−ACCESS TO THE WORLD<メキシコ編>で、メキシコとクエルナバカに関す る情報記事を提供しました(p69〜)。もう4月号が出ているのですが、バックナ ンバーも注文できますので、興味のある方は3月号で読んでください。 ENGLISH JOURNAL に掲載されている写真です 記事を書いたので、雑誌を送っていただいたのですが、実際的な英語の使われ方が、 映画や本、演説、インタビューなどから採用された具体例を使って書かれているので、 楽しく学べるだけでなく、映画や本の情報も一緒に得られし、各界の有名人の考え方 まで知ることができます。和訳の対訳付きの付録もあって、じっくりと、または声に 出して読むと、学校に通うよりも密度の濃い勉強になります。スペイン語を学ぶ人に は、英語も一緒に勉強している人も多いのですが、この一冊はオススメです。 表紙に戻る 感想箱へ進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り #46 ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK #47 女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ #48 一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット #49 「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館 #50 7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館 #51 ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達 #52 老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問 #53 タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート #54 私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。 #55 売れた! おまけの話:今年一番長い夜 #56 タイ旅行報告、おまけの話:クリスマス・コンサート #57 NY息子救出作戦、おまけの話: レコーディングとラジオ番組 #58 タマ、おまけの話:ラジオ番組 #59 薬害?それともアレルギー、おまけの話:メキシコの苦悩 #60 最近読んだ2冊の本と戦争、おまけの話:リコーダー #61 気になる最新ニュース、おまけの話:最後のミサ #62 メキシコに住むということ、おまけの話: 日曜日も有料に! #63 200歳、200歳 2SIGLOS おまけの話: コンサート #64 夏休み雑感、 おまけの話: 稼ぐ! #65 繁子さんの死、 おまけの話: 扶養家族 #66 人生の節目5周年、 おまけの話: アミーゴスの仕事 #67 私はクエルナバカ、おまけの話:かずさんは日本 #68 返品自由、 おまけの話:みんな仲良く #69 年末・年始 雑感 − おまけの話:バイオリンの家での新年会 #70 スペイン語で講演; おまけの話: 大統領選 |