「クエルナバカの碧い空」第71号
#4 トピックス − ところ変れば…
先月号の#5「クエルナバカの碧い空」の続編のページで、メキシコと日本の文化の
違いについて話をしたら、色々感想をいただきました。で、もっと興味を持って眺め
ると、日常生活の中の面白い違いを沢山みつけました。(文中、1ペソは約10円)。

例えば、電話がかかってくると、受ける人は、日本では「もしもし」、メキシコでは
「ブエノBUENO?」と受けます。このときメキシコでは、電話をかけた人が、「あなた
誰?QUIEN HABLA?」と訊くのです。日本なら電話をかけた人がまず名乗ります。「佐
藤ですが、鈴木さんはいますか?」というのが正しい手順ですが、こちらでは、開口
一番「あなた誰?」ですから、自分が電話してきたくせに何と礼儀を知らない奴だと
頭にきて、「あなたこそ誰よ?」と返事をしたものです。もちろん、丁寧に「誰それ
さんと話したい」と言う人もいますが、自分の名前を先に名乗る人は滅多にいません。

でも、これは別に礼儀を知らない人ばかりではなく、教養のある人も同じです。最近
は慣れて、「あなた誰?」と言われたら、「タマです」とか返事したりしますが、そう
すると、「かりはいるか?」と訊いてくるので、「かりは私だけれど、あなたは誰?」
と言い、やっと用件に入ります。

こういう小さな違いを思いつくまま、観察したまま、ここに並べてみました。どちら
が正しいとか、良いということではなく、ところ変れば品かわり、郷に入っては郷に
従えで、従うこともあるけれど、絶対に従えないものもあるなぁという感慨例です。

まずはサイズ編:  顔拭きタオル。日本のタオルが縦横が約75センチx35セン
チ位の縦長なのに対して、メキシコのタオルはだいたい60センチx40センチと短く
て幅が広いのが普通です。品質は同じなので不都合はないのに、大きさがちょっと違
うだけで違和感が大きいのは何故でしょう。洗濯して干すときや、畳んで収納すると
き、日本製のタオルと一緒だと戸惑います。
左:メキシコ製 右:日本製
(クリックで拡大)
用紙もレター・サイズが普通で、日本で一般的に使われるA4用紙よりも短くて幅が
広い。日本からのファックスを受けるときに困ることがあります。コピー屋さんでも、
A4用紙は置いていない店が多いです。公式の書類用にはリーガル・サイズを使うの
で、これは日本と同じです。

写真もサイズが異なります。メキシコの現像写真のサイズは15センチX10センチ
で、日本の写真よりも大きいため、日本に持っていくとアルバムに入りません。久々
に日本の写真を見ると、とても小さく感じて、これはメキシコの勝ち。因みに、メキ
シコには、日本人の写真屋さんが多くいます。機械で自動的に現像するのではなくて、
きちんと色など調節しながら丁寧に現像してくれるので、仕上がりが美しいです。ま
た、メキシコでも写真屋さんで、デジカメの現像をしてくれるようになりました。
上:日本製  下:メキシコ製
(クリックで拡大)
ついでながら、写真を取るときの掛け声は、日本では、「はい、チーズ」ですが、ス
ペイン語ではチーズはケッソQUESOで、笑顔にならないから、メキシコでは、「はい、
テキーラTEQUILA!」、または、「はい、ウイスキーWHISKY」と言います。

普通の写真をコンピュータに掲載するときには、その辺の写真屋さんでスキャンして
もらいますが、このシステムは日本ではあまりないようですね。また、メキシコには
街の文房具屋がやたら沢山あって、その文房具屋にはほぼ必ずコピー機械が置いてあ
るし、コピー屋さんも街に沢山あって便利ですが、日本に帰ったときにコピーをしよ
うと思ったら、住宅街ではコピー機を置いている店が少なくて、捜し歩いたことがあ
ります。メキシコでは、会社や役所でもコピー機を置いていないところが多いので、
街の文房具屋やコピー屋さんが頼りですが、日本では事情が異なるようです。

そういえば、東京では、流しのタクシーというのも少なくて、どこでもタクシーを拾
えると思ったら大間違いで、大荷物を持って右往左往したことがあります。メキシコ
の生活に慣れ過ぎると、日本では不便なこともあります。

突然ですがブラジャーで困っています。日常、大抵のものはメキシコ産で済ませます
が、どうしても合わないのがブラジャー。聞いたところによると、メキシコ人は胸囲
の断面が円形で、日本人は楕円形、従って、ブラジャーの型紙から異なるとのこと。
本当でしょうか?日本の製品は非常に高価なので、なるべくなら、メキシコ製で済ま
せたいのですが…。

規格・資格編:  電圧が異なるので、家電を日本から持って来るときには、変圧器
が必要です。家電は変圧器で使えるようになりますが、DVDやファミコンのソフト
などは規格自体が異なるので、日本から直接持って来ても、メキシコでは使えません。
日本からのお土産にDVDを贈りたいという人がいますが、装置もプレゼントしなけ
ればなりません。メキシコではまだまだ少数派ですが、DVDもレンタル・ビデオで
も借りられるようになりました。

日本では美容師などは資格免許があるのだと思いますが、メキシコではないようです。
美容師学校はあるのですが、学校で勉強せず、友人や親類がやっている美容院で、見
よう見まねで美容師になってしまう人も多く、そういう美容院に行くと災難です。カ
ーラーを巻けない美容師に会ったこともあります。洗髪したら洋服までビショビショ
になることも多く、ある時、文句を言ったら、「首に巻いた肩掛けの前をきちんと握
っていなかったから濡れたんだ」と反対に叱られた上、風邪をひきました。

日本の美容院は高い上に、丁寧過ぎて時間がかかり過ぎ、美容院に行くと、少なくと
も半日は潰れてしまって、これも我慢がならない。メキシコは安くて早いのですが、
カットだけだと10分で終わることもあり、いくら何でも早すぎだし、髪を梳かすた
びに、長い髪がはみ出して来たりするので、これもバツ。結局、髪を伸ばすことにし
て、ここ数年、美容院には行っていません。

日本には再販制度というのがあって、書物は、古本でなければ、一定の小売価格で売
られていますが、メキシコにはそんな制度はなく、古本でなくても、本の値段は自由
競争です。また、知的所有物である本には税金はかかりません。税法改革で本にも税
金をかけようとしていますが、今のところ反対が強く、実現していません。

さらに、水曜日は30%引きとか、ワゴン・セールのように平台の本は全て30ペソ
とか、2X1、つまり1冊の値段で2冊買える時もあり、私は最近、そういう安売り
の本ばかり買っています。こうして内容よりも値段を重視して本を選ぶと、普通なら
買わない本を読むことになり、これが意外に面白かったりして、新しい発見があるも
のです。先日、宇野千代の小説(スペイン語訳)が29ペソで売っていたので、読み
ました。何となく魅かれて全部読み通してしまったけれど、普通の値段で売っていた
ら、絶対に買わないという種類の本で、出会いの奇遇を楽しんでいます。

表現編:  背の高さを言うときには、日本では、手を広げ、手の平を下にして高さ
を示しますが、メキシコ人は、げんこつを作って人差し指だけ上に向けて示します。
なんだか、宙に浮いている人の背丈みたいです。
左:メキシコ式 右:日本式
(クリックで拡大)
週SEMANAという単位があるのに、メキシコ人は、例えば「一週間前」と言うところ
を「8日前HACE 8 DIAS」と言います。2週間前は15日前。「1週間後に会いまし
ょう」は「8日後に会いましょう」。1週間というほうがすっきりしているように思
えますが、メキシコ人は口数が多い方が良いと思っているので、数字も1よりも8の
方が多くて良いみたいです。しかも、1週間なのに7日でなくて、今日も含めて8日
なのが、芸が細かい。

挨拶の「おはよう」、「こんにちは」、「こんばんは」も日本と少し概念が異なりま
す。「おはよう」は日本だと10時か11時ごろまでで、日中は「こんにちは」と、
はっきりとは区別がなく厳格ではありませんが、メキシコの「おはようBUENOS DIAS」
はチョッキリ12時までで、12時を一分でも過ぎて「BUENOS DIAS」と言うと、「い
やいや、もうこんにちはBUENAS TARDESですよ」と訂正されます。夕方も、「こんに
ちは」と「今晩はBUENAS NOCHES」の間の微妙な時間、例えばまだ明るいけれど7時
くらいだと、「BUENAS TARDES NOCHES」と両方言ったりします。「今3時15分よ」
と切り良くいうと、「いや、13分だ」と細かい修正をされます。時間にルーズな割
には、拘っていますね。

「朝MANANA」という言葉も異なります。日本なら、「夜中の2時」とか「深夜2時」
と言い、午前2時は夜ですが、メキシコでは「朝の2時」と言います。つまり午前は
ずっと朝で、「パーティは朝3時まで続いた」などと言います。直訳すると変です。

民話や童話の終わりに「めでたし、めでたし」と言いますが、メキシコでは、「コロ
リン・コロラードCOLORIN COLORADO」と言います。直訳すると「赤くなったコロリ
ンという植物の花」くらいの意味ですが、意味ではなく、語感が良くて、収まりが良
いので使われるフレーズのようです。

メキシコ人は、算数や数学に関しては、日本人より不得手です。175ペソの買い物
をして、200ペソ札を出すと、日本なら引き算をして直接25ペソのおつりですが、
メキシコの場合は、175ペソから、小銭を足して、「180、190、はい、あと
10ペソで200ペソ」という風におつりをくれます。最近は、スーパーでは最新型
のレジが入っていて、受け取ったお金を打ち込むと、きちんとおつりを計算して表示
されるのですが、そのお釣りの金額表示には目もくれず、以前と同じように足し算方
式でおつりをくれます。簡単な足し算でも両手の指を総動員して計算する人が多いの
で、引き算などトンでもないのかもしれません。

どうしても良く理解できなかったのですが、息子が小学校で割り算を習っていた時の
割り算の計算方法も日本とは随分異なるようです。あれじゃ、早くは計算できないに
違いないと思いましたが、息子はメキシコ方式で計算していました。

味覚編:  甘いもの好きのメキシコ人のこと、かぼちゃやサツマイモはほとんど料
理には使わず、甘くしてお菓子として食べる。反対に、日本では、黒豆やアンコのよ
うに甘くして食べる豆類を、メキシコでは塩茹でだけで食べることが多く、この茹で
て潰した塩茹での豆や、豆スープは多くのメキシコ料理に付いて来ます。甘い豆に慣
れているので、薄味の豆は物足りないし、お菓子のかぼちゃは甘すぎて食べれず…、
子供のころからの味覚は変えにくいものです。

子供たちが、日本のお菓子をメキシコ人の友達にあげたら、「何、これ」っと、捨てら
れてしまったことがあります。甘さおさえ目のお菓子はメキシコ人には美味しくない
という正直な反応でした。滅多に手に入らない貴重な日本のお菓子なので、二度とメ
キシコ人にはあげません。

糖尿病が国民病で太り気味の人が多いメキシコ人は、「日本人で太った人を見たこと
がない」などと極端なことを言います。日本では、金があって美食家のほうが太って
いるし、糖尿病などは贅沢病とも言われますが、メキシコでは、貧乏な人のほうが太
っていることが多いです。多分それは、安い料理にラードを沢山使った油料理が多い
からではないか、あるいは安いお酒のロンとコカコーラを割ったものを沢山飲むせい
じゃなか等と推測しているのですが、どうでしょうか?また、日本でも大酒飲みはお
腹のでっぱりが気になるものですが、メキシコ人の大酒飲みのお腹の大きさにはビッ
クリします。 

番外編:  「トッチ・ミーTOUCH ME」は人気の脱毛クリームです。アメリカから来
ているのか、英語の名前ですが、メキシコ人はタッチ・ミーと発音せず、トッチ・ミー
とそのまま読みます。それはとも角、メキシコ人女性は、脚の脱毛には熱心でも、腕
の無駄毛はあまり気にしないようで、この脱毛クリームも腕ではなく、脚の脱毛に主
に使われるようです。エステテック・サロンでも、脇の下や脚の脱毛コースはあるの
ですが、腕の脱毛については値段表にもないところが多い。日本では、反対に腕の無
駄毛の方を気にする人が多いと思うのですが…。

メキシコから見たら:  メキシコ人に日本語を教えていたときに、日本から持って
来た地図を見せたら、とても驚いていました。日本人は、日本の地図では日本が中心
にあり、欧米の地図では日本が本当に極東にあることを知っていますが、メキシコで
はあまり知られていないようです。

先日、バスの中で知らないおばさんと話していて、日本にはどんな果物があるかと訊
かれたので、色々列挙しているうち、日本の黄色いスイカを思い出して、教えてあげ
たら、目を丸くしてびっくりしていました。トイレのウォッシュレットとか、技術の
進歩に関してはあまりに違うのでそれほど驚いてくれません。ロボット犬のアイボが
良く売れていて、ペットとして飼う人が多いという話をしたら、「ロボットはペット
にはなり得ない。それは変人だ」と決め付けられてしまいました。そりゃそうだ。

ダラダラとメキシコと日本の違いを列挙しましたが、きっともっともっと面白い相違
点があると思います。またメモして、いつか発表しましょう。また、「こんな違いが
ある」と気が付いた人、是非、教えてください。「ところ変れば、第二弾」をいつか
また発表します。


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バックナンバー
#2 メキシコの住宅事情
#3 警官への賄賂
#4 音楽友の会 10周年コンサート裏話
#5 ノーチェ ブエナ物語
#5 クリスマス行事
#6 年末年始の休みとグアダラハラ家族旅行
#6 トレス レイエス
#7 ビザの種類と更新
#8 モナルカ蝶の聖域ツアー
#9 ガールスカウト奈良支部
#10 チャイコフスキーのバレー「白鳥の湖」
#11 メキシコ縦断アメリカ転々旅行
#12 メキシコの飲み物
#13 テキーラ
#14 花が咲いて実がなった(街で見る果物)
#15 アステカ・カレンダリオの謎
#16 2000年・年越し祭り
#17 9月16日 独立記念日
#18 特別ゲスト、中村さつきさん
#19 DIA DE MUERTOS 死者の日
#20 葛飾諏訪太鼓メキシコ滞在記 (リーダー水澤啓一 記)
#21クエルナバカの年末年始
#22 メキシコ病院事情
#23 今も懐かし、街頭の物売りたち
#24 養老院YALENTAY慰問コンサート
#25 メキシコの温泉も気持ちいい(*^o^*)
#26 ノパール NOPALで健康に!
#27 メキシコの選挙
#28 ロマンチック・アシエンダ(荘園)街道巡りの散策
#29メキシコ、愛国心のしるし
#30メキシコの結婚式 − 二つの体験談
#31メキシコ原産トウモロコシ MAIZ の秘密
#32 6年に一度の大統領就任式
#33 メキシコのピニャータ
#34 火山ポポカテペトルと山麓の世界遺産−修道院群
#35 MARCHA ZAPATISTA サパティスタの行進
#36 メキシコの飲み物 第二弾 − メキシコの伝統的な飲み物
#37メキシコの飲み物 第3弾 − メキシコのアルコール飲料
#38 QUINCENERA -XV歳の社交界デビュー・フィエスタ
#39 メキシコのお金
#40「民宿かず」お客さま第一号記念
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#42メキシコ・シティから独立記念日の実況中継
#43 RUTA DE ZAPATA 革命児サパタを辿る道
#44メキシコのクリスマスと「NACIMIENTO」飾り
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#46メキシコの宝くじLOTERIA
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#50メキシコのルチャ・リブレ−高橋千歳さんの特別報告
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