
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第72号 #6 本の続編 − 胸がドキドキ、おまけの話: 十二支の絵馬胸がドキドキしたので心電図をとってきました。異常なしで、まずはめでたいのです が、ここ数週間、胸がドキドキすることが多かった。 若い頃はあがり症で赤面症、何かあると、胸ドキ、足ガク、手ブル、顔はほんのりピ ンク色なら良いけれど、いきなり火事場の金時。早く熟年になって、物に動じない無 感動な人になりたいと思ったものです。しかし、この年になってみたら、あがり症は そのまま、心配性が加わって、胸ドキは相変わらず。さすがに赤面症状がでる機会は 減りました。周囲の老化現象(おじいさんが相手では胸はときめかない)と自分の老 化現象(行動が慎重になったか、恥を恥と思わなくなったか…)のせいでしょう。 クエルナバカへ来て、かずさんも仕事を辞めて幾歳月、私たちはすっかりストレスに 弱い体質になりました。猫のタマはとっても臆病で、セマーナ・サンタの休暇で、庭 に人が沢山いて子供の歓声が聞こえると、驚いて、倉庫の奥の暗闇で一日中隠れて寝 ているのですが、私たちも同じ、かずさんはピアノ、私は読書と、自閉症気味な生活 が一番性に合うようになってしまいました。だからたまに活動するとドキドキする。 3月20日に久々、老人ホーム慰問コンサートをしました。今までにした中で一番、 歓迎してくれた老人ホームを訪ねましたが、久し振りなので、あがりまくる。このホ ームは、老人というには若目のおばあさんが多く、よそ行きの服を着て、きちんとお 化粧をしている。私は、最近はメガネなのですが、晴れ舞台なので、メガネをはずし てコンタクト・レンズにし、いざお化粧しようとしたら、あらいやだ、やけに顔が黒 いじゃありませんか(それだけじゃないけど…)。赤面しても分からない。こんなは ずの顔ではなかったと見直しても、白塗りした顔が、すり白ゴマ付きのおはぎにのよ う。そのせいかあがってしまって、練習の時には出る高音が出ない。ま、みなさんの 暖かい拍手に元気付けられて、かずさんはピアノを気持ちよく弾いたようです。 なかなかいい雰囲気で気持ちよく弾けました 3月27日には、コーラス・グループのソプラノのベティおばさんに頼まれて、彼女 の姪のキンセニェラ15歳のお披露目式のミサで歌いました。ベティおばさんはコー ラス仲間の中から、きちんと歌えそうな人を選んで、少人数のグループを作り、結婚 式やキンセニェラ、結婚記念日など様々なミサで歌うアルバイトをしていて、これが 結構良い稼ぎになるらしい。このアルバイトでは、普段はベテランのベルタおばさん が歌うのですが、他に用事があって出られないので、今回初めて私にお鉢が回ってき ました。クエルナバカ郊外にある、15歳のお嬢さんの家の広大な庭に祭壇が作られ て、牧師さんが3人も来て行われたミサの合間に私たちの歌が入ります。 グループは、ソプラノ二人、テノール男性一人、バス男性一人と、メゾ・ソプラノの 私の5人編成。もう習っていて知っているモーツアルトなどのミサ曲等ですが、いつ もは他のメゾ・ソプラノの人と一緒に歌っているのに、今回はメゾ・ソプラノは私一人、 しかもソプラノと男性の間に挟まれて、彼らと異なる旋律パートを歌うのですから、 つられると我を失い、何を歌っているのか分からなくなります。 最初は自分のメロディーに意識を集中して歌っていたけれど、これもダメ。人の歌も 聞かないと、自分だけ早くなったり遅くなったりする。ベティおばさんは、コーラス・ グループの番長的存在で、他のメンバーが敬遠する厳しい人です。少しのミスも許さ なれません。練習の段階からもう胸ドキドキ。本番前は心配で心配で…。でも、結果 はうまく行って、お褒めの言葉をいただき、ギャラまでもらって、癖になりそう。 3月31日には、私立大学ラ・サジェLA SALLEで、私たちのコーラス・グループの コンサートがありました。アテネ・オリンピックを記念したギリシャ文化週間の行事 のひとつ、カント・グレゴリアーノ(CANTO GREGORIANOグレゴリオ聖歌)のコンサー トです。私たちにとっては、ほぼ全て新曲というレパートリーが選曲されて、練習が 始まりました。その忙しいことと言ったら、普通の練習や日曜日のミサも含めると、 ほとんど1日おきくらいに歌っていた勘定でです。 楽器の伴奏がなくアカペラで歌うので、間違うととても目立ちます。その上、全てラ テン語ですから、譜面の文字に目が釘付けで、指揮するマエストロの手先など見てい られない。いずれにしても、大きな失敗もなく(小さいのを数え上げるとキリがない)、 コンサートは一応成功して終わり、始まる前の心配は全て杞憂と終わりました。 コーラス仲間のホルへ氏は、実は、ラテン語やギリシャ語の専門家であり、宗教に詳 しく、作詞・作曲家でもあるので、グレゴリオ聖歌という全く知らなかった分野を分 かりやすく説明してくれました。その起源はよく知られていないのですが、7世紀ご ろに、迫害されたユダヤ人が、ユダヤ教シナゴーグSINAGOGAのミサ曲として、古く からあるギリシャ正教の曲を元に作り上げたと言われており、生の声で歌うと直接神 に届くと考えられたので無伴奏、楽器は使いません。現在は、カトリック教会でよく 歌われているそうです。 元来、口伝されたものを、現在は、5線譜やオタマジャクシではない、独特の音符や 記号が並んだ4線譜を使います。また、本来は男性の声だけで歌われるのですが、現 実には、世のコーラス・グループは女性のほうが圧倒的に多数なので、今回は男女混 合です。一度は全く廃れてしまったグレゴリアオ聖歌ですが、時々思い出したように 流行するそうで、珍しい楽譜の読み方も講義してくれたし、覚えた曲を無駄にしたく ないので、あちこちで歌って、また盛り上げたいものです。 こうして上がって足が震えたのは面白い経験で、普段にはない緊張感があり、よいも のです。ところが、こういう楽しみな胸ドキばかりではありません。 アミーゴス・デ・ラ・ムジカに新しいメサ・ディレクティーバ(執行委員会)ができて、 私もその補助メンバーなのですが、補助とはいえ、アミーゴスの銀行口座のチェック にサインして、お金をおろすことが出来るのは私だけ。ワトソン夫人の生前からの仕 事なのですが、ワトソン夫人亡き後は、私一人では責任が重過ぎる。そうでなくても、 お金を取り扱う仕事というのは気が重いもので、心配で、眠れない夜もありました。 そこで、執行部が発足したのを機に、他の役員に相談して、サイン権の取り消しを頼 んであったのですが、なかなか応じてもらえません。アミーゴスの転換期ということ もあって、金銭的なことも含めトラブルが絶えなかったのですが、私はそのひとつ一 つに大袈裟に心配し、悪い方へ悪い方へと想像力が働く。チェック・ブックを持って いるだけでも、責任感をひしひしと感じてしまいます。そんな時、「心配だから、もう 辞めたい」と言ってもダメ。彼らは、「NO TE PREOCUPES心配しないで」と言うばかり。 それでも、やっと3月24日に、執行部の新会長など3人のサインを登録し、私のサ インが抹消され、チェック・ブックも会長に手渡して、肩の荷を降ろしました。メキ シコでは、請求書も領収書も発行されない金銭の動きが多いのですが、もちろん、税 理士は必ず、支出に対する領収書を要求するので、領収書を揃えるだけでも大仕事で す。しかも興行売上の申告にはそれぞれ期限があるし、領収書をくれない業者と、税 理士の板ばさみになると、もうどうしてよいやら分からなくなります。 だから、全ての経理事務を引き受けてくれた執行部には感謝。これから心配で夜も眠 れず、胸が痛くなることもなくなると思っただけで、さっぱりしました。しかし、3 月28日には、黒沼ユリ子さんのTRIO YURIKOのコンサートもあり、まだ実務に慣れ ていない執行部の手伝いをしていた私は、最後の胸ドキを味わうことになりました。 その日の朝、執行部の秘書をしているロクサーナから電話がありました。もうピアノ の調律師も来ているのに、会場側は誰も到着しておらず、椅子やライトなど、会場設 定がまるで出来ていないというのです。大急ぎで会場であるアシエンダ・デ・コルテ スに駆けつけました。そうしたら、到着した時にはもう会場は準備ができていたので すから、これで一安心。亡きワトソン夫人にささげられたコンサートも、広報活動が うまく行かなかった割には、TRIO KURONUMAの魅力のせいで、大勢の人が入場してく れて、素晴らしいコンサートになりました。 ところがコンサート後に帰宅してびっくり。何と、朝から作っていた煮豆の火を消し 忘れていた!丁度、娘が留守番で家にいてくれていたから、鍋を焦がしただけで済み ましたが、留守番がネコだけだったらと考えるだけで顔面蒼白。心配性の私は、家を 出る前に、火の用心を忘れないようにと注意し、実際に消したつもりで出かけたので、 これは大ショック。あがり症、心配性の上に、ボケの症状まで…。久しぶりに顔から 火が出る思い。ま、家から火が出なかっただけヨカッタ、よかった。 もっともその後、#2の文化情報にも書いたとおり、4月の定期コンサートを含め、 以降のコンサートの実現が危ぶまれており、これからも心配は続きそうです。 おまけの話: 十二支の絵馬 何かと金儲けの種を考案中の私が今回思いついたのが十二支の絵馬です。メキシコ人 と話していると、「私は豚年生まれだ」などという人がいて驚きます。十二支に豚が あるかどうかはさておいて、意外と十二支を知っている人が多いのです。そこで十二 支の動物の絵入りの絵馬を作って、日曜日にボルダ庭園で行っている絵の展示のほか に、絵馬を売ることにしました。グッド・アイデアBUENA IDEAと思ったんだけど…。 十二支の絵馬 かずさんが、「飛ぶように売れる!」と太鼓判を押してくれたですが、全滅。ちっとも 売れません。なぜか? 十二支12 SIGNOS DEL ZODIACO JAOPNESES DE ORIGEN CHINO の説明をし、動物の絵や裏側に印刷した性格判断を見せると、それだけでみな満足、 買おうとはしないのです。しかも、私が「今年は申年だ」というと、「今年はきのえ の申年だよ」などと、やたら詳しい人がいて、私の即席知識など笑止。 さて、初日は、「豚年」だという青年に一枚だけ絵馬を売りました。彼は、ボルダ庭 園の別の場所で、マヤのカレンダーによる干支と似たシンボルを売っているのです。 マヤのカレンダーは1ヶ月20日あるのですが、日ごとに変わるシンボルGLIFOを元 に性格判断をします。私の生年月日から、現在の暦によるシンボルを選び出し、アマ テの紙に書いてくれました。驚いたことに、それによると、私のシンボルは「兵士」 で、私の干支である、「寅」年の性格と、全く同じことが書いてありました。 で、「豚年」の彼は本当は「亥年」なので、いのししの絵入りの絵馬と、彼のマヤの 絵を交換しまた。つまりは、彼も私も、儲けにはならなかった。 今回、人々の反応やマヤのシンボルの性格判断などを読んで考えさせられたのは、前 から薄々気が付いていたのですが、メキシコ人は面と向かって相手を悪く言うことは 喧嘩でもしていない限り絶対にないので、性格判断も悪いことは書かないということ です。日本人なら、良い事しか書いてなければウソっぽいから信じないのですが、メ キシコ人相手の時には、欠点と思われることは書かないほうが良い。少し、手直しを して、また来週挑戦しましょう。張り切って大量に作成した絵馬の在庫を抱えて、今 後の作戦を練っています。 表紙に戻る 感想箱へ進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り #46 ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK #47 女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ #48 一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット #49 「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館 #50 7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館 #51 ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達 #52 老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問 #53 タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート #54 私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。 #55 売れた! おまけの話:今年一番長い夜 #56 タイ旅行報告、おまけの話:クリスマス・コンサート #57 NY息子救出作戦、おまけの話: レコーディングとラジオ番組 #58 タマ、おまけの話:ラジオ番組 #59 薬害?それともアレルギー、おまけの話:メキシコの苦悩 #60 最近読んだ2冊の本と戦争、おまけの話:リコーダー #61 気になる最新ニュース、おまけの話:最後のミサ #62 メキシコに住むということ、おまけの話: 日曜日も有料に! #63 200歳、200歳 2SIGLOS おまけの話: コンサート #64 夏休み雑感、 おまけの話: 稼ぐ! #65 繁子さんの死、 おまけの話: 扶養家族 #66 人生の節目5周年、 おまけの話: アミーゴスの仕事 #67 私はクエルナバカ、おまけの話:かずさんは日本 #68 返品自由、 おまけの話:みんな仲良く #69 年末・年始 雑感 − おまけの話:バイオリンの家での新年会 #70 スペイン語で講演; おまけの話: 大統領選 #71 シンプル・ライフ; おまけの話: ENGLISH JOURNAL |