
![]() -呑気家族のメキシコ移住計画- |
出版:近代文芸社 石田 かり・著 |
「クエルナバカの碧い空」第76号 #6 本の続編 − 東京ネコ物語、おまけの話: 納豆菌今年は、早い時期から、「日本は暑い」、「いや熱い」と言うメールが毎日のように あって、クエルナバカの涼気溢れる快適生活にどっぷりと浸かっていた私は、「どう してみんな、そんな日本に好きこのんで住んでいるのかなぁ・・・」なんて不思議。 こんなふうに、つい先日まで猛暑にあえぐ可哀想な日本人を横目の傍観者を決め込ん でいたのに、なんと今は飛んで火に入る夏の虫、その東京にいる。 7月後半から一時帰国、約10年ぶりの日本の夏を体験中だ。果たして噂の猛暑に耐 えられるか!ところが到着してびっくり、冷房が効き過ぎて、暑いより寒い。まずは、 滞在している姉の家のクーラーを切ってもらって、やっと猛暑を実感しながら、東京 滞在が始まったけれど、姉の家族には迷惑な親戚だよね、私って。 常識的に考えると、トロピカルなメキシコのほうが、東京よりも暑いと考えがちだけ ど、大きな間違い。それだけでなく、新潟のほうが東京よりも涼しいと考えがちだけ ど、天気予報を見ていると、新潟のほうがずっと暑いらしい。夏休みで、新潟の海沿 いの村に住むおばあちゃんに会いに行っている子供達は今ごろ、暑さにヒイヒイ言っ ているに違いない。いや、冷房をギンギンにきかせて、海にも行かず、涼しい顔で部 屋でテレビを見ているかなぁ。 子供達もそうだけど、一応トロピカル的暑さに強くなっている私は、東京の暑さにも 食欲が衰えることなく、不眠症にもならず、順調に体重を増やしている。それにつけ ても、普段、冷暖房不要の環境に住んでいるということのありがたさを痛感する。省 電力だけでなく、器具も不要、衣替えも不要、頭の切り替えも不要なら、不自然な体 温調節も要らず、洗濯も簡単だ。最近、読んだ本によると、ネコにも熱中症というの があるのそうだが、一年中、天然快適温度に生きられるタマは幸運ネコだ。本人は認 識していないだろうけど。 母が病院通いをするようになったので、何か手伝いできればというのが今回の一時帰 国の目的なのだけど、正直言って、何の役にも立っていません。暑いのにクーラーは 消しちゃうし、大食いだわ、気は利かないわで、私の滞在は双方にとって大誤算。私 だって、もう少し出来る事がありそうなものと気働きを心がけるけれど、姉が二人い て、食事の仕度も何もかもしてくれるから、手出しする隙も無く、上げ膳据え膳で、 かえって病人が一人増えた感じ。痛くない病気で入院したいと思ったことがあるけど、 今の私がそんな感じで、居心地良過ぎで、養豚所のブタの気持ちがよくわかる。 このように、ほとんど働くと言うことはせずにすんでいて、毎日いるだけ。何をして いるかと言うと飲食しているか、寝ているか、本を読んでいるか。あと少し生産的な 事と言えば買い物をしているときと、それに伴ってたくさん歩いていることくらい。 姉の家が国立と国分寺の間に位置し、母が住んでいる家が国立と立川の間に位置して いるから、バスも使うけれどやたら歩く。お腹がすく前に次の食事が用意できている という状態なので、歩くのは、そのような位置関係からも、必要不可欠なわけだし、 人の家の庭の花々を見ながら、写真を撮り撮り歩くのはなかなか風情がある。でも本 当に、遥々何をしに帰ってきたやら・・・。 ところで、最近、旅行をするのが億劫になった最大の理由は、タマと離れ離れになる のが悲しいこともあるけれど、時差ボケがなんといっても大きい。時間調節機能が稼 動せず、夜7時頃に夕食をすると9時にはもう目を開けていられない。みんなが野球 だサッカーだとテレビ観戦する時間になると、「ちょっとお先に」と寝室に倒れこめ ば、もうその時点で熟睡,というか昏睡状態。明け方、4時ころには爽やかに目が醒 める。そして、その頃、やすけが「外に出してよ」と起こしに来るのです。そこで、 時差ボケを逆手にとって、やすけと一緒に早起き励行。 やすけは現在14才のオス猫で、姉によるとタマと同じシャムネコの血が入っている そうだけど、それは聞き流して、伊達に年は取っていない、スローモーションの可愛 いおじさんネコです。そのネコ離れした、何かを深く考えつめているような大きな目 で見られると、何でもしてあげたくなる。そのやすけが、朝まだ暗い時間に、ドスの きいたおじさんのだみ声で人を起こしにくるから、既に半分覚醒している私は飛び起 きて、「ヘイヘイ、そりゃそうだ、やすけの言う通り」とばかり、一緒にエサを食べ たり(私は食べないけれど、一緒にいて欲しいらしい)、外に出してあげたり・・・。 人のお役に立てることの歓び。 考えるおじさんネコ、やすけ やすけを外にだしてから、普通の時間帯に生活する人々が起きてくるまで、もう一度 ベッドに戻って、6時半に姉とテレビのラジオ体操をするために起き出すまで本を読 むのが日課だ。幸福な時間の使いかただったのに、残念ながら、滞在が10日も過ぎ た頃から、時差ボケが治りつつあり、夜早く寝るのは同じなのに、朝の早起きがだん だんつらくなってきた。やすけが起こしに来た時に、まだ寝惚けていたら、やすけの お役にも立てなくなり、益々、日本での存在価値が疑われる。因みに、朝のテレビの ラジオ体操はクエルナバカでも続けたい習慣で、姉がインターネット・ショッピング で、テレビのラジオ体操のDVDを買ってくれたので、かずさんにもやらせよう。 読書時間はたっぷりあって、早朝だけでなく、病院に付き添った時の待ち時間とか、 その他、膨大にある全ての暇な時間は読書に当てられる。読むのは姉や姪たちに借り た本ばかり。これが普段は読まない種類の本だから興味深い発見がいっぱいで、特に ネコ好きな姉たちが貸してくれたネコの本が面白い。 ところで今回、文体がいつもと少し異なることにお気づきでしょうか?最初に読んだ のが村上春樹の「うずまき猫のみつけかた」(新潮文庫)で、読み進むうち、その文 章の調子が頭にこびりついて、すっかり影響を受けてしまったのだ。もちろん、村上 春樹さん並みに上手い書き手になったというわけではないけれど。 この本は、村上さんが奥さんと一緒にアメリカのケンブリッジに住んだ時のことを書 いた、ネコが主題ではないけれど、奥さんが街で撮ったネコの写真にも、文章にも、 ネコや人々に対する愛情と好奇心が丸見えの、楽しいエッセーです。 次に読んだのが、左近司祥子さんのエッセー「哲学するネコ」(小学館文庫)。私は 全く知らない人だったが、学習院大学の文学部哲学科の教授だそうで、その後も短期 間に彼女の名前を何度か見かけたので、有名人なのかも。そこには、彼女の家に飼わ れている20数匹のネコが登場するのですが、その後で、新聞の記事を読んだ時には、 41匹のネコを飼っている人として紹介していた。家猫が41匹! 本人も、3人の娘さんも大のネコ好きは良いのですが、家の中だけで、こんなに沢山 のネコが同居しているというのは想像を超えた状況で、読んでるだけでも大変。タマ 一匹でもトイレの始末とか、エサ代とか、病気になった時の心配なこととか考えると、 ネコの世話以外の日常生活をこなせるかしらとか、大学で仕事をしている場合じゃな いのでは?とか、他人事ながら心配になる。もちろん、狭い空間に閉じ込められたネ コたちが本当に幸せかしらとという事も心配。 私が考えるに、ネコには、愛情と自由が同じくらいの度合いで必要なはず。いずれに しても、やすけの目を見ていると、哲学するネコという表現が実感として理解できる。 タマはまだその域に達していないけれど。 次は、絵+文スージー・ベッカー、谷川俊太郎訳の「大事なことはみ〜んな猫に教わ ったALL I NEED TO KNOW I LEARNED FROM MY CAT」という絵本(小学館文庫)。ネコ の習性(人間も見習うべき?)が、ヘタウマ絵と一緒に列挙されている。ネコって、 つくづく何の役にも立たないのに、寝るわ、食うわ、壊すわ、心配かけるわ、しかも 、それを意図してやっている。あれ、ここまでは私と激似?だけど、ネコは、いてく れるだけで嬉しいという稀有な動物で、そこは私と異なるかなぁ。 次に読んだのは、椎名誠の「ネコの亡命」(文春文庫)。もっとも、題はネコでも、 中身は無関係。全エッセーが旅と、旅先で食べたり飲んだりした話と、旅の途中で出 会う変なおじさんに怒り心頭の話と、そのほか、ちょっとキタナイ話が混ざっていて、 いつもの椎名調です。 週刊文春の連載のエッセーだから私も以前に読んだ事のあるはずだけど、今回気が付 いたのは沢野ひとしさんの挿絵。良く見ると、沢山のネコがさりげなく登場する。本 を読み終わったあと、挿絵だけ見て行くと、ちょっとホノボノ、くすりとするかも。 最後、現在読んでいるのが、野澤延行さんの「ネコと暮らせば・・・下町獣医の育猫 手帳」(集英社新書)で、獣医さんが真面目にネコたちの幸せを願って書いてあるの で、ネコと一緒に住んでいる人の必読書だ。お医者さんだから、病気につていも勿論 詳しく書かれているのだが、それだけでなく、習性や行動の意味など、全て、飼い主 がネコを気遣い愛することがネコの幸せという視点で書かれている。姉の本なので、 もう一冊買って、メキシコに持ちかえるつもり。 そんなこんなで、毎日、ふたつの家を往復、病院に付き添ったりという静かな東京生 活で、全然活動的ではないが、本以外の日本の印象は、テレビで見た、「冬ソナ」フ ァンのおばさんたちの勢い余る嬌声と、サッカーのアジア大会で日本チームを野次り 倒す中国人のド迫力と、言葉に詰まるシーンばかり。常識の国メキシコが少し恋しく なってきた今日この頃であります。 おまけの話: 日本に帰ってきたら、自分の用事も済まさなければなりません。例え ば、かずさんからは新しい電子ピアノの購入を頼まれています。いやはや・・・。私 自身の事でいえば、やはり健康関連グッズ。まずは、隣人に依頼されたPHITENという 磁気ネックレス。肩凝りに良く利くと吹聴したものだから、人にも頼まれて、インタ ーネット・ショッピングで購入。 次は眼鏡。数年前に日本に帰ってきた時に作った遠近両用眼鏡がもう早ピント外れに なってきたので、読書用の安価なのをひとつ迷った末に購入。贅沢は敵だけど、読書 関連用品とタマ・グッズは必需品とみなす。 そして最大の目的が納豆菌。日本に帰ってからは、ほぼ毎日納豆を食べていますが、 この習慣をメキシコでも続行したいと強烈に希望。自家製納豆のための納豆菌を捜し ました。自然食品のお店など、数店に問い合わせたけれど見つからず、諦めかけてい たところ、立川の伊勢丹の地下自然食品売り場にて、「高橋・納豆素・ドライ」とい う粉末の納豆菌を発見。小ビンにたった3グラム入っているだけですが、30キロの 納豆が作れる量だとか。 作り方も入っているので、困難は承知の上で、メキシコに帰って納豆作りに挑戦しま す。懐かしの日本の健康食品をクエルナバカでも食べられるか?うまく行くかどうか はまた別の話。後日談をいつか報告します。 表紙に戻る 感想箱へ進む バックナンバー#1 「運転しよう」から:何でもありのメキシコ式運転 #2 「猫」から:猫の獲物はどうする? #3 「免許証」から:ここでは買うんです #4 「仕事をしよう」から:押し掛け助手は大活躍 #5 「仕事をしよう」から:コンサート後のご馳走 #6 「仕事をしよう」から:黒沼邸でのミニコンサート #7 「スペイン語」から:無口な日本人 #8 「免許証から」から:車の所有税 #9 「クエルナバカ」から:蜂鳥 #10 「猫 パートII」から:捨て猫アナスタシア #11 「猫穴」から:アメリカ・ドライブ・転々旅行 #12 「女性」から:老化現象と更年期障害 #13 猪俣猛作曲「クエルナバカの碧い空」 #14 日本へ一時帰国しました/その他 #15 運転したら事故はつきもの #16 私たちの夏休み日記 #17 最近の感動:みんな生きている! #18 ホームページ1周年記念 #19 仕事人「かり」 #20「葛飾諏訪太鼓」の日々 #21 クエルナバカから謹賀新年 #22 薬の話 #23 社交サロンの話 #24 夏時間、ク日比較アンケート #25 母は強し #26 我が家のガーデニング #27 選挙裏話と日ク比較 #28 国際ピアノ・コンクール #29黒沼ユリ子さん邸CASA DE VIOLIN増築祝い−ペット・ロス症候群 #30 2周年記念・シドニーオリンピック・おまけ「スキャンダル」 #31 我が家に棲みつく魑魅魍魎、おまけの話「無料電話」 #32 私達のSEXENIO、おまけの話「歌のクラス」 #33「CREA」取材のコーディネータ初仕事、おまけの話 #34「日本週間」、おまけの話「コーディネータ、プロ宣言」 #35 ニューヨークの白い空、おまけの話「夏時間」 #36 巣立ちの夏 、おまけの話「民宿 かず」 #37悲しい話、おまけ:雑誌TITLE #38健康に自信がありますか?;おまけの話:TELECABLE INTERNET #39 コンサート・デビュー;おまけの話:テレビ番組の取材 #40 夏休み病気特集第二弾;おまけの話:テレビ番組の放送日程 #41 我が家の独立記念日、おまけの話:アメリカ・テロ事件 #42 続編:独立記念日、おまけの話:テロ事件のメキシコの反応 #43 犬を買いませんか? おまけの話:イダルゴ州の温泉 #44 日本メキシコ学院リセオで講演;おまけの話:2001年総括 #45 謹賀新年、 おまけの話:子供達の里帰り #46 ベラクルス珍道中: おまけの話: 月刊誌NOVARK #47 女性についての考察: おまけの話:日本一時帰国のお知らせ #48 一時帰国報告: おまけの話: JAL悟空格安チケット #49 「清流」とサッカーの話: おまけの話: かずの写真館 #50 7年半目の情緒不安定: おまけの話: 癒しのピアノ館 #51 ホーム・コンサート決行;おまけの話:帰ってきた子供達 #52 老人ホーム慰問コンサート; おまけの話:パパ訪問 #53 タマがうちにやって来た。おまけの話:慰問コンサート #54 私の公園デビュー、おまけの話: キャデラック売ります。 #55 売れた! おまけの話:今年一番長い夜 #56 タイ旅行報告、おまけの話:クリスマス・コンサート #57 NY息子救出作戦、おまけの話: レコーディングとラジオ番組 #58 タマ、おまけの話:ラジオ番組 #59 薬害?それともアレルギー、おまけの話:メキシコの苦悩 #60 最近読んだ2冊の本と戦争、おまけの話:リコーダー #61 気になる最新ニュース、おまけの話:最後のミサ #62 メキシコに住むということ、おまけの話: 日曜日も有料に! #63 200歳、200歳 2SIGLOS おまけの話: コンサート #64 夏休み雑感、 おまけの話: 稼ぐ! #65 繁子さんの死、 おまけの話: 扶養家族 #66 人生の節目5周年、 おまけの話: アミーゴスの仕事 #67 私はクエルナバカ、おまけの話:かずさんは日本 #68 返品自由、 おまけの話:みんな仲良く #69 年末・年始 雑感 − おまけの話:バイオリンの家での新年会 #70 スペイン語で講演; おまけの話: 大統領選 #71 シンプル・ライフ; おまけの話: ENGLISH JOURNAL #72 胸がドキドキ、おまけの話: 十二支の絵馬 #73 豆製品料理教室、 おまけの話: またも会計係 #74 トラケパケの小壷、 おまけの話: 春雑感 #75 日本人の足跡、 おまけの話: 絶対音感 |